リフォーム時に行う主な電気工事
電気工事は種類が豊富なため、どの種類の工事を依頼すべきか迷ってしまします。
ここではリフォームで実施しやすい電気工事の種類・メリットや工事の内容を紹介します。
ご自宅で生活する中で不便に感じている点やライフスタイルの変化と照らし合わせてみてください。
コンセントの交換・増設・位置変更
同居者の人数や部屋の使い方に合わせた、コンセントの増設や配置の変化が可能です。
配置場所はそのままでコンセントの数だけ増やしたい場合は、コンセントの交換(2口から4口)をすれば、配線工事なしで対応してもらえます。
設置場所から変えたい場合は配線工事をして、コンセントの増設(新設)や位置変更を実施します。
スイッチの交換・増設・位置変更
変色などの劣化が見られるスイッチや部屋の雰囲気に合わないスイッチは、簡単な工事で交換可能です。
小さなお子さんがいる家庭は誰でも操作しやすい大きなスイッチ・時間帯や部屋で取り組んでいる行動に合わせたライトを使いたい家庭は明るさを調整できるスイッチへの交換がおすすめです。
スイッチの増設・新設や、使いづらい場所にあるスイッチの位置変更をする際は、新たにスイッチを設置する場所に届くように配線工事を実施します。
照明器具の取り付け
照明器具を新設したり、取り付け場所を移動したりできます。
引掛シーリングと呼ばれる電灯設備用のコンセントが付いている箇所の証明器具は、引掛シーリングへの設置可能対象な照明に限り、ご自身で交換できます。
ただし、照明器具が重い場合は、落下防止のために天井に穴をあける固定工事が必要です。
工事の実施が必要か判断が難しい場合は、電気工事従事者への依頼をおすすめします。
引っ掛けシーリングがない場所に照明を取り付けるときは配線工事が必要なため、必ず電気工事士などへ依頼をしてください。
IHキッチンへ交換
ガスコンロをIHキッチンへ交換する工事は、人気の高いリフォーム内容です。
火を使わない安全さや凹凸がなく掃除が快適かを鑑みて工事を依頼する方が増えています。
現在使用しているコンロの形式によって、コンロのみの交換で対応可能か、キッチン全体のリフォームが必要か変化します。
電盤工事・ガス栓の撤去・ガスからIHへ加熱の方式を変えるための配線工事も発生することを念頭に置いておきましょう。
インターフォンの取り付け
電源直結式のインターフォンの取り付け工事は、以下の3つの方法から最適な形式を選べます。
- 電気コード式…電源コードをコンセントに繋いで電源を供給
- 乾電池式…乾電池で給電(定期的に電池を取り替えて使う)
- 電源直結式…家の中の配線を直接インターフォンに挿す
コンセントや配線が見えないようにしたい方や、インテリアにこだわりたい方は、電源直結式がおすすめです。定期的な電池交換を省ける形式です。
LAN配線の新設
Wi-Fiを使いたい部屋に電波が届かない・ネットの表示速度が遅いなどの悩みはLAN配線を新設で解消できます。
LAN配線には、有線と無線の2種類があります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
- 有線LAN:通信速度が速く安定しているが、ネット接続にLANケーブルが必要。スマートフォンやタブレットは接続できない。
- 無線LANは:ケーブル配線不要で、通信圏内ならどこでもネット接続可能。通信環境で接続が不安定なときがある。
それぞれの特徴とWi-Fiの利用方法を照らし合わせてLAN配線を新設すれば、ストレスなくインターネットを使えます。
火災報知器の設置・交換
火災報知器の設置や交換をすることで、火災発生時すぐに危険を感知できます。
ホームセンターや家電量販店で販売している火災報知器の多くは電池式のため、もし非常時に電池が切れていたら警報が鳴りません。
設置のために配線工事が必要ですが、もしもの時のために電池切れしない火災報知器を取り付けておくことをおすすめします。
ブレーカー・分電盤の交換
分電盤のリフォームは大きく分けて、以下の3種類です。
- 交換:耐用年数の経過や故障発生時に実施
- 回路数の増設:一般用電化製品の使用量が増えた際に実施
