外壁塗装を行うタイミングの目安
外壁塗装の劣化を放置すると建物自体の劣化につながります。劣化が進むにつれ、修復費用の負担も大きくなりかねません。
外壁塗装はどのくらいの期間を目安に実施すれば良いのか、年数と劣化状況の2つの観点から解説します。
年数から見る外壁塗装を行う目安
一般的な外壁塗装の耐用年数は10年と言われています。理由は、外壁材などの防水機能が5〜7年ほどで切れやすい傾向にあるためです。
防水機能の低下は、雨水が浸入して建物の腐食が進む原因です。想定以上の修理費用がかかってしまいます。
目視ではわからない部分で劣化している可能性もあります。定期的に専門家に診断をお願いしたり、定期点検を実施するのがおすすめです。
外壁の劣化状況から見る外壁塗装を行う目安
外壁が劣化すると色々な症状が表れます。
まずは外壁を触ってみましょう。手に白い粉が付くことがあります。これはチョーキング現象と呼ばれており、紫外線が原因です。劣化が進行するほど手に付く粉の量が増えます。
チョーキング現象が起こっている外壁は撥水性が失われ、雨漏りしやすい状態です。そのため、外壁にコケやカビが繁殖し汚染されてしまいます。
外壁が膨れたり剥離などの症状が見られる場合も、塗膜が劣化しています。放置すると雨水が外壁内部へ侵入するおそれがあるため、早めの対処が必要です。
また、劣化により外壁がひび割れる「クラック」が生じることがあります。
ひび割れの幅が0.3mm以上のクラックは構造クラックと言い、放置すると基礎の強度が低下します。構造クラックは建物の安全性に影響を及ぼすため、早めの補修が必要です。
継ぎ目やサッシの周りのコーキング材に塗膜割れが見られる場合も、劣化の特徴です。コーキング材が劣化すると外壁内部に雨水が侵入しやすいため、早急に対処しましょう。
外壁塗装の費用の相場と抑えるコツ
外壁塗装には、ある程度大きな費用が必要です。なるべく費用を抑えて塗装を行いたい方に向けて、施工費の相場や費用を抑えるコツを解説します。
外壁塗装の費用相場
外壁塗装の費用は、延床面積と塗料によって異なります。延床面積は居住スペースの広さを表す面積です。建物の全ての階の床面積を合計して算出します。
一般的な戸建て住宅の坪数は30坪ほどで、その場合にかかる費用相場は約60万円〜です。 塗装に使われる塗料には、以下の種類があります。
- シリコン塗料(シリコン樹脂が多く含まれる塗料)
- アクリル塗料
- フッ素塗料
- ウレタン塗料
- ラジカル塗料
- セラミック塗料
- 水性塗料
使用する塗料のグレードや塗料メーカーによって値段が変わります。長持ちする塗料は価格が高額になりがちですが、その分塗り替える回数は少なくて済みます。
希望する塗料があるならば、施工業者に事前に相談しましょう。
外壁に使われている材料として、窯業系サイディングやガルバリウム鋼板、モルタル外壁が挙げられますが、外壁に使われている材料によっても費用は変わります。
外壁塗装の費用を抑えるコツ
外壁塗装の費用を抑えるコツは以下の4つです。
- 相見積りをとる
- 地元の塗装店に工事を依頼する
- 外壁塗装と屋根塗装を同時に行う
- 国や自治体が行っている補助金や助成金を活用する
外壁塗装を行う際は、即決せずに複数の塗装会社から相見積りを取りましょう。 専門知識が無い場合、1社だけでは見積りに提示された工事費用の内訳や単価が適正価格か判断するのは困難です。
しかし、複数社から見積書を取得すれば工事内容や金額を比較できます。悪徳業者や手抜き工事の被害に遭うリスクを減らせます。より信頼できる業者に工事を依頼しましょう。
地元の塗装店に工事を依頼するのも費用を抑えるポイントです。
ハウスメーカーに依頼する場合、実際に工事を行うのは下請け業者です。そのため、ハウスメーカーの利益である販売経費や中間マージンが発生します。
地元の業者へ依頼する場合は販売経費や中間マージン、人件費が抑えられるため、その分の工事費用を安く抑えられます。
外壁塗装と屋根塗装を同時に行うのも、費用を抑えるために有効です。足場の組み立てが1回で済むため、それぞれ個別に行うより費用を抑えられます。
また、国や自治体が行っている補助金や助成金の活用も費用を抑えるのに有効です。
自治体によって、外壁塗装を行うと「住宅リフォーム資金助成」や「省エネ住宅改修補助金」が支給されるケースがあります。
ただし、全ての自治体で実施されているわけではありません。補助の対象となる条件を満たす必要性があったり、申請期限や予算の上限が設けられていたりするため、制度の詳細を事前に確認しましょう。
外壁塗装の工事の流れ
外壁塗装の工事にかかる期間の目安は2週間〜3週間程度です。具体的な工事の流れを工程ごとに解説します。
雨などの悪天候など、状況によりやむを得ず工期が長引く場合もあるため、あくまでの参考にしてください。
Step1.近隣への挨拶と現場確認(約1日)
施工が始まる前に近隣住民へ外壁塗装の工事を行う旨を伝えましょう。
工事期間中は業者が出入りするため、少なからず騒音が発生します。また塗料のニオイも出るため、近隣住民に迷惑をかけてしまいます。生活に支障が生じてトラブルに発展することを防ぐために、事前に工事期間や内容を連絡しておくと安心です。
続いて、リフォーム業者による現場確認に立ち会います。
足場の設置や塗装時に妨げになる物が無いか、事前に現場調査します。塗料が付かないように配慮して欲しい物、大切に扱って欲しい物などの要望は現場確認の際に担当者へ共有しましょう。施工内容に不安があれば、納得し理解できるまで何度も質問し、不明点を残さないようにするのが大切です。
