2024.02.28

ベランダ防水工事はなぜ必要?主な種類とかかる費用・工期の目安

ベランダ防水工事はなぜ必要?主な種類とかかる費用・工期の目安

「ベランダにひび割れがあって、このままにしていたら雨漏りしてしまいそう…」

「築年数も古くなって、ベランダの防水機能が落ちていないか心配…」

ベランダやバルコニーの床は雨や紫外線の影響を受けやすく、定期的な防水工事のメンテナンスが必要です。

防水機能が低下すると雨漏りが原因で腐食やカビが発生し、ベランダだけでなく建物自体の劣化に繋がってしまいます。

またベランダ防水工事には3つの方法があり、それぞれの特徴を理解して選択しなければ、後々後悔してしまいかねません。

今回はベランダの防水工事について徹底解説します。基礎知識や各施工方法の特徴、DIYで修繕できる方法を理解しましょう。

目次

ベランダ防水の仕組みと必要性

ベランダ防水は、雨水が建物内に侵入したり劣化したりするのを防ぐために重要な工事です。

ベランダ防水工事がどのように行われているのか、防水工事をすることで予防できる症状について解説します。

ベランダ防水の仕組み

ベランダ防水工事は、ベランダ床に防水性のある素材を使用します。

おもにウレタン樹脂や繊維強化プラスチックスなどを使用して塗装する「防水層」と、ポリエステル系の「トップコート」と呼ばれるコーティング専用の塗料で仕上げる工事を指します。

防水層は、雨漏りなどの漏水が建物に侵入するのを防ぎ、建物自体を劣化から守る働きがあります。一方、トップコートには防水の機能はありません。防水層を保護し劣化から守るために重要な役割を果たします。

ほかにも、合成ゴムや塩化ビニールなどを使用したシートを貼ってトップコートで仕上げる防水処理方法もあり、これらは施工箇所や予算に応じて選べます。

ベランダ防水が必要な理由

建物内部へ雨水が侵入するのを防ぐためには、ベランダの防水が必要です。

ベランダは日々の雨風や紫外線にさらされているだけでなく、ベランダを歩いた時の摩擦などによって、年月とともに劣化が進みます。

ベランダに起こるひび割れや剥がれ、コケやカビの繁殖、雨水が溜まるなどの影響で建物内部に雨漏りが発生する恐れがあります。

建物内部に雨水が侵入すると防水加工が剥がれ、サビや腐食が進んだりシロアリが発生したりしやすくなるなどのトラブルを招きかねません。そのため、ベランダ防水は定期的に適切なメンテナンスが必要です。

防水工事を長期間放置すると建物の寿命にも影響するため、劣化が始まるおおよそ10年を目途に防水塗装のメンテナンスを検討しましょう。

ベランダ防水工事の主な種類

ベランダ防水工事にはおもに3種類の施工方法があります。
それぞれの特徴や工事にかかる単価費用を知り、自分に適した方法がどれか判断しましょう。

FRP防水

FRP防水とは、FRPをシート状にしたものに樹脂を塗り防水槽として貼り付ける工法です。FRPを保護するためにトップコートを塗って仕上げます。

FRPとは、繊維強化プラスチックというガラス繊維が含まれたプラスチック(ガラスマット)のことです。防水用プラスチック素材の中でも耐水性や耐水性が非常に高く、成型性にも優れているのが特徴です。そのためベランダだけではなく以下のような多種多様なものに採用されています。

  • 浴槽
  • プール
  • 公園の遊具
  • 船舶
  • 宇宙ロケット

FRP防水のメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット
・耐久性、耐水性が高い
・多種多様なデザイン性に優れている
・軽量で建物への負担が少ない
・工期が短い

劣化の要因である摩擦にも耐えられる耐久性で、人の歩く頻度の高いベランダや車が行き来する駐車場にも向いています。素材は軽くて丈夫なため、建物の負担も少なく築古住宅にもおすすめです。

またほかの防水工事と比べて塗りムラになりにくく、きれいな仕上がりになります。

着色やデザインの自由度が高く、防水層自体は施工から1~2時間という速乾性があり、トップコートの塗布も含め工期はわずか1~3日ほどです。

デメリット
・紫外線に弱い
・広い面積には不向き

FRPはプラスチックのため長時間の紫外線照射には弱いという欠点があります。トップコートを塗布することで塗膜をつくり耐久性を高くできるため、施工後は定期的にメンテナンスを行いましょう。