- 専用回路の増設:エアコンや食洗機など消費電力が大きい電化製品用を導入する際に実施
分電盤の法定耐用年数は15年です。
古い電盤を使い続けるとブレーカーが正しく機能せず、火災が起きる可能性があります。使用年数を確認して、該当する場合は交換を検討してください。
回路数や専用回路の増設を検討する際は、契約電力の申込み内容を確認が必要です。
電気工事の費用相場
電気工事の費用は、人件費・運搬費を含めた材料費によって大きく変化します。
学科試験・技能試験の両方に合格した国家資格の保有者(電気工事施工管理技士・第一種電気工事士・二種電気工事士など)しか対応できない高額な工事ほど費用は高まります。
費用を安く抑えるには、依頼先を1社にまとめて人件費や機材の運搬費を抑える・建物のある自治体の補助金が使えるかサイトで確認するなどの対策がおすすめです。
今回紹介している相場は、工事費用のみです。
依頼先や工事内容によって、別途、交換する商品の本体価格がかかる可能性があります。
施工完了後に、把握していた金額より高額な支払いが発生するトラブルを防ぐために、事前に見積もりを取りましょう。
<電気工事にかかる費用の相場>
電気工事の種類 | 工事の詳細 | 工事費用の相場 |
---|---|---|
コンセントの交換・増設・位置変更 | コンセントの交換 コンセントの位置変更・新設 |
3,000円〜5,000円 10,000円〜30,000円 |
スイッチの交換・増設・位置変更 | スイッチの交換 スイッチの位置変更・新設 |
3,000円〜 8,000円〜 |
照明器具の取り付け | 照明器具の取り付け 新たな照明器具の設置 |
4,000円〜 50,000円〜150,000円 |
IHキッチンへ交換 | IHクッキングヒーターへの設備交換 | 50,000円〜70,000円 |
インターフォンの取り付け | 電源直結式インターフォンの取り付け | 5,000円〜30,000円 |
LAN配線の新設 | LAN配線の新設 | 10,000円〜150,000円 |
火災報知器の設置・交換 | 火災報知器の設置・交換 | 5,000円〜30,000円 |
ブレーカー・分電盤の交換 | ブレーカー・分電盤の交換 回路数の増設 専用回路の増設 |
3,000円〜80,000円 |
電気工事の主な依頼先
電気工事を頼みたいけど、どのような依頼先があるのか・依頼先をどのように決めるべき迷います。
ここでは、主な依頼先の種類・特徴やメリットを解説します。工事内容に合った依頼先を見つけましょう。
リフォーム会社
電気工事と一緒に、他のリフォームを実施したい方は、リフォーム会社への依頼を検討してください。
リフォーム会社は、さまざまな工事を網羅的に請け負える技術を保持しています。
工事の内容ごとに依頼先を変えずに済むため、費用を抑えた依頼が可能です。
複数業者とやり取りや作業スケジュールを考えた依頼をする必要がない点がメリットです。
リフォーム会社は工務店と比較すると、建物の構造への理解や知識に弱みがあります。
建物の老朽化などで、構造からリフォームを検討したい場合は、事前に詳細を伝え依頼先として最適か判断をしましょう。
家電量販店やホームセンター
家電量販店やホームセンターで、キッチンアイテムや照明器具などの購入を考えている方におすすめです。
店舗で取り扱いのある商品に限り、交換・取り付け工事を実施します。
電気機器・製品を購入するタイミングで工事を依頼でき、手配に手間がかからないメリットがあります。
ただし、工事の実施を委託している家電量販店やホームセンターでは、費用に仲介料が加わるため注意が必要です。
安く抑えたい方は、施工者が所属している運営形態の店舗を選びましょう。
電気工事の専門業者
専門性の高い技術で迅速な工事対応をして欲しい方は、専門業者への依頼がおすすめです。
実務経験が豊富なプロが、高い技術力で工事を実施します。
定期講習で、担当者ごとに品質にばらつきがないよう徹底している会社が多い点が特徴です。
アフターフォローなどのサポートが万全なため、関係性を深めつつ、長期的なお付き合いができます。
技術力が高いプロに依頼するぶん、費用がかさむ傾向がある点に注意をしてください。
