2024.03.05

モルタル壁のメリット・デメリット|壁の主な種類と症状別の補修方法

モルタル壁のメリット・デメリット|壁の主な種類と症状別の補修方法

モルタル壁とは水、セメント、砂を混ぜた「モルタル」を使用した外壁です。デザイン性高く仕上げられるのが特徴で、住宅や店舗など幅広い外壁に使用されます。

モルタル壁を使用することはよい面ばかりではありません。モルタル壁は経年や環境による劣化に弱い面があり、定期的なメンテナンスが必要な外壁です。

本記事では「リフォームでモルタル壁を採用するか検討している」という方へ向けて、モルタル壁のメリットとデメリットを解説します。

目次

モルタル壁にするメリット・デメリット

壁のリフォームは高額な費用がかかるため失敗したくありません。

以下より、モルタル壁にするメリットとデメリットについて解説します。後悔しないためにもモルタル壁の特徴をしっかり理解しましょう。

モルタル壁にするメリット

モルタル壁には以下6つのメリットがあります。

  • 自由な発想でデザインできる
  • 継ぎ目のない綺麗な壁に仕上げられる
  • コーキング補修が必要ない
  • 耐火性・耐久性に優れている
  • DIYで補修できる場合がある
  • 温かみのある雰囲気を演出できる

以上についてそれぞれ説明します。

<自由な発想でデザインできる>

モルタル壁は職人が手作業で仕上げを行います。タイル状、レンガ調、シンプルなコンクリート状など、さまざまな仕上がりが可能です。

デザインに決まりや限界がないため、アイデア次第では自身の発想を活かしたオリジナルの外壁にできます。

<継ぎ目のない綺麗な壁に仕上げられる・コーキング補修が必要ない>

モルタル壁はペースト状の外壁材を使用した塗り壁で継ぎ目がないのが特徴です。継ぎ目ができてしまうサイディングとは違い滑らかな仕上がりにできますし、コーキング補修の手間がかかりません。

<耐火性・耐久性に優れている>

モルタル壁はセメント・砂・水などを混ぜ合わせた不燃性の塗材を使用します。耐火性に優れており、火災時に延焼しにくい、有毒ガスの発生が少ないといったメリットがあります。

モルタル壁は耐久性において優秀な外壁です。強度があるため、強風により飛来物があたっても破損しにくく、台風や暴風の際に安心感を得られます。

モルタル壁の耐用年数は20~30年と比較的長めですが、メンテナンスを怠ると寿命を縮めてしまいます。7~10年に一度は定期的なメンテナンスを行いましょう。

<DIYで補修できる場合がある>

モルタル壁は色あせや小さなひび割れであればDIYで補修できる場合があります。DIYで補修する際に必要なのは材料費のみであるため、塗装業者に依頼するより費用を抑えられます。

<温かみのある雰囲気を演出できる>

モルタル壁の仕上げは職人が手作業で行います。表面にざらつきをつける、凹凸模様をつけるなど、手作業ならではの温かみのある雰囲気を演出できます。

反対にグレーで平面的なコンクリート調の壁に仕上げることで、地下駐車場のようなクールな雰囲気に仕上げることも可能です。

モルタル壁にするデメリット

モルタル壁にするデメリットは以下の4つです。

  • 仕上がりの品質にばらつきが出るおそれがある
  • ひび割れ(クラック・構造クラック)が起こりやすい
  • 凹凸のある仕上げにすると汚れやカビが目立ちやすい
  • 工期が長くコストが高くなりやすい

<仕上がりの品質にばらつきが出るおそれがある>

モルタル壁は施工に時間を要して仕上げに時間をかけられなかったり、職人の腕が良くなかったりすると仕上がりにばらつきが出るおそれがあります。仕上げまでの工程をすべて手作業で行うため、美しく仕上げるためにはそれなりの時間と高い技術が必要です。

