リシン吹き付けとは?
リシン吹き付けとは、どのような外壁塗装なのでしょうか?使用する材料や塗装方法などについて解説します。
リシン吹き付けは外壁塗装を仕上げる方法のひとつです。リシンはセメントと樹脂に骨材(細かい石や砂)を加えてつくる仕上げ材です。
塗装する際はスプレーガンを使って壁に吹き付けます。骨材を使っているため表面がデコボコで、ザラザラとした手触りに仕上がるのが特徴です。
陰影ができるのでデザイン面でも人気があります。特に外壁材がモルタルの壁に用いられます。
リシン吹き付け塗装にはかつてアスベストが使用されていました。現在は使用が禁止されていますが、2006年以前の住宅でリシン吹き付けを行っている場合はアスベストが使用されている可能性があります。
もしアスベストが使用されている場合は適切な処置が必要です。専門家に相談し自宅にアスベストが使用されているかどうか調査してもらいましょう。
リシン吹き付けの費用相場と工程
リシン吹き付けにはどれくらいの金額がかかるのでしょうか?費用の相場を知り、業者の出す見積もりが適正な金額かどうか判断できるようにしましょう。
また工程についても解説します。それぞれの工程に必要な工期を把握し、リフォーム計画を立てる際に役立ててください。
リシン吹き付けの費用相場
リシン吹き付けの費用相場は、1㎡あたり約1,000円です。外壁塗装の他の仕上げ方と比べると半額以下で施工できる場合があります。そのため1回の工事費を抑えたい場合におすすめします。リシン吹き付け以外の仕上げ方の費用相場は、以下の通りです。
・スタッコ仕上げ 1㎡あたり約2,500円~3,000円
セメントに骨材(細かい石や砂)を加えてつくる仕上げ材で、重量感ある仕上がりになります。
・吹き付けタイル仕上げ 1㎡あたり約2,000円~3,500円
樹脂に寒水石や骨材(細かい石や砂)を加えてつくる仕上げ材で、タイルのようにつやのある仕上がりになります。
・左官仕上げ 1㎡あたり約4,000円~5,000円
自然素材を使い、熟練の左官職人が手作業で模様をつけていく仕上げ方です。
また、平米当たりの作業費用の他にも、足場の設置費用や洗浄費用、アスベストの処分費用が必要になる場合があります。
リシン吹き付けの工程
リシン吹き付けは以下のステップで進行します。
Step1. 高圧洗浄で汚れを除去する
Step2. 下地を補修する
Step3. 養生を行う
Step4. 吹き付けを施す
それぞれの工程でどのような作業がされているか、どの程度の日数が必要かを把握しましょう。
Step1. 高圧洗浄で汚れを除去する
2階建て以上の建物は、高所での作業や移動をしやすくするために足場が必要です。そのため最初に、約半日で足場を設置します。
足場ができたら外壁を高圧洗浄します。カビなど様々な汚れを取り除くためです。汚れを除去することで、下地と塗料が密着しやすくなります。
高圧洗浄をしないと、せっかく塗装し直してもまたすぐに劣化してしまいます。洗浄後は、約1日かけて乾燥させてから次の工程です。
Step2. 下地を補修する
足場を組んで高圧洗浄が終わったら、高圧洗浄でも落としきれなかった汚れを手作業で丁寧に取り除いく作業を行います。
その後、下地に損傷がないかどうか調べます。ひび割れや傷があれば、シーリング材(外壁の隙間を埋める建築材料)を充填します。
ひび割れや傷の補修は塗料の持ちをよくしたり、住宅全体の劣化を防いだりするために重要な作業です。建物の鉄部分がサビている場合はサビ止め処理もします。
作業日数は約1日を想定してください。
Step3. 養生を行う
下地の補修が終わったら、屋外に置いてある施主の私物を室内や倉庫にしまう必要があります。必要ないものが置いてあると作業の邪魔になったり、塗料が飛んで汚れてしまったりする可能性があるからです。
しまえるものをしまったら、どうしても動かせないものをビニールの保護材で養生します。たとえば室外機や車、玄関や窓サッシなどです。
この工程は約1日かかります。
Step4. 吹き付けを施す
養生が終わったら最終工程の吹き付け塗装です。リシン専用のスプレーガン、リシンガンで壁に吹き付けていきます。
他の外壁塗装と変わりなく「下塗り」「中塗り」「上塗り」3回に分けての仕上げです。基本的には、それぞれ1日かけて塗装し、さらに1日かけて乾燥させる作業を繰り返します。
吹き付けの作業だけで6日かかる計算です。
リシン吹き付けのメリット・デメリット
比較的安価で施工でき、モルタル壁の外壁塗装によく使用されるリシン吹き付けですが、もちろんデメリットもあります。
施工後に後悔しないためにも、メリット・デメリットをしっかり理解しておきましょう。
リシン吹き付けのメリット
リシン吹き付けの主なメリットを3つ紹介します。
・コストを抑えやすい
リシン吹き付けは、吹き付け塗装方法の中でもコストを抑えて施工が可能です。コストを抑えやすい理由は主に3つあります。
1つ目は、素材であるリシン自体の価格が安いことです。他の仕上げ材と比べても特に安価なため、材料費を安く抑えられます。
2つ目は、高度な技術を必要としないことです。コテを使って仕上げる左官仕上げのような施工方法とは異なり、比較的容易に作業できます。
3つ目は、作業時間が短く済むことです。リシンガンという、リシン専用のスプレーガンで直接外壁に吹き付けていきます。広範囲を短時間で施工できるため、人件費を抑えられます。
