補修工事の概要と具体例
生活していく中で発生する小さな不具合をなくすための工事が補修工事です。以下では補修工事の概要と具体例を解説します。
補修工事の概要
補修工事は建物の劣化や破損を復旧させる工事で、「小修繕」とも呼ばれます。劣化や破損した箇所だけを工事するので、費用が比較的少なくて済むのが特徴です。
応急処置的な工事のため、同じような不具合が数年のうちに再発する可能性があります。劣化の度合いによっては補修工事で対応するのではなくしっかりした修繕工事を行い、本来の性能を回復させましょう。
補修工事の具体例
補修工事は、足場を組まずに行える簡単な工事が多いのが特徴です。以下より具体例を紹介します。
・雨漏り対策の塗装工事
雨漏り対策の塗装工事は、雨漏りを防止するためにバルコニーやベランダの塗料の劣化を修復する工事です。
バルコニーやベランダなどの雨にさらされる部分には、高い防水機能のある塗料を塗って防水層を作り雨水の浸入を食い止めます。塗料が劣化すると、隙間から雨水が浸入する原因になりかねません。
・外壁のひびの補修
外壁材に小さなひび割れができたときは、シーリング材(外壁の隙間を埋める詰め物)を刷り込んで補修します。
ひびが大きい場合には、外壁材の一部分を新しいものに張り替えたり、新しい外壁を重ね張りしたりといった工事が必要です。外壁材を張り替えるときにはシーリング材も新しく打ち替えます。
・サッシ周りのシーリング
窓枠(サッシ)と壁の間の隙間を埋めているシーリングが、経年劣化によりひび割れや隙間が生じた際には、補修が必要です。
サッシ周りのシーリングは、雨水や冷たい空気が入ってくるのを防ぐ重要な役割を担っています。
そのまま上から新しいシーリングを施工するか、あるいは既存のシーリングをすべて撤去して新しいシーリングを施工します。
修繕工事の概要と具体例
修繕工事はいわゆるリフォームと呼ばれる工事です。修繕工事とはどのような工事なのか、以下より具体例を踏まえながら解説します。
修繕工事の概要
年数と共に劣化してきた建物を、新築時の水準に近づけることを目指して行う工事が修繕工事です。可能な限り新築時と同じ部材を使って建物を維持します。
建物の資産価値の維持を目的として建物全体に工事を施したり、足場を組んだりすることが多いため、補修工事と比べると工事費用は高くなる傾向です。
修繕工事の具体例
修繕工事には以下のような工事が該当します。
・外壁塗装
建物外壁の劣化を防ぎ、美観を保つために欠かせないのが外壁塗装です。使用する塗料にもよりますが、外壁塗料の防水性能が働く年数は約10年ほどなので、そのタイミングで再度塗装を施します。
また10年経っていなくても、次のような状態が見られたら外壁塗装を検討しましょう。
- 外壁の色褪せ
- 外壁の塗膜の剥離
- 外壁を触ったときに白い粉が手につく(チョーキングと呼ばれます) など
外壁の他、屋外にある階段の手すりや扉などにも塗装が必要です。
・屋上の防水工事
屋上の防水工事の耐用年数は10年〜15年ほどです。防水効果が薄れた状態のままにしておくと、雨漏りを引き起こし、建物全体の劣化を早めてしまいます。耐用年数を目安に防水工事をして新築時の水準まで戻さなければなりません。
屋上防水工事には大きく以下4つの種類があります。
1)FRP防水
FRP防水は、ガラス繊維などで補強したプラスチックで屋上を覆います。耐久性が高く、比較的安価なうえ、工事期間が短いのがメリットです。
2)ウレタン防水
ウレタン防水は、代表的な屋上防水工事の方法です。液体状のウレタン樹脂で防水層を作ります。複雑な形状の屋上でも施工しやすいのがメリットです。
3)シート防水
シート防水は、塩化ビニールや合成ゴムのシートを貼って防水層を作る工事方法です。広い面積を一度に防水処理でき耐久性にも優れています。
4)アスファルト防水
アスファルト防水は、アスファルトシートを貼り重ねて防水層を作る工事方法です。耐用年数は4つの施工方法の中で最も長いのが特徴です。ただし、施工中に煙や匂いが発生するデメリットがあります。
・雨樋の修理・交換
雨樋が詰まったり損傷した状態のまま放置していると、見た目だけでなくさまざまなトラブルを引き起こすため、状況に合わせて修理や交換が必要です。