特に意匠をこらした壁にしたい場合は熟練の職人に依頼する必要があります。

<ひび割れ(クラック・構造クラック)が起こりやすい>

モルタルは水分に弱く防水機能があまり高くありません。乾燥と湿潤を繰り返すとひび割れ(クラック・構造クラック)や剥がれなどが起こりやすくなってしまいます。

クラックは表面的なひび割れ、構造クラックは基礎部分のひび割れを意味します。

<凹凸のある仕上げにすると汚れやカビが目立ちやすい>

凹凸のある仕上げにした場合、汚れが目立ちやすい点もデメリットです。カビや苔、土の汚れが溜まりやすいうえ、水分が蒸発しにくい性質をもっています。

陰になる箇所に外壁がある場合や湿度が高い地域に住んでいる場合は、カビや苔が生えやすいため注意しましょう。

<工期が長くコストが高くなりやすい>

モルタル壁の施工は職人が手作業で行うため長い工期が必要です。人件費や材料費がかさんでしまいコストが高くなる傾向があります。

モルタル壁はコストよりも仕上がり重視の方におすすめな外壁です。

モルタル壁の仕上げの主な種類

モルタル壁の仕上げは、主に以下の5種類があります。

  1. リシン吹きつけ
  2. スタッコ
  3. 吹きつけタイル
  4. リシンかき落とし
  5. 左官仕上げ

それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解し、どの仕上げ方法が自分の理想に近い壁に仕上げられるか検討しましょう。

以下より、それぞれの特徴を簡潔に説明します。

リシン吹きつけ

リシン吹きつけとは、リシンを壁に吹き付ける仕上げ方法です。リシンとは樹脂やセメント、着色材に骨材(細かい砂や砂利)を混ぜた塗材を指します。

ザラザラとした手触りが特徴で、モルタル壁の仕上げ方法としてはスタンダードな仕上げです。

吹き付けする塗料が少ないため比較的安価に仕上げられます。ただし表面が凸凹しているため、汚れが目立ちやすい点がデメリットです。

スタッコ

スタッコは壁にセメント系や合成樹脂を盛り付けたあと、骨材を混ぜた塗材を5〜10mmくらいの厚さで吹きつけて仕上げる方法です。リシン吹き付けに比べて模様が大きく立体的であるため、重厚感や高級感を演出できます。

吹きつけ後の仕上げはローラーで凹凸をならす「ヘッドカット仕上げ」と、そのまま乾燥させて仕上げる「吹き放し仕上げ」の2パターンがあります。

スタッコは塗材を大量に消費する仕上げ方法であるため、リシン吹きつけに比べて価格が高くなる点がデメリットです。

吹きつけタイル

吹きつけタイルは専用のスプレーガンを使用して1〜5mmの厚さで塗材を吹き付ける方法です。タイルの粒サイズはスプレーガンの口径を調整することで自在に変えられます。骨材が入っていない分、陶磁器のような滑らかな質感に仕上げられるのが特徴です。

伸縮性が高い弾性塗材を使用することで、ひび割れが起こりやすいモルタル壁の欠点をカバーできる点が、吹きつけタイルならではのメリットです。

最後の仕上げは、スタッコと同様に「ヘッドカット仕上げ」と「吹き放し仕上げ」の2パターンを選べます。

リシンかき落とし

リシンかき落としは、左官仕上げにブラシや剣山を引っかけて仕上げる方法です。表面の凹凸は細かくザラザラとした手触りが特徴で、落ち着いた雰囲気を演出できます。

モルタルの色やかき落とし方、骨材の色や粒のサイズによって表情が変わる優れたデザイン性を持ち合わせています。

経年による味わいを楽しめるのもリシンかき落としならではの魅力です。外壁は一般的に経年劣化で汚れていきますが、リシンかき落としは年月が経つほど渋さや味が出てきます。

重厚感ある雰囲気を演出できるリシンかき落としは、高級住宅でよく用いられています。

リシンかき落としのデメリットは、手間がかかるため費用が高くなりやすい点です。

左官仕上げ

左官仕上げは、左官職人がコテを使って仕上げる方法です。デザインの自由度が高く、コテの形状によって伝統的なデザインからモダンなデザインまで幅広く表現できます。

たとえば上記の写真は「蓮波(れんなみ)」と呼ばれる仕上げ方法です。扇形の模様を繰り返すことでやわらかい雰囲気を演出することができます。

他にも、正倉院の校倉造のような横木を積み上げたスタイリッシュなデザインの「校倉」と呼ばれる仕上げ方法もあります。

左官仕上げはおしゃれでインテリア感があるため、住まいだけなく店舗などの幅広い建物で使用されています。

【劣化症状別】モルタル壁の補修方法

以下では症状別にモルタル壁の補修方法を解説します。

色あせ(変色)

