管工事の基礎知識
管工事をするには、工事概要や仕事内容を知る必要があります。
ここからは、管工事の基礎知識や管工事と似た用語の違いをお伝えします。
業者から提案された管工事内容が適切か判断できるように、把握しておきましょう。
管工事とは?
管工事は専門の資格を持つ配管工が建設業許可上、家屋やその他の敷地内にある水やガスなどの配管を設置する作業を指します。
具体的な工事内容は、空気調和設備工事・給排水・冷暖房・冷凍冷蔵や衛生のための設備設置です。
金属製の管を使って水やガス、水蒸気や油などを送るための配管設備全般を設置する細かい管の工事まで該当します。
工事方法には、古くなった配管を新しいものに取り取り換える更新工事と、現在の配管を生かして配管内をコーティングする更生工事があります。
管工事を実施している配管工は、ほとんどが専門知識を持つプロです。専門知識を学び、管工事施工管理技士や配管技能士の資格を取得しています。
管工事施工管理技士は国家資格で、配管技能士に合格していてある程度の実務経験年数がある人しか取れない資格です。
配管技能検定の1級に合格後、10年以上の実務経験を持っているまたは、実務経験15年以上と同じレベルの技能が必要です。第一次検定・第二次検定の2つの試験に合格する必要があります。
1級の試験では、選択科目のほか、衛生工学部門や総合技術監理部門などから問題が出題されます。
出典元:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(国土交通省)
管工事と似た用語の違い
管工事と似た工事の用語に、水道施設工事と清掃施設工事があります。
・水道施設工事との違い
水道施設工事は上下水道部や工業用水道のための取水・浄水・配水などの施設、公共下水道または流域下水道の処理設備を築造・設置する工事のことです。
一方、管工事は住宅などで実施する配管工事です。一般住宅・マンションや店舗などの水トラブル(水漏れ・配管工の交換など)を解決してくれます。
水道施設工事は浄水場などの処理設備の設置工事のことで、管工事は住まいや建築物内部の水トラブルや配管工事と覚えておきましょう。
・清掃施設工事との違い
清掃施設工事と管工事では、工事範囲に違いがあります。
清掃施設工事はごみ処理施設や、し尿処理施設を設置する工事です。水洗便所周りに手を加えて排泄物や汚水の処理をしたり、下水に放流したりする仕組みを整えます。
管工事は汚水を浄化して綺麗な水に変えて放流するための、浄化槽の建設工事のみを実施する工事です。
管工事の主な種類
管工事にはさまざまな種類があります。それぞれの工事の特徴や目的を把握することで、自分が施工して欲しい工事を判断するために重要です。
ここでは、主な管工事の内容を詳しく解説します。
給排水工事
給排水工事は水道を使えるように環境を整える配管工事を指します。
工事内容は蛇口などから飲料水や生活用水を供給するために水を引き込む給水管、トイレや台所の排水や雨水を下水道に放流するために設ける下水道排水設備などの設置や配置です。
使用した水量を計測するメーターや、風呂場・給湯器などの水回りまで設備配管を伸ばす屋内配管工事も、給排水工事に含まれます。
ガス管配管工事
ガス管配管工事はガスを使えるようにするために実施する工事です。
ガス管を引き込む配管工事や、使用したガスを計量するガスメーターの取り付けなどが該当します。
ガス配管工事の配管は、鋼管・金属可とう管・金属フレキシブルホース・強化ガスホースなど、種類がさまざまです。設置場所や状況に応じて適切な素材を利用します。
ダクト工事
ダクト工事では空調に関わる役割を担った配管を用途に沿って設置します。ダクトは壁の中に張り巡らされ、冷暖房や換気などの役割を担っています。
ダクトの主な種類は以下の5種類です。
OA(外気)ダクト
室外の新鮮な空気を室内に送り込むダクトです。
外の新鮮な空気を直接取り込むため、虫や小鳥などが侵入しないよう細かい網目でカバーがされています。
SA(給気)ダクト
取り込んだ空気を室内に送り込むダクトです。
エアコンで活用されていて、外気を取り込んで部屋を冷やしたり温めたりしています。
RE(還気)ダクト
室内の空気を空調機に送るダクトです。
清潔な空気が必要な、病院の手術室や化学薬品を取り扱う実験室・研究所などで活躍しています。
EA(排気)ダクト
室内の空気を建物外に排出する役割のダクトです。
飲食店のキッチンなど煙が溜まりやすく、外に排出する必要がある場所に設置されています。
SEA(排煙)ダクト
火災発生時に煙を外に排出するためのダクトです。
商業施設などに設置されていて、火災報知器・防火シャッターやスプリンクラーの作動に合わせて稼働します。
空調設備工事
空調設備工事は室内の温度や湿度の調整・換気をして心地よい空間を作り上げるために実施します。
エアコンの室内機・室外機を取り付ける冷暖房設備工事や配管工事・電気工事など、空調設備に必要な工事全般が該当します。
暖冷房が使えるエアコン以外の空調設備工事は、換気設備やボイラー・ヒートポンプや排煙設備・冷凍機などの設置や取り換えを伴う配管工事などです。
衛生設備工事
衛生設備工事は洗面台や浴槽などの水回り工事だけでなく水回り周辺の小物の取り付けまで一連の流れを指しています。
衛生設備は、水を供給する給水装置・水を排出する排水設備・火災時に火を消す消火設備・水をお湯として供給する給湯設備などの設備の総称です。
工事内容はトイレや浴室の設備をリニューアルするための施工工事や、排水や水道設備の調整・管理などが挙げられます。
厨房設備工事
厨房設備工事は厨房の設備に関する工事を指します。