ハウスメーカー
家づくりのプロと細かい相談を繰り返しながらリフォーム方針を決めたい方におすすめです。
営業所で配線などの打ち合わせをしたのち、建築会社の下請け業者が工事施工する流れでリフォームを実施します。
知識が豊富なプロと不安を解消しながら配線計画を立てられるため、納得感を得ながら工事の全体像を把握が可能です。
ただし、広告費や人件費を多く使っているケースが多く、工務店やリフォーム会社より依頼費が高額な可能性があります。
費用感と納得感のバランスを考えながら依頼の検討をしてください。
工務店
工務店は小規模で地域密着型の依頼先です。
近隣住民など身近な人から口コミを得たい方におすすめです。
内装のリフォームだけでなく新築の建設など、幅広い依頼に対応しているため、柔軟に要望を叶えてくれます。
広告費などをあまり使っていない傾向があるため、大手メーカーと比べて、手頃な価格で工事を受けられます。
住宅設備メーカー
住宅設備メーカーは住宅設備の製造をする企業で、LIXIL(リクシル)やパナソニックなどが代表的です。
工事とともに住宅設備メーカーの製品を購入したい方におすすめの依頼先です。
メーカーの電気設備・製品の購入時に工事の手配まで済ませられるので、手間がかかりません。
製品について豊富な知識を持つ技術者が施工する安心感がメリットです。
ショールームの運営やCMなど、人件費・広告費をかけたアプローチをしている企業が多いため、工事費用は高い傾向です。
電気工事の依頼先を選ぶポイント
電気配線の工事は、適切に実施されていないと漏電や火災など大きなトラブルを引き起こします。
信頼性の高い依頼先を選定すれば、トラブルを未然に防止可能です。
ここでは、電気工事の依頼先を選ぶポイントを4つお伝えします。
信用できる業者に工事を実行してもらい、安心感ある日々を送ってください。
依頼する電気工事の実績がある
電気工事を依頼する前に、どのような実績を持っているか確認をしましょう。
多くの会社は、公式サイト上に実績・事例紹介などのページを設け、今までの施工事例を載せています。
実績が多い事例の施工は、その会社が得意としている施工である傾向があります。
業者によって専門分野や得意分野はさまざまです。依頼したい工事内容と、依頼を検討している企業の実績が合致しているか事前に把握してください。
見積もり時に現地調査を行う
見積もり作成を依頼する際は、必ず現地調査を受けましょう。
工事の実施を検討している建物の課題点はどこか・ドアや窓は機材や製品を搬入できる広さかなどの確認が現地調査です。
現地調査なしの見積もりは施工時に追加費用が増え、施工後に高額な請求を受ける可能性があります。
現地調査で細部を把握しておけば、施工内容が大きく変更するトラブルを防止可能です。
費用や工事内容を把握した状態で施工日を迎えるために、見積もり時の現地調査を依頼してください。
都道府県ごとの電気工事工業組合に加盟している
電気工事工業組合は、中小企業として活動している電気工事業者のうち希望者が加入している組織です。
同業種で技術向上のための情報交換ができたり、定期的な研修を受講できたりするため、組合に加盟している業者は、一定基準以上の安全性と品質を保有しています。
依頼をする前に、電気工事工業組合に加入をしているか聞いておくと、高い信頼感を持ちながら工事を任せられます。
補償の体制がしっかりしている
見積もりを依頼するタイミングで、電気工事を実施した箇所にトラブルが発生した際の対応方法を確認しましょう。
補償期間や緊急時の対応方法を質問して、アフターフォローの手厚さを把握をしてください。
イレギュラー発生時の対応まで事前に確認しておくことで、自分と依頼先との認識の違いから生まれるトラブルをなくせます。
電気工事は便利で安心できる住まいづくりにおすすめ
リフォームの対応範囲は非常に幅が広いため、どの順番でどのくらいの範囲に手をつけるべきか迷う方がほとんどです。
リフォームの疑問を一つひとつ解消することで、自分の叶えたい見た目や雰囲気の自宅を納得感を持ちながら創れます。
生活を豊かにする電気工事を実施して、家族が笑顔で長く暮らせる家で暮らしましょう。