・症状の概要

モルタル壁は表面の塗膜が紫外線や風雨の影響により劣化すると、ツヤを失ったり色味がくすんだりして色が変わります。

色あせや変色は美観を損ねるだけでなく、塗材の防水性能も低下している状態です。放置すると悪化するため早めの補修をおすすめします。

・補修方法

色あせの補修は再塗装で行います。狭い範囲であればDIYでの補修が可能です。

注意点は、塗装技術が足りていないとひび割れが起こりやすくなる点です。DIYをする際は、高い塗装技術が必要であることを念頭に置いておきましょう。

色あせが広範囲になっている、高所作業を要する、デザインが複雑である場合などは専門業者に依頼してください。

チョーキング

・症状の概要

チョーキングとは、外壁を触った際にチョークような白い粉が付着する現象です。塗材の樹脂が劣化することにより生じます。

チョーキング現象が生じている場合は、塗材の防水性能が失われている可能性が高いためなるべく早く補修しましょう。

・補修方法

チョーキングが生じている場合は、塗膜の防水性を復活させるため洗浄してから再塗装をします。DIYでの補修は可能ですが、なるべく専門業者に依頼するのがおすすめです。

チョーキングが見られる場合は、外壁の全範囲で劣化が生じている可能性があります。カビや苔などから壁を長期的に保護するには下地処理を徹底しなければならないため、専門的な技術が必要です。

カビや苔の発生

・症状の概要

カビや苔は日当たりが悪く湿気の多い環境で発生します。塗膜の耐水性や耐汚染性、防カビ効果が薄れている可能性が高いため早めに補修を行いましょう。

・補修方法

カビや苔の除去は狭い範囲であればDIYでの補修が可能です。専用の洗剤やスプレーを使用して柔らかいスポンジでこすり洗いをしましょう。

頑固で落ちきらないカビや苔は、高圧洗浄機を使用すると簡単に落とせます。水を噴射する際は壁を傷めないよう水圧を調整しながら行いましょう。

カビや苔が広範囲に拡がっていたり高所に繁殖している場合は、専門業者に依頼するのがおすすめです。カビや苔を除去してから再塗装することで、再繁殖を予防する効果が期待できます。

ひび割れ

・症状の概要

外壁のひび割れは、衝撃や寒暖差、劣化など多様な原因があります。

ひび割れを放置すると水が浸入してモルタルを傷めたり、家の内側にまで浸入した水分によりカビや腐食が発生する危険性があります。ひび割れを見つけた場合は早めに対処しましょう。

・補修方法

小さなひび割れは塗膜にひびが入っている状態です。ひび割れ幅によってはDIYでの補修も可能です。

ひび割れ幅が0.3mm程度の場合は、ひび割れにエポキシ樹脂を注入する「シール工法」で補修しましょう。1.0mm未満くらいの場合は、ひび割れに沿って座金を取り付け、樹脂を注入する「樹脂注入工法」で補修できます。

ヘアクラックと呼ばれる0.3mm未満の細かいひび割れは、シーリング材を塗り込めば補修できるためDIYも可能です。

ただしひび割れ幅が0.3mm程度であってもDIYでの補修が困難な場合があります。深さが5mm以上の構造クラックや、幅1.0mm以上の大きなひび割れは専門的な技術や知識が必要です。DIYをすると症状を悪化させてしまう可能性があるため専門業者に依頼をしましょう。

塗膜の膨れ

・症状の概要

塗膜の膨れは、雨水の侵入や直射日光、湿気、透湿性の低い塗材の使用などが原因で生じます。モルタル仕上げや窯業系サイディングの直貼り工法などで起きやすい症状です。

雨漏りの原因となるため早めに補修しましょう。

・補修方法

塗膜の膨れは再塗装で補修できます。ポイントは「膨れを除去してから再塗装を施す」ことです。

膨れた塗膜を残したまま再塗装すると時間の経過で塗膜が剥がれてしまいます。膨れた部分のみを取り除くには高い技術が必要になるため専門業者に依頼しましょう。

剥がれ・欠損

・症状の概要

衝撃や寒暖差、塗膜の劣化などにより、外壁の塗装が剥がれたり浮いたり欠損が生じたりしている状態です。放置すると雨漏りに発展する可能性が高く、住宅の寿命を縮めてしまいかねません。見つけたらなるべく早めに補修しましょう。

・補修方法

モルタル壁の剥がれや欠損は専門業者による補修が必要です。DIYで下塗りや下地の準備が不足すると、剥がれや浮き、欠損が起こりやすくなってしまいます。

剥がれや欠損の補修をする際は、自治体の助成金制度や保険会社の火災保険を利用できる場合があります。居住地域や外壁の状況によって適用条件が異なるため、依頼前に確認しておきましょう。

モルタル壁はデザイン性に富んでいるがメンテナンスの手間がかかる

モルタル壁は芸術的な仕上げ方ができたり、機能面において優れていたりと魅力的な外壁です。しかし防水性が低いためカビや苔が発生しやすい、ひび割れが起こりやすいといったデメリットもあります。

メリットとデメリットを比較し、よく検討してから外壁を決定しましょう。

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