またFRPは伸縮性がなく歪みなどに弱いため、ひび割れしやすい特徴があります。建物の変形量が大きい広い場所への施工は向いていません。

FRP防水工事の費用、工期、耐用年数は以下の通りです。

  • 費用相場:1平米あたり4,000円~1万4,000円
  • 工期目安:1~3日
  • 耐用年数:10~15年

FRP防水工事にかかる費用は、ほかの工事と比較するとやや高めです。またトップコート塗り替えのメンテナンスが必須で、その費用は3万円~5万円ほどかかります。

耐用年数となる10~15年ほどが経ったらもう一度防水工事を検討しましょう。またFRP防水は、定期的にメンテナンスが必要です。毎年剥がれやひび割れなどがないか目視で確認し、たとえ劣化の症状が見られなくても防水層の耐久性を維持するため、5年に1度はトップコートを塗り替えましょう。

シート防水

シート防水は下地処理した床面に下地とシートをしっかり接着させるプライマーを塗り、厚さ1~2mm程度の塩化ビニール樹脂シートやゴムシートを貼り付ける工法です。必要に応じてトップコートで仕上げます。

以前はゴムシートが主流でしたが、近年ではより厚くて丈夫な塩化ビニール樹脂シートの方が多く採用されています。

耐久性があり紫外線にも強いため、ベランダやバルコニーだけでなく、屋上のような平らで面積が広い場所にもおすすめです。

一方でシート防水はロールタイプであるため、その形状上、隙間を埋める施工や凹凸のある床面など複雑なベランダには向いていません。

シート防水に使用する塩化ビニール樹脂シートとゴムシートとでは、メリット・デメリットが異なり、それぞれの特徴や違いは以下の通りです。

【塩化ビニール樹脂シート】

メリット

  • 耐久性が高い
  • 紫外線に強く、耐摩耗性が高い
  • トップコートが不要なケースがある
  • 厚みが均一で品質が安定している

デメリット

  • 凹凸のある床面には不向き
  • 接合部分の施工は難易度が高い

【ゴムシート】

メリット

  • 伸縮性がありひび割れしにくい
  • 温度変化に強い
  • 費用が比較的安い

デメリット

  • 耐久性が比較的低い
  • 紫外線に弱い

塩化ビニール樹脂シートは劣化の原因となる紫外線や熱に強く、耐久性にも優れているためトップコートが不要なケースがあります。

ゴムシートは伸縮性があり下地の動きに追従できるため、ひび割れの原因を防ぎます。

シート防水工事の費用、工期、耐用年数は以下の通りです。

  • 費用相場:1平米あたり2,500円~1万2,000円
  • 工期目安:1~7日
  • 耐用年数:10~20年

ゴムシートよりも塩化ビニール樹脂シートの方が費用はかかりますが、その分耐用年数も長くなります。

シート防水の経年劣化により張替をする場合は、既存の防水シートの撤去費用と廃材処分費が上乗せされることを知っておきましょう。

シート防水の場合、劣化してくるとシートがボコボコと浮き上がったように見えたり、破れたりめくれたりしてきます。そのような症状が見えたら交換を検討しましょう。

ウレタン防水

ウレタン防水は塗膜防水とも呼ばれます。液状のウレタン樹脂塗料を何度も塗り重ね、継ぎ目なく水を通しにくい防水膜が作れる施工方法で、その厚さは3mmほどあります。

ウレタン樹脂はポリウレタンというプラスチック樹脂素材で、低反発マットレスなどにも利用される素材です。ゴムのような素材なため柔軟性や防音性に優れており、陸屋根のような屋根材にも多く採用されています。

ウレタン防水のメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット

  • 凹凸や複雑な形状に適している
  • 継ぎ目のないキレイな仕上がり
  • 費用が比較的安い

ウレタン素材の最大のメリットは、ひび割れを起こしにくく継ぎ目なくキレイに仕上がることです。ゴムのような材質の特性を活かし、柔軟性や弾性、防音性に優れています。

さらに床の形状を選ぶことなく段差や凹凸のある場所にも向いているため、ベランダやバルコニーだけでなく屋根工事にも採用されています。

またウレタン防水のメンテナンスは、表面のトップコートを高圧洗浄などでキレイにするだけで塗り重ねが可能です。シート防水などのような廃材が出ないため、ほかの施工よりもメンテナンス費用が比較的安価に済みます。

