防水塗装の基礎知識
防水塗装と似た言葉に「防水工事」「塗装工事」があります。しかし、何が違うのかわからず困っていませんか?
防水塗装の必要性や構造など、事前に知っておきたい基礎知識について紹介します。正しい知識を身につけ、防水塗装が必要かどうか検討しましょう。
防水塗装とは?
防水塗装とは、主に住まいのベランダやバルコニー、屋根など雨に晒される場所に施す塗装です。高い防水機能をもつ塗料を重ねて「防水層」を作り、雨水が屋内に浸入することを防ぎます。
「防水塗装」は正式名称ではなく、混同されがちな「防水工事」や「塗装工事」と区別するための言葉として広まりました。
「防水工事」とは、防水材や防水シートを使用して雨漏りを防ぐ工事です。防水塗装とは違い、塗料を使用しません。
「塗装工事」とは、屋根や外壁を紫外線や水などの外的ダメージから保護する目的で行われる工事です。防水に特化した防水塗装とは違い、建物の美観を保つ意味合いが強いことが特徴です。
屋外に使用される塗料には、基本的に防水機能が備わっています。防水塗装に使用される、特に防水性の高い「弾性塗料」は、一般的な塗料と区別するため「防水塗料」と呼ばれています。
防水塗装が必要な理由
防水塗装は建物の寿命を伸ばす重要な役割を果たします。
日本の戸建てのほとんどは木造です。外壁や屋根内部に水が浸入すると、構造材の腐食により耐震性や耐久性が下がってしまいます。
また、住まいの外敵であるシロアリの好物は湿った木材です。建物内部に水が浸入すると、シロアリが繁殖しやすい環境になります。建物の骨組みになる構造材(木部)を食い荒らす危険性があり、耐震性や耐久性に影響を与えかねません。
建物内部に水が侵入した結果、見えない場所にカビが発生し、アレルギー症状のように人体に悪影響を及ぼすケースもあります。
防水塗装をせずに放置すると、建物に水が侵入しさまざまな悪影響が発生します。住まいと住人の両方を守るために、定期的な防水塗装が必要です。
防水塗装の2層構造
防水塗装は「防水層」と「トップコート」の2層から構成されます。
防水層とは、下地の処理を行った上に重ねて作られる層のまとまりです。防水機能の高い弾性塗料を重ねることで、雨水の浸入を防ぎます。
防水層を紫外線から保護する目的で塗装する塗料が「トップコート」です。トップコート自体に防水性はありません。定期的にトップコートを塗りなおすことで、防水層の機能を長持ちさせることができます。
防水塗装の主な種類と費用の相場
防水塗装で主流とされている3つの塗装法について、特徴や費用相場、耐用年数について紹介します。
予算や希望と照らし合わせ、適切な方法を選択しましょう。
ウレタン防水
ウレタン防水は、防水塗装のなかで一般的な塗装法です。「ポリウレタン」を素材とした塗料を使用しており、ゴムのような材質で高い密着力があります。
伸縮性に優れているため、どのような形状の場所にも塗装しやすい点がメリットです。狭いベランダやバルコニーにも塗装できます。
デメリットは、施工完了までに時間を要する点です。ウレタン防水に使用する塗料は、乾くまでに12~20時間ほどかかります。完全に乾いてからでないと次の層を塗れないため、完了までに約4~5日かかる場合があります。
費用相場は1平米あたり2,500~7,000円です。他の防水塗装と比べて費用が安いにも関わらず防水性が高いため、幅広いシーンで採用されています。
ウレタン防水の耐用年数は約10~13年程度です。
FRP防水
FRP防水とは、ベランダやバルコニーなどの雨水に晒されることが多い場所に使用される防水塗装です。水を溜め込むプールや貯水槽などにも使用されます。
FRPとは「ガラス繊維強化プラスチック」の略語です。ガラス繊維のマットの上にポリエステル樹脂を塗布することで、プラスチック単体よりさらに強い防水性を発揮します。
硬くて頑丈なのが特徴で、大型施設の屋上防水に使用される場合もあります。
デメリットは頑丈であるがゆえに伸縮性がない点です。経年により収縮しやすい木造建物のベランダや広いバルコニーには向いていません。防水塗装を施したい場合は、FRP防水とマッチする場所かどうか十分に吟味しましょう。
費用相場は1平米あたり4,000〜8,000円です。ウレタン防水と比べ費用が高いことがFRP防水のデメリットでもあります。
FRP防水の耐用年数は約12~20年程度です。
アクリルゴム防水
アクリルゴム防水は、液状のアクリル樹脂を使用する防水塗装です。伸縮性に優れているため、複雑な場所や形状に対応できます。継ぎ目がないシームレスな仕上がりで、見た目が美しいのも特徴です。
費用相場は1平米あたり5,000〜8,000円です。
耐用年数は約10~13年とされています。
防水工事の工程や工事実施のタイミングについて詳しくはこちらをチェック!