・通気性が高い
セメントと樹脂に細かい石や砂を混ぜてつくられているリシンは、室内の湿気が逃げやすい素材です。湿気の多い日本の住宅によく合います。
特に木造住宅は、湿気を多く含み続けるとどんどん劣化しすぐに腐ってしまいます。湿気による劣化を避けて住宅の寿命を延ばすためにも、リシン吹き付けで外壁塗装の仕上げをするのがおすすめです。
・落ち着いた印象に仕上げられる
リシン吹き付けで外壁塗装の仕上げをすると、細かいデコボコができます。デコボコがあると光が拡散されることによってツヤが抑えられるため、高級感がある落ち着いた印象になります。
自然素材との相性がよいので、最初から新築っぽさを求めないようなモルタル外壁の和風な住宅への仕上げ材として人気です。
また、吹き付けられる粒子の配置やサイズが施工のたびに変わるのも魅力的です。安い価格で外観を上品な雰囲気に演出できます。
リシン吹き付けのデメリット
リシン吹き付けのデメリットについて紹介します。
・ひび割れが起こりやすい
リシン吹き付けは塗膜が薄いので耐久性が弱く、ひび割れが起こりやすいのが難点です。特に、よくリシン吹き付けが用いられているモルタル外壁は伸縮しやすい性質を持っています。伸縮すると、その上に吹き付けられているリシンが引っ張られてひび割れが発生します。
少しのひび割れなら充填剤で補修できますが、補修せずに放置すると雨水が内部に浸透して雨漏りの原因となります。
そのまま内部が腐食すると、再度外壁塗装を行わなければなりません。ただし、弾力性のある弾性リシンを使うとひび割れが起こりにくくなります。
・耐用年数が比較的短い
リシン吹き付け仕上げの耐用年数は約8年、スタッコ仕上げは約8~10年、吹き付けタイル仕上げは約15年、左官仕上げは約18年です。他の仕上げ方法と比べて耐用年数が短いので、安価で施工できてもメンテナンスの頻度は多くなります。
耐用年数が短い理由は、表面が劣化しやすい形状だからです。細かいデコボコの隙間にはホコリや雨水がよく貯まります。
特に湿気が多かったり、風通しが悪かったりする場所では苔やカビが生えてきます。外壁の劣化を防ぎ見た目もきれいに保つためには掃除や塗装などこまめなメンテナンスが必要です。
【状態別】リシン吹き付けのメンテナンス方法
リシン吹き付け仕上げの外壁は、適切にお手入れしていけば寿命を延ばせます。起こりやすい4つの症状に対するメンテナンス方法について解説します。
ひび割れ
建築用語でクラックと呼ばれるひび割れを発見した場合には、早期に処置を行いましょう。0.5mm以下の浅いひび割れなら、下塗り材(外壁と吹き付けたリシンを接着する建築材料)を使います。0.5mm以上の深いひび割れには、シーリング材(外壁の隙間を埋める建築材料)を使い、再度リシンの吹き付けが必要です。
ひび割れは、リシン吹き付けで起こりやすい症状の一つです。リシン吹き付けで仕上げられることが多いモルタル外壁が伸縮すると、上に吹き付けた薄いリシンの膜が引っ張られて起こります。
特に窓などの結合部分に起こりやすく、そのままにしてしまうと内部に雨水が浸入し雨漏りが起きてしまいます。最悪の場合、シロアリが発生し家を立て直さなければいけなくなることもありますので注意しましょう。
チョーキング
リシン吹き付けを施した外壁を触って、チョークのような白い粉が手につく状態がチョーキングです。
チョーキングの症状が見られる際には、基本的に専門業者に外壁塗装を依頼してください。ひび割れと比べると補修の工程がないのでスムーズに終わる工事です。ただし、2階建て以上の建物の場合足場を組むので少し大がかりになります。
チョーキングは吹き付けたリシンの膜が劣化し、粉化することで起こります。耐久性が低くなっている証拠なので、雨水が内部に浸入して雨漏りの症状が出る前に塗り直しが必要です。
リシン吹き付けのように、外壁の表面がデコボコになっていると手で触ってもチョーキングの粉に気づけない場合もあります。必要に応じて専門業者に判断を依頼しましょう。
カビや苔の発生
リシン吹き付けの外壁にカビや苔が発生していたら、まずはブラシでこすり落とすのが簡単な方法です。
ブラシで落ちない汚れは高圧洗浄機を使います。洗剤を使う場合は中性洗剤を使用してください。吹き付けられたリシンは衝撃を受けると剥がれ落ちやすいので、壁の表面を傷つけない程度の力でこすりましょう。
表面がデコボコになっているリシン吹き付け仕上げの外壁は、カビや苔の発生する確率が高くなってしまいます。
壁の表面が平らであれば、雨が降ってもそのまま水滴は下に落ちていきます。しかしデコボコの場合、デコボコ部分に雨水が付着してそのまま留まりやすいのが難点です。
日が当たらず、湿気が多い場所は特に発生しやすいので注意しましょう。そのままにすると内部に雨水が染み込んでいく恐れがあります。
リシン吹き付けの費用やメンテナンス方法を知って、理想の外壁にしよう
リシン吹き付けは細かい石や砂が混ざった仕上げ材を吹き付けて、表面がザラザラした仕上がりになる仕上げ方です。
コストを抑えやすい、通気性が高い、落ち着いた印象になるなどのメリットがあります。
適切なメンテナンスをすればきれいな状態を保つことも可能です。気になったら、リフォーム会社に相談しましょう。
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