2024.07.10

ビルの建築工事の特徴|流れと費用相場、コストを抑えるポイント

ビルの建築工事の特徴|流れと費用相場、コストを抑えるポイント

オフィスビルや商業施設などのビル経営を検討している場合は、まずビルの建築工事に関する基礎知識を確認することが大切です。

ビルの建築工事はどのような流れで進行するのでしょうか。

また、建築するビルの用途によって、工事の費用相場はどれくらいの金額になるのでしょうか。

この記事では、ビルの建築工事の特徴や流れ、費用相場、コストを抑えるポイントまで解説します。
ビルの建築を考え始めたらぜひ参考にしてみてください。

目次

ビルの建築工事の特徴

初めに、ビルの建築工事の主な特徴をお伝えします。

これからビルの工事を検討している方は、以下のポイントを基礎知識として押さえておきましょう。

スケルトン渡しになる

一般的に、ビルの建築工事では内装や設備のない状態で引き渡しを行う「スケルトン渡し」が採用されるケースが多いです。

この場合、内装工事や設備工事を行わない分、ビルの建設費用を抑えられる可能性があります。

スケルトン物件は、テナント企業側にとって内装や設備の自由度が高く、ビジネスに合わせて店舗を設計しやすい点がメリットです。

ビルの業態ごとに建築費用が異なる

建築するビルの業態によって、構造や設備が大きく異なります。

例えば、多数のオフィスが入居する高層ビルの場合、耐火性・耐久性・耐震性がもっとも高い鉄骨鉄筋コンクリート造で建てられるケースが多いです。

一方、ショッピングセンター(複合商業施設)などは耐震性の高い鉄筋コンクリート造で建てられます。

また、病院などの特殊建築物では法律で構造や立地に制限が設けられているほか、業務のために非常用発電機をはじめとした特殊な設備が不可欠です。

このように性能の高い構造や特殊な設備が必要な場合、ビルの建築費用が高額になる傾向にあります。

税制上の優遇措置がある

自治体によってはビルの建設促進制度が用意され、税制上の優遇措置を受けられる可能性があります。

例えば、兵庫県神戸市ではオフィスビル不足の対策として「オフィスビル建設促進制度」が設けられており、要件を満たすオフィスビルを建築すると、固定資産税と都市計画税が軽減されます。