DIYで防水塗装を行う手順
「DIYで防水塗装の費用を抑えたい」とお考えではありませんか?
防水塗装でDIYができるのは一部分のみです。防水層の施工は専門的な技術が必要になるため、素人では難しいのが実状です。DIYで防水塗装を行う場合は、トップコートの塗装のみにしましょう。
以下、防水塗装をDIYできるケースや必要な道具など、DIYする際に知っておくべき知識を解説します。
防水塗装をDIYできるケース
防水塗装をDIYできるのは、塗装箇所の劣化が進んでいない場合に限ります。すでに劣化が進んでいる場合にDIYをすると、かえって悪化させてしまう可能性があるためです。
下記のように劣化が進んでいる場合には、専門業者への依頼を検討してください。
- ひび割れがある
- トップコートの剥がれにより防水層が見えている
- 雨漏りが起こっている
ただし、防水塗装の仕上がりは業者や職人の技術によって左右されます。事前に施工事例を確認し、優良業者に依頼をしましょう。
・ベランダやバルコニーなどを塗装する
ベランダやバルコニーなどの安全性が保たれる場所であれば、DIYで防水塗装が可能です。
しかし、屋根塗装や外壁塗装などの高所作業は安全性に注意すべき点が多く、危険が伴います。安全を確保できる足場やヘルメットの準備などの安全対策が必須です。無理してDIYせず、専門業者に依頼した方が安心です。
・DIYが可能な構造になっている
トップコート塗装をDIYできるかどうかは、塗装箇所の構造によります。
ウレタン防水もしくはFRP防水が施されている場合はDIYが可能です。防水層の除去や塗り直しは、専門的な技術が必要となるため、専門業者に依頼しましょう。
また防水塗装が施されていないむき出しのコンクリートは、水性塗料などでの表面塗装が可能です。防水塗装が施されている場所とは違い、紫外線や雨によるダメージを強く受けている場合があります。事前にひび割れや目立った傷がないか確認しましょう。
シート防水が施されている場合は、DIYができません。シート防水を補修する際は、傷んだシートを一度剥がし、新しいシートに交換する必要があります。初心者には困難であるため、専門業者に依頼しましょう。
DIYで防水塗装をするときに必要な道具
以下の道具が必要です。
- 汚れても良い服
- 軍手
- 金属ベラ(スクレーパー)
- 塗装用ローラー
- ローラー用バケツ
- 刷毛
- 高圧洗浄機(ホースでも可)
- ほうきとちりとり(掃除機でも可)
- 養生テープ
- 養生ビニールシート
- トップコート防水塗料
- 下塗り塗料
防水塗装に必要な道具は主にホームセンターで手に入ります。ホームセンターで入手できない場合は、ネット通販を利用すると業者に依頼する50~80%ほどの価格で道具を揃えられます。塗装業者のECサイトで必要な道具をセット販売しているケースもあるため、気になる方は確認してみてください。
DIYで防水塗装を行う手順
Step1.下地処理
まずは床面を掃除しましょう。デッキブラシや高圧洗浄機などの清掃道具で、床面をきれいにします。トップコートを塗りなおす場合は、剥がれかけたトップコートを金属ベラで剥がしながら、高圧洗浄機やほうきなどで細かい汚れを落とします。
Step2.養生
下地処理を終えたら、養生を行います。養生テープや養生ビニールシートを使い、壁や窓が汚れないようにしましょう。養生をしておくことで、誤って塗料が飛び散ってしまった場合に汚れることを防げます。
Step3.下地(プライマー)塗り
壁や窓への養生を終えたら、床面にプライマーを塗ります。プライマーとは、下地と防水材の接着力を高める下地塗料です。ムラができないようローラーや刷毛を使用し、丁寧に塗るのがポイントです。塗り終えたら乾燥させましょう。
Step4.防水塗料塗り
プライマーが乾燥したら防水塗料を塗ります。防水層の加工を自力で行う場合は、耐久性を高めるために二度塗りが必要です。ローラーや刷毛を使い、厚みにムラがでないようしっかりと塗りましょう。完全に乾燥させてから2回目を塗り、再度乾燥させます。
仕上げにトップコートを刷毛やローラーを使用して塗布し、乾燥させたら完成です。
防水塗装をご検討中の方は、ミツマドにご相談ください
防水塗装の寿命は10~20年と幅広いのが特徴です。寿命を長持ちさせるためには、5年~10年に一度の定期的なメンテナンスが欠かせません。
また防水塗装はDIYできますが、あまりおすすめではありません。DIYで防水塗装を施すのは、ひび割れや雨漏りを悪化させてしまう危険性があるうえ、道具を揃える手間や労力もかかります。
防水塗装に詳しい専門スタッフが、ご要望に合う業者を複数紹介してくれるのでスムーズに施工を進められます。
ぜひお気軽にお問い合わせください。