デメリット

  • 塗料の乾燥時間が長い
  • 施工技術が必須

ウレタン防水は樹脂塗料の乾燥時間が必要で、ほかの防水工事と比較すると約2倍ほどの工期がかかります。

さらにウレタン防水工事は、職人の手作業となり均一に仕上げるための熟練の技が必須です。
悪徳業者や経験の少ない職人さんによる施工不良の場合、均一に仕上がらず、雨水が排水溝へうまく流れなかったり、水たまりができたりする可能性があります。

ウレタン防水工事の費用、工期、耐用年数は以下の通りです。

  • 費用相場:1平米あたり3,000円~1万3,000円
  • 工期目安:3~7日
  • 耐用年数:7〜15年

ウレタン防水の防水加工には、「密着工法」と「通気緩衝工法」とがあり、その用途によって使い分けが可能です。

「密着工法」はウレタン樹脂を下地に直接塗る施工方法で、おもに新築や劣化の程度が軽い修理などに採用されています。

「通気緩衝工法」はウレタン樹脂を床面ではなく通気緩衝シートの上から塗り、通気緩衝シート内に湿気を取るための脱気筒を取り付ける施工方法です。

別名「絶縁工法」とも呼ばれており、下地と密着させないため下地に水分が残っている状態でも施工可能です。

主に雨漏りを起こしていたり築年数が経過している場合に採用されており、湿気による防水層の膨れを防ぎます。また防水工事の中でも比較的安価で施工ができます。

ベランダ防水工事を行うサイン

ベランダ防水は劣化状況により定期的なメンテナンスが必要です。以下のような症状を参考に修繕を検討しましょう。

表面の色あせやひび・剥がれが起こっている

床の表面に色あせやひび割れ、剥がれがある場合は防水機能が低下しているおそれがあり、トップコートの塗り替えが必要です。

主な原因は紫外線や熱による経年劣化です。トップコートの劣化はすぐに雨漏りする可能性は低いものの、放置しておくことで隙間から侵入した雨水などが徐々に防水層の劣化を進行させてしまいます。

5年を目安に修繕を行いましょう。

とくにシート防水の場合、衝撃に弱く飛来物やカラスなどによって施工したすぐでも破れる可能性があります。

さらにめくれや浮き上がりが見られる場合、接合部分の剥がれにより下地にも影響していることがあるため、大規模な修繕になる可能性が高くなります。

排水口(ドレン)に水たまりができている

水たまりを放置してしまうと、防水の役割である塗膜が加水分解を起こし防水機能が低下するおそれがあります。そのため水たまりができている時には防水機能の低下を疑い、防水工事を検討しましょう。

ベランダには必ずドレンと呼ばれる排水口が設置されており、そこにゴミが溜まったまま放置してしまうと、水たまりができやすくなります。

こまめに排水口の掃除を行い正常に水が流れているか確認しましょう。

また通常ベランダやバルコニー、屋上のような場所は雨水がスムーズに排水できるよう、勾配(傾斜)が付いています。設計ミスできちんと排水できていない可能性も考えられるため、施工業者を選ぶ際にはしっかりチェックしましょう。

植物や藻が繁殖している

ベランダの床から植物が芽を出していたり、コケや藻が発生していたりする場合は防水層だけでなく下地のコンクリートまで傷んでいる可能性があります。

またコケや藻は水分や湿気を好むため、漏水などにより防水層が劣化しやすくなるため、早めに工事を検討しましょう。

雑草の根や茎は非常に丈夫で、草取り程度では簡単に消滅しません。

雨漏りが発生している

雨漏りはベランダの経年劣化によるため、緊急性の高い状態です。

おもな原因は熱や紫外線、歩行時の摩擦による経年劣化で、定期的なトップコートの塗り替えを怠ってしまうことにより起こります。

防水機能が低下したまま放置していると、雨水が建物内部に侵入してしまいます。早急に防水層自体の修繕が必要です。もし雨漏りが発生したら塗装業者へ相談し、相見積を取ることをおすすめします。

ベランダ防水をDIYで行う方法

ご自宅のベランダ防水工事は自分で行うことも可能です。

DIYでできる施工方法や注意点と、さらにDIYができなかった場合の業者の選び方について解説します。

ベランダ防水のDIYの方法

ベランダ防水は、トップコートの塗り替え程度であればDIYで施工できます。

色あせや数センチほどの部分的な剥がれの場合、ウレタン防水またはFRP防水が施工されている場合はDIYが可能です。

一方でシート防水の場合にはそもそもトップコートが不要なことも多いため、DIYでは修繕できない可能性があります。

またベランダ防水の道具はホームセンターで手軽に揃えられます。必要な道具は以下の通りです。

必要な道具

  • 汚れてもよい服や軍手
  • プライマー(下塗り塗料)
  • トップコート用塗料(ウレタン防水塗料)
  • 養生ビニールシート
  • 養生テープ
  • スクレーパー(金属ベラ)
  • 塗装用ローラー
  • ローラー用バケツ
  • ハケ
  • アセトン
  • 高圧洗浄機(ホースでも可)
  • ほうき/チリトリ