飲食店などの厨房にある冷蔵庫・空調設備や、冷凍庫の中などの冷却装置の設置や取り替え工事が該当します。
冷凍冷蔵設備工事
冷凍冷蔵設備工事は冷凍庫や冷蔵ショーケースなどの冷凍冷蔵設備を設置する管工事です。
冷凍冷蔵設備は飲食店の店舗・病院・オフィスだけでなく、倉庫やプレハブ冷蔵庫でも使われています。
冷凍冷蔵設備および室外機の設置、冷媒配管工事、庫内・ケース内温度管理センサーの設定をすることで、食材や低温間管理が必要な薬品などを管理できます。
浄化槽工事
微生物の働きで汚水を浄化し、綺麗な水に変えて川や海に放流するための施設の工事が浄化槽工事です。
浄化槽の設置前には、設置場所の確認や測量・浄化槽を搬入する経路の確保・浄化槽を設置する箇所の掘削・浄化槽設置用の底版コンクリート作りなど、さまざまな事前作業が必要です。
管工事にかかる費用の目安
最適な業者に管工事の依頼をするためには、管工事の概要や種類に加えて、適切な依頼費用の相場の把握が必要です。
ここからは、管工事にかかる相場費用の目安と管工事を依頼する業者の選び方を解説します。
実際に管工事を依頼することを想定しつつ、8種類の管工事の相場を見ていきましょう。
<管工事にかかる費用の目安>
工事 | 費用の相場 |
---|---|
給排水工事 | 40万円~45万円 |
ガス管配管工事 | 40万円~380万円 |
ダクト工事 | 20万円~300万円 |
空調設備工事 | 10万円~100万円 |
衛生設備工事 | 10万円~50万円 |
厨房設備工事 | 50万円〜200万円 |
冷凍冷蔵設備工事 | 5万円〜120万円 |
浄化槽工事 | 60万円〜70万円 |
給排水工事の費用相場は一戸あたり約40万円~45万円です。
配管の改修工事で床や壁などの建物の解体や復旧をするケースだと、トータルで70万円程度かかります。
ガス管配管工事は、取り替え工事の場合約40万円~380万円が費用相場です。
業務用建物だと44万円程度、マンションだと385万円程度かかります。
敷地面積やガス管の状況によって、工事費用や必要な期間は異なります。
例えば、住宅密集地などで建物が道路に面しておらず奥まった場所にある場合は、配管を設置するための掘削距離が通常より長くなる傾向です。作業の手間が多い分費用が高額になる可能性があります。
ダクト工事の費用相場は一戸あたり約20万円~300万円です。
ダクト工事の費用は設置方法で費用が変動します。飲食店の厨房ダクトは、設置する機材のパワーや種類によって料金が変化します。
空調設備工事はオフィスに空調設備が施工される場合、1台あたり約10万円~100万円が費用相場です。
本体価格と工賃込みで、天井埋込型は一台30万~100万円程度です。壁や床に設置する露出型は一台10万~30万円程度かかります。
衛生設備工事の費用相場は一戸あたり約10万円~50万円です。
配管全体の交換は、給水管10万円~20万円程度・排水管20万円~30万円程度・給排水管全体の交換30万円~50万円程度が必要です。
衛生設備の一部交換や修理だけの場合は、10,000円~15,000円程度で済みます。
厨房設備工事は一戸あたり約50万円〜200万円が費用相場です。
厨房設備の交換であれば50万円〜100万円程度、厨房設備の交換に移動が加わると100万円〜200万円程度の料金が発生します。
冷凍冷蔵設備工事の費用相場は約5万円〜120万円です。
業務用冷凍冷蔵庫が70万円〜90万円程度・冷凍冷蔵ユニットが50万円〜75万円程度・プレハブ冷凍庫が75万円〜120万円程度で、取り扱う設備によって金額が異なります。
浄化槽工事は浄化槽のサイズ10人槽あたり、約60万円〜70万円が費用相場です。
10人槽サイズだと浄化槽本体の費用は60万円~130万円かかります。
工事費を合わせると、トータルで120万円~200万円かかるのが一般的です。
同じ種類の工事でも扱う設備や工事内容によって料金が異なるため、工事してもらいたい現場を直接確認してもらった後に、工事見積もりを依頼しましょう。
管工事を依頼する際の業者の選び方は、以下の2つのポイントを踏まえて実施してください。
- 施工実績が豊富
- わかりやすい見積もりの提案
各社のホームページで今まで取り組んだ施工内容と写真に目を通し、豊富な実績がある業者か確認してください。
それぞれの業者が得意な事例や施工方法は異なるため、どのような例を多く紹介しているかをチェックしましょう。
実際に工事を依頼した人からの口コミや、施工者が資格を持っているかなどを確かめておくと、信頼感を持って見積もりを頼めます。
見積もりには材料費や人件費などの内訳が掲載されているか確認をしましょう。
詳細な内容の記載がなく金額のみが算出されている場合、工事完了後に追加料金の支払いを求められる危険性があります。
内容が不透明だったり、不信感が拭えなかったりする業者とは契約をしないように注意が必要です。
ビル・マンションの管工事をするならプロに事前相談しよう
管工事にはさまざまな種類があり専門的な技術を持ったプロが施工をしています。
生活に欠かせない水や空気を私たちに届けてくれる需要な機能だからこそ、信頼できる業者に最適な工事方法を適切な費用で依頼する必要があります。
工事費用は施工の種類によって異なるため、事前に各分野のプロがいる業者に事前相談して費用の算出をしましょう。
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管工事に詳しい専門スタッフが、ご要望に合う業者を複数紹介してくれるのでスムーズに施工を進められます。
ぜひお気軽にお問い合わせください。