2024.05.22

窯業系サイディングとは?メリットと工事の費用相場、主要メーカー

窯業系サイディングとは?メリットと工事の費用相場、主要メーカー

窯業系サイディングは、日本で1番高いシェア率を誇る外壁材です。コストパフォーマンスやデザイン性の両面で高い評価を受け、多くの方に選ばれています。

リフォーム会社からよく勧められるため気になってはいるものの、「本当にいいものなの?」「デメリットもあるのでは?」と疑問を感じますよね。

また、外壁は将来的にメンテナンスが必要なため、あらかじめメンテナンスにかかる費用を把握しておくことが大切です。

本記事では、窯業系サイディングの基礎知識を解説します。窯業系サイディングについて理解を深め、後悔のないリフォームをしましょう。

目次

窯業系サイディングとは?

窯業(ようぎょう)系サイディングとは、セメントに繊維質の原料を混ぜて板状に加工した外壁材です。高熱の窯の中で製造されるため「窯業系」と呼ばれています。建物の外壁に取り付けた後は、塗料で表面を保護する施工が一般的です。

窯業系サイディングは材料費や施工費などが比較的安く、コストパフォーマンスに優れています。

加えて、カラーや柄が多種多様でデザイン性が高いことも、日本の新築住宅で多く用いられている理由の一つです。

たとえば、木目調・レンガ調・石目調などのデザインがあります。

窯業系サイディングのメリット・デメリット

窯業系サイディングは多くの住宅で採用されている外壁材ですが、すべての人におすすめできるわけではありません。

失敗や後悔を防ぐために、メリットやデメリットを理解しておきましょう。

窯業系サイディングのメリット

窯業系サイディングのメリットは、以下の5つです。

・施工期間が短い

窯業系サイディングは、工場で生産されたサイディング材を外壁に貼るシンプルな施工方法です。職人が手作業で塗る「モルタル」や、一つずつ貼り付ける「タイル」と比べて手間がかからず、施工期間が短くて済みます。

また、窯業系サイディングが切断や穴あけなど加工しやすい素材であることも、施工期間が短い理由の一つです。

多くの業者が対応可能な工事であるため、依頼するリフォーム会社を見つけやすいメリットもあります。

・コストを抑えやすい

窯業系サイディングには、初期費用を抑えられるメリットがあります。使用するサイディング材は工場で大量生産できるため、モルタルやタイルに比べて安価であることが理由です。

施工に複雑な工程がなく、工期が短くて済むため人件費も抑えられます。

・耐火性に優れている

窯業系サイディングは、「防火外壁材」と呼ばれる耐火性に優れた素材です。国土交通大臣認定の「45分準耐火構造」や「1時間準耐火構造」を取得しているものも多く、約45分~60分程度、火を遮る効果が期待できます。

国に「不燃材料」や「純不燃材料」として認められているため、万が一近隣で火災が起きても延焼を防ぎやすくなります。

・品質の安定性が高い

窯業系サイディングは、品質にムラがでにくい外壁材です。モルタル外壁は、職人の技術力に左右されやすく仕上がりによっては耐久性が弱くなってしまうことがありました。同様に、タイル外壁も職人の技術力次第で施工品質に差が生じます。

一方、窯業系サイディングはシンプルな作業工程のため、どの業者に依頼しても出来上がりに差がでにくい傾向です。また、外壁材はJIS表示認定工場で生産されているため、商品の品質にも差が生まれません。

・テイストやデザインのバリエーションが豊富

多種多様なカラーや柄を選べるため、デザインの自由度が高い点も窯業系サイディングの魅力です。

たとえば、以下のようなデザインの種類があります。

  • 木目調
  • レンガ調
  • 石柄
  • タイル柄
  • 塗り壁風

洋風の家・和風の家・モダンな家など、住む人によって求めるテイストは異なります。本物のレンガやタイルを施工するよりも工期や費用が少なくなるため、「予算を抑えつつおしゃれな家にしたい」という理想を叶えられます。