DIYは以下の手順で進めます。

①下地処理をする
剥がれかけているトップコートをスクレーパーなどで剥がし、ほうきやちりとりでゴミを取り除きます。その後、アセトンで吹き上げたり高圧洗浄機などを使ってキレイにてください。

下地処理が不十分だとトップコートが剥がれやすいくなるため、念入りに行いましょう。

②養生とプライマーの塗装
下地処理が済んだらしっかりと養生をして、下地の状態に合わせてプライマーを塗ります。

気密性を高めるための塗装ですので丁寧に行いましょう。その後3〜4時間程度しっかり乾燥します。

③トップコートの塗装
防水材であるウレタン塗料は塗装の厚みの確保と耐久性を高めるため、2度塗りが必要です。

1回目(中塗り)はコテを使い均一に仕上げ、12〜16時間ほど乾燥させます。2回目(上塗り)は、塗装用ローラーを使って重ね塗りし、ムラなく仕上げましょう。

④完成
しっかり乾燥させたら養生をはがして完成です。

DIYできない場合の業者の選び方

DIYできず業者に依頼する場合には、以下3つの業者に依頼できます。どの施工業者でも、選ぶ際の見分け方は施工事例の実績の数や、ホームページの記事などを参考にしっかり選びましょう。

①リフォーム会社やハウスメーカー
家を建てたりリフォームを行ったことがあったりする場合は、そのリフォーム会社やハウスメーカーに依頼すると、相談しやすく安心です。

防水工事は下請けの会社に依頼することが多く、仲介料が発生し施工費用が相場よりも割高となる可能性があります。

ただし防水工事には「防水工事保証制度」があり、防水工事後は保証期間内であれば定期的な点検や、不具合の際には無償で補修を行ってくれます。「防水工事保証制度」の最長保証期間は新築で10年、リフォームで5年の保証期間です。ただし建物の工事内容や状況によって変動します。


②外壁塗装専門店

外壁塗り替えや屋根塗装を専門とするリフォーム会社ですが、ベランダやバルコニー、屋上などの防水工事の対応も可能です。

塗料系の防水工事は比較的安価で、さらに外壁塗装と併せて依頼すると、工事で使われる足場の設置費や現場管理費などを抑えられます。

また外壁塗装と防水工事を同時に行うことで、雨漏り被害の対策ができるというメリットがあります。

③防水工事専門店
あらゆる場所に対応している防水工事のスペシャリストです。ゼネコンやハウスメーカーの下請けとして施工を請け負っていることが多く、防水工事の知識に非常に長けています。

ベランダのひび割れや剥がれなどの劣化の症状を見て、的確な施工方法を提案してもらえるため、防水工事だけを依頼したい場合におすすめです。

ただし、防水工事専門の店舗数がほかの業者と比較すると圧倒的に少ないため、一般的に直接依頼するのが難しいというデメリットがあります。

DIYで修繕しようする場合、以下のような注意点があります。

  • 塗装が長持ちしにくい
  • 道具一式を揃えるのに費用がかかる
  • 防水層が剥がれている場合はDIYができない

DIYが難しそうだと感じたら無理せずプロにお任せしましょう。

ベランダの防水は定期的なチェックと見直しを

ベランダの防水工事は、雨や熱、紫外線から守るための非常に重要な施工です。
住まい自体の寿命までも短くしてしまう恐れがあり、定期的なチェックや修繕を行いましょう。

防水工事の中にはFRP防水・シート防水・ウレタン防水があり、それぞれ特徴やベランダの形状によって向き不向きがあります。

トップコートを塗る工程であればDIYでも施工可能ですが、自身で判断が難しかったり劣化がひどい状態だったりする場合には、業者にお任せするのがおすすめです。

業者をお探しの方は、工事やリフォームを無料で一括見積ができる「ミツマド」がおすすめです。

ベランダの防水に詳しい専門スタッフが、ご要望に合う業者を複数紹介してくれるのでスムーズに施工を進められます。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

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