たとえば、雨水が外壁に浸入して建物の劣化を招いたり、隣の家に雨水が流れて近隣トラブルを引き起こす可能性があります。
雨樋の一部を交換するか全てを交換するかは、施工業者とよく相談してください。
・マンションの大規模修繕工事
マンションの建物全体を定期的にメンテナンスする工事が、大規模修繕工事です。マンションを長く安全に使用するため、また資産価値の低下を防ぐために、長期修繕計画に基づいて12~15年程度の周期で実施します。
工事内容はさまざまです。外壁・階段部分の塗装や、床材・タイルの交換など、劣化した部分を修繕します。また給排水管やエレベーターなどの設備を更新して、居住者の利便性や安全性を高めることもあります。
改良工事の概要と具体例
改良工事とはどのような工事を指すのでしょうか。以下より改良工事の概要と具体例を紹介します。
改良工事の概要
改良工事は、建築当初よりも建物の機能や性能をグレードアップさせて資産価値を高める工事です。
時代の変化に伴い居住者の生活も変化していきます。その変化に対応して建物の価値をよりあげるために、今までよりも新しく優れた設備や材料、工法を取り入れます。
現在の建物や設備の性能が十分ではない場合に実施される工事であるため、必ずしも建物や設備に不具合があるとは限りません。
改良工事の具体例
以下より改良工事の具体例を紹介します。
・耐震補強工事
耐震補強工事とは、建物の耐震性を向上させて家と命を守るための工事です。耐震補強工事には、部分的に行うものと建物全体に行うものがあります。
部分的な工事では、建物の土台や柱が交わる部分に耐震金具を設置したり、屋根瓦を軽い素材に変えたりします。
建物全体に対する工事は、壁に筋交いを入れたり耐震性の高い下地に変えたりして壁を補強する工事や、鉄筋コンクリート造の基礎を足す工事などです。
・省エネ改修
省エネ改修は、生活にかかるエネルギーの消費を抑えるための工事です。たとえば、次のような工事があります。
- 浴室の設備を新しくして保温性を高める
- サッシを防音性・断熱性の高いものにする
- 空調設備を更新する など
省エネ改修促進税制や固定資産税の減額といった国の減税制度や、地方自治体の補助金制度などを利用できることがあります。工事を実施する前に業者に相談したり、お住まいの自治体のサイトを確認しておきましょう。
改修工事の概要と具体例
改修工事は、「修繕」と「改良」を同時に行う工事です。具体的にどのような工事を指すのか、以下より解説します。
改修工事の概要
改修工事は、既存の建物に新しい機能を追加して建物の付加価値を高める工事です。劣化による不具合や美観の損傷ある建物に修繕と改良を同時に行って、新築時の状態よりもよいものにアップグレードします。
建物の用途を変更したり、安全性を確保する目的で改修工事を行う場合もあります。
改修工事の具体例
改修工事の具体例は以下の通りです。
・バリアフリー工事
高齢者や障害者が生活しやすいよう、障壁となるものを取り除くのがバリアフリー工事です。古くなった設備や破損した設備を、バリアフリー化を目的に新しい設備に交換します。
たとえば、以下のような工事です。
- 和式トイレを洋式トイレにする
- ユニットバスの浴槽に変更する
- 浴室の床材を滑りにくいものに取り替える
バリアフリー工事では、国や自治体の補助金・助成金制度が活用できる場合があるため事前に確認しておきましょう。また、固定資産税や所得税が減税されるケースもあります。
・倉庫リノベーション
倉庫だった建物を店舗やオフィス、住宅など全く異なる用途の空間に作り替えるのが、倉庫リノベーションです。
床面積と天井高が確保しやすく、建物の骨組みだけ残して行う「スケルトンリフォーム」がしやすいことや、倉庫独特のデザインを生かした個性的な店舗や住宅にできることなどから人気が高まっています。
改修工事の費用相場についてはこちらもご覧ください。
改修工事とは?似た用語との違いと種類、費用相場、メリット、注意点
家の補修や修繕で快適な暮らしを!
どれほど大切に住んでいても、建物の経年劣化や居住者の状況の変化は起こります。適切なタイミングで家の補修や修繕を実施し、より安全で快適に暮らしましょう。
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