窯業系サイディングのデメリット

窯業系サイディングのデメリットは以下の2つです。

・塗膜が剥がれてくると防水性が落ちる

窯業系サイディング自体に耐水性能はなく、一般的に表面に防水機能がある塗装工事をします。

ただし、表面の塗装は経年劣化により剥がれてしまいます。その結果、防水性が落ちてしまい、中に水が入ってしまうことがデメリットです。

また、サイディングの継ぎ目を塞ぐシーリング材も時間とともに劣化します。そのまま放置すると雨水が浸入し、雨漏りを引き起こしかねません。

家を長持ちさせるためには、定期的な塗装やシーリング材のメンテナンスが欠かせません。他の金属系や樹脂系のサイディング材に比べて、窯業系サイディングは点検の手間がかかることを注意点として覚えておきましょう。

・熱を溜めやすい

窯業系サイディングのデメリットは、熱を溜めやすい蓄熱性があることです。冬場は問題ありませんが、夏場は熱を吸収して室温が高くなってしまう可能性があります。

遮熱効果や断熱効果のある塗料を使用して、室温への影響を軽減しましょう。

・本物の質感とはやや異なる

木目調や石目調などデザイン性に優れた窯業系サイディングですが、本物の木や石に比べると質感や風合いが劣ります。遠くから見れば本物さながらの外壁でも、素材のグレードによっては近くで見ると質感が気になってしまいます。

また、窯業系サイディングは新築住宅の外壁材として使われることが多い外壁材です。他と同じような質感の家を避け、オリジナリティのある家にしたい方にはあまりおすすめできません。

窯業系サイディングの施工にかかる費用相場

窯業系サイディングはメンテナンス必須の外壁材です。施工費用は地域や工事範囲によっても変わりますが、おおよその費用を把握しておきましょう。

重ね張り(カバー工法)の費用相場

重ね張りで施工する場合の費用相場は、約130万円~260万円です。重ね張りとは、既存の外壁材の上に窯業系サイディングを貼り付ける方法です。カバー工法とも呼ばれ、工事後は外壁が二重になります。工事の日数の目安は約1週間~2週間です。

重ね張りは、軽量な素材を使用する金属系や樹脂系のサイディング材に向いています。外壁材自体に重量がある窯業系サイディングには、基本的には推奨されません。外壁が重くなると、地震で揺れやすくなり耐震性が落ちる可能性があります。

住宅によっては適応できない場合がありますので、詳しくはリフォーム会社に確認しましょう。

張り替えの費用相場

張り替えで施工する場合、約150〜280万円が費用相場です。張り替えはもともとあった外壁材を撤去して、新しい窯業系サイディングに交換する方法です。工事の日数は約2週間〜3週間を目安にしてください。

既存の外壁を剥がすため、内部を補修する手間や外壁の処分費用が追加されます。重ね張りよりも工期が長く費用は高くなる傾向ですが、新品同様の外壁になるため外観の見栄えや性能が向上します。

メンテナンスの費用相場

経年劣化しやすい窯業系サイディングは、7~15年ごとにメンテナンスが必要です。メンテナンス方法は、主に「外壁塗装」と「シーリング打ち替え」の2種類があります。

塗装の1平米あたりの価格相場は、約1,000円〜6,000円です。きれいさを保ちやすい低汚染機能や雨で汚れを洗い流せる塗料など、どのような塗料を使用するかによって費用は異なります。

家の外壁は、ひび割れのような目立つサインがなければ塗装のタイミングを判断するのが困難です。しかし、タイミングが遅れてしまうと外壁がボロボロになり、雨水が浸入する恐れがあります。家の寿命を短くしないように、下記の「劣化サイン」を見つけたらすぐに対応しましょう。

【塗装のメンテナンスをすべきサイン】

  • 雨漏り
  • ひび割れ
  • 塗装の剥がれや膨れ
  • チョーキング現象

チョーキング現象とは、サイディングを手で触ったときに粉がつく現象です。外壁の劣化を防ぐためにも、普段から定期的に洗浄して汚れやカビを落としておくことがポイントです。

シーリング打ち替えには2種類の工法があります。費用相場は打ち換え工法が1平米あたり約900円~1,500円、打ち増し工法が1平米あたり約700円〜1,200円です。