建築予定地が税制優遇の対象となるか、確認してみましょう。

ビルの建築工事の流れ

ビル 工事

ビルの建築工事は主に以下の流れで行われます。ここでは、工事の流れと各工程の概要をご紹介します。

【ビルの建築工事の流れ】

1.ビル建築の計画

2.事前調査

3.設計

4.建築確認申請

5.工事請負契約

6.地鎮祭

7.工事

8.竣工

1.ビル建築の計画

ビル建築の計画がスタートします。

以降の事前調査から着工までのプロセスには、非常に多くの時間がかかります。

場合によっては、施工よりも期間が長くなるケースも少なくありません。

2.事前調査

ビル建設を行う現場の調査を実施します。

主に「敷地調査」「インフラ調査」「地質調査」「近隣建物調査」「埋設物調査」などの調査が行われます。

建築前に現地の状況をしっかりと確認し、適切な工事を実現するための重要なプロセスです。

3.設計

ビルの設計図を作成します。近年はCAD(コンピュータ支援設計)を利用してデジタルデータで設計図を作成するケースが多くなりました。

3D CADで設計図を作成する場合は、立体的なイメージを用いてビルの完成イメージを確認できます。

設計図が完成したら見積もりや施工スケジュールを確認します。

4.建築確認申請

法律で定められた基準を守って安全に工事を行うために、行政へ建築確認申請を行います。

審査は2回行われ、まず着工前の書類審査に合格すると「建築確認済証」が発行され、建物の完成後の完了検査に合格すると「検査済証」が発行されます。

5.工事請負契約

業者と施主が工事内容や仕様などを互いに確認し、工事請負契約を締結します。

その際は工事請負契約書を書面で交付するのが一般的です。

一定の条件を満たした上で電子契約を実施することもあります。トラブルを防止するための重要なプロセスです。

6.地鎮祭

地鎮祭は土地の神様へ向けて工事の安全を祈願する儀式です。

ビル建築に関わる施主と業者が参加し、神主を招いて儀式を執り行います。

地鎮祭の実施後、近隣へ挨拶回りを行い建物や工事について説明を行うのが一般的です。

7.工事

準備が完了し、いよいよ着工となります。

ビル工事には非常に多くの工程がありますが、大まかに「基礎工事→掘削工事→躯体工事→外装工事→内装工事→設備工事→外構工事」の順番で行われます。

8.竣工

ビルの完成後、引き渡し前に「竣工検査」や「施主検査」による最終確認が実施されます。

完成した建物の品質や安全に問題がないか厳しくチェックするとともに、仕様や設計が施主の要望の通りになっているかを確認します。

検査の完了後、引き渡しの手続きを行ったら竣工です。

ビルの建築工事の費用相場

ここでは、ビル建築工事の費用相場をご紹介します。建築する予定のビルの種別に合わせて、費用の目安を確認してみましょう。

以下の表は、ビルの建築工事にかかる費用相場をビルの種類や構造ごとにまとめたものです。

<ビルの建築工事の費用相場(坪単価)>

  オフィスビル テナントビル 高層オフィスビル
鉄骨造

70万円~110万円

57万円~98万円

90万円~125万円

鉄筋コンクリート造

80万円~157万円

75万円~95万円

100万円~130万円

鉄骨鉄筋コンクリート造

90万円~156万円

105万円

110万円~165万円

 ビルの建築にかかる費用は、ビルの種別や構造によって大きな差が出ることがあります。

ビルの種別で比較すると、もっとも坪単価が高いのは「高層オフィスビル」です。

また、ビルの構造で比較すると、もっとも坪単価が高いのは「鉄骨鉄筋コンクリート造」となります。

このほかに、ビルの建築工事の費用相場は地域によって差が出ることも少なくありません。

一般的に都市部ほど坪単価が高くなる傾向にあるため、建築予定の地域が都市部にある場合はさらに費用が高くなる可能性があります。

ビルの建築工事の費用を抑えるポイント

ビルの建築費用をできるだけ抑えるために、以下のポイントを意識すると良いでしょう。

最後に、納得できる費用でビル建築工事を実現するために、知っておきたい情報をお伝えします。

相見積もりを取る

ビルの建築工事を依頼する業者を選定する際は、相見積もりを取りましょう。

複数の建築会社に見積もりを依頼し建築費を比較することで、コストダウンが期待できます。

また、相見積もりには信頼できる業者を見極める意味合いもあります。

複数社を比較しながら担当者の印象をチェックしたり、不当に高い金額を提示する業者を避けたりすることが可能です。

建設協力金を活用する

建設協力金とは、ビルのテナント企業から借り入れて建物の建設に用いる資金のことです。

ビルの賃借を希望するテナント企業から借り入れを行い、建物が完成してテナント企業が入居したら、賃料の支払いと相殺しながら借入金を返済します。

ビル経営を行う側は、初期投資の金額を抑えながらビルを建てられる点や、空室リスクを回避しやすい点がメリットです。

ビルの建築工事の依頼先は一括見積もりサービスで探すのがおすすめ!

ここまでビルの建築工事の基礎知識を解説しました。

ビルを建築する費用は、ビルの種類や構造によって大きな差が出る可能性があります。

性能の高い構造や特殊な設備が必要なケースでは、建築工事の費用が高額になることを理解しておきましょう。

できるだけ費用を抑えるには、相見積もりを取って複数社を比較検討し、信頼できる業者に適正価格で工事を依頼することが大切です。

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