「打ち換え工法」とは、既存のシーリングを撤去して新しいシーリング材を充填する工法です。撤去の手間や費用はかかりますが、防水効果が高くなります。

一方、「打ち増し工法」は既存のシーリング材の上に新たに充填する工法です。既存のシーリング材を撤去しない分、使用するシーリング材が少なく工事費用を抑えられます。ただし、シーリング材の劣化が進んでいる場合は、打ち増し工法が適応できないこともあります。

どちらの工法が適しているかは、専門業者に確認してもらうのがおすすめです。

参考サイト:
https://www.biz.ne.jp/matome/2006467/#modal-info-banner
https://kico-reform.com/exterior-wall/yougyoukei/
https://rehome-navi.com/articles/2224
https://www.gaiso.co/column/outerwall/detail/?sid=259
https://www.nuri-kae.jp/column/part/exterior_outer-wall/articles/12347/#outline_1__1

窯業系サイディングの主要メーカー

窯業系サイディングは複数のメーカーがさまざまな商品を取り扱っています。メーカーによって、「色あせに強い」「継ぎ目が目立ちにくくきれい」など得意な機能やデザインはさまざまです。

以下では主要なメーカーとその特徴を紹介します。

●ニチハ

ニチハは外壁材や建築材料を取り扱うメーカーであり、1956年に設立されました。窯業系サイディングのトップメーカーとして、国内外で多く使用されています。

ニチハの商品の特徴は、高品質な製品とデザイン性の高い外装材料です。より本物に近く高級感のある石柄・木目柄・タイル柄・レンガ柄など幅広いバリエーションを持っています。

ニチハの主な商品ラインナップは以下の通りです。

  • リアルな質感を実現した「モエンエクセラード16」
  • 外壁の継ぎ目が目立ちにくい「Fuge」
  • きれいが長持ちする「PREMIUMSERIES」

●ケイミュー(KMEW)

ケイミューは、外壁材・屋根材・雨といなどを取り扱う大手メーカーで、2003年に設立されました。長期間きれいを保てるような「セルフクリーニング機能」や「色あせを防ぐ機能」などの独自の技術を持っています。

主な商品のラインナップには、以下のようなものがあります。

  • 雨で汚れを流す「親水パワーコート」
  • 太陽の力で汚れを分解しつつ色あせや日焼けに強い「光セラ」

人気の光セラのシリーズは40年品質で、色あせへの強さを持ち、美しい外観を長く保ちます。

●旭トステム外装

旭トステム外装は、AGCとLIXILが統合して2004年に設立しました。窯業系・金属系・樹脂系のサイディングや、外装壁タイル、屋根材など幅広く取り扱っています。

独自のシーリングレス工法により、経年劣化によるシーリング切れや汚れの心配がありません。天然石をモチーフにした大割石積柄や、モダンですっきりしたボーダー柄など洗練されたデザインにもこだわっています。

主な商品は、汚れにくく色あせしにくい「AT‐WALLシリーズ」です。

参考サイト:
https://www.nuri-kae.jp/column/part/exterior_outer-wall/articles/1279/#2
https://hapisumu.jp/category/exteriorwall-reform/74082/
https://gaihekitosou-hotline.com/yougyoukei-siding-maker/
https://rentry.jp/paint/siding_maker_gaiheki_tosou/

メリットが多い窯業系サイディングで外壁をリフォームしよう

外壁は見た目だけではなく、雨風や紫外線から守ってくれる重要な役割りを担っています。そのため、外壁材に何を選ぶか慎重に選ばなければなりません。

窯業系サイディングは、コスパやデザイン性に優れているため多くの新築住宅で採用されています。外壁工事の質が、業者の技術に左右されない点も人気の理由です。

本物の質感と異なる点や定期的なメンテナンスが必要な点はデメリットですが、各メーカーの技術の進歩によりデザイン性が高く、経年劣化しにくい商品が登場しています。まずは、自宅に合う窯業系サイディングを見つけるために、リフォーム会社に相談してみましょう。

リフォーム会社をお探しの方は、工事やリフォームを無料で一括見積ができる「ミツマド」がおすすめです。外壁工事に詳しい専門スタッフが、ご要望に合う業者を複数紹介してくれるのでスムーズにリフォームを進められます。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

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