Step2.足場組み(約1日)
外壁塗装を行うための足場を設置します。
組み立ての工事中は大きな音が生じる場合があります。どの程度の大きさの音がするか、何時頃に音がするか事前に質問しておくと安心です。
Step3.外壁の高圧洗浄(約1日)
足場の組み立てが完了したら、外壁の高圧洗浄を行います。外壁に付着した汚れやコケ、剥がれている塗膜を取り除くために必要な作業です。
汚れが残ったまま塗装を行うと、上から塗った塗料が剥がれてしまう場合があります。見た目にも影響するため、汚れが残らないよう高圧洗浄機を用いて丁寧に洗います。
Step4.下地処理(約1~3日)
下地処理は、ひび割れやサビなどの劣化部分を補修するための作業です。
下地処理が十分でない場合、外壁に塗料を均一に塗れず色ムラの原因となり、外壁の劣化が早まるおそれがあります。
また塗料自体の本来の効果が期待できず、表示されている耐用年数よりも短い期間で塗装がダメになってしまう可能性もあります。
Step5.養生作業(約1日)
養生は塗装をする前に行う作業で、壁以外に塗料や汚れが付着しないよう養生シートで覆う工程です。主な場所はベランダの窓ガラスや玄関、庭の植木です。
養生シートで窓ガラスを覆うと、基本的に窓が開けられません。
施工中にどうしても窓を開けたい場合は、事前に業者へ相談しましょう。窓が開けられる方法で養生してもらえる可能性があります。
施工中にエアコンを使いたい場合も、養生の前に業者へ報告する必要があります。
室外機を養生シートで覆うと排気口が塞がれるため、エアコンが使えなくなるためです。エアコンを使いたい場合は、メッシュシートや、養生シートに穴を開けて室外機の排気口を塞がないように養生してもらいましょう。
Step6.下塗り・中塗り・上塗り(約4~8日)
色塗りの工程では、下塗り・中塗り・上塗りの順に塗料を重ねていきます。
下塗りは下地の役割があり、中塗りと上塗りを密着させるために必要です。傷んだ外壁に塗料が吸い込まれるのを防ぎ、ムラなくきれいに仕上げる役割を果たします。
下塗りの後、一定の乾燥時間を経て中塗りを行います。乾燥していない状態で中塗りを行うと施工不良の原因になり、工事をやり直さなければいけません。
上塗りも同様に、中塗りの後に一定の乾燥時間を置いてから行います。
Step7.付帯部の塗装(約1~2日)
外壁の塗装の後は、付帯部の塗装作業です。
付帯部は住宅の屋根材や外壁以外のパーツを指します。
たとえば、玄関のドアやポスト、雨戸、雨樋、鼻隠し、軒天、破風板が付帯部です。ほとんどの付帯部は、外壁と同じく塗料で保護されています。
付帯部の塗装工事にも足場代がかかるため、付帯部の塗装工事は外壁と同じタイミングで行うのがおすすめです。足場代の節約につながります。
Step8.完了検査(約1日)
塗装が終わった後は完了検査を行います。
施工後の最終チェックとして、周囲に塗料が飛散していないか、塗り残しがないか仕上がりを確認する工程です。
完了検査は塗装業者だけで行わず施主も立ち会います。業者と一緒に仕上がりを確認し、気になる箇所があればすぐに伝えましょう。
完了検査が終わると足場を解体します。施主が立ち会わず足場を解体した後に指摘箇所を発見すると、手直しまでに時間がかかったり、満足のできる対応が難しかったりするため、完了検査には立ち会うようにしてください。
Step9.足場ばらしと清掃(約半日)
完了検査が終わったら足場を解体します。
足場を組んだときのように、解体時も大きな音がする場合があります。事前にどの程度の音がするか、音が発生する時間帯はいつか確認しておくと安心です。
足場の解体をもって、完工です。
外壁塗装の色選びとDIYのポイント
外壁塗装の色選びにはいくつかのポイントがあります。色ごとに特徴をまとめた一覧表を用意しているので、色選びの参考にしてください。
また、外壁塗装をDIYする場合のメリットとデメリットも解説しています。DIYを検討している方は、これらを考慮した上で自分でするか、業者に依頼するかを決めましょう。
外壁塗装の色選びのポイント
外壁は面積が大きく、家のイメージに大きな影響を与えます。そのため、外壁の色選びは重要なポイントです。
色選びの軸として、汚れが目立ちにくい色や人気の色、おしゃれな色などが挙げられます。近隣の住宅との相性や景観の雰囲気に配慮すると、バランスが取れた配色になるのでおすすめです。
色 | 人気 | 熱への耐久性 | 変色しにくさ | 汚れにくさ |
---|---|---|---|---|
ベージュ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
クリーム | ◯ | ◎ | ◎ | ◯ |
ライトグレー | ◯ | ◯ | ◯ | ◎ |
白 | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
黒 | ◎ | △ | △ | △ |
ネイビー | ◯ | △ | △ | △ |
外壁塗装をDIYで行う場合のポイント
外壁塗装は業者に依頼せず、DIYすることも可能です。
DIYする場合は、塗装作業の手順や内容をもれなく把握しておく必要があります。
外壁塗装をDIYするメリットは、塗装業者へ依頼するより費用を抑えやすいことです。また、塗装業者との日程調整が不要であるため好きなタイミングで塗装を行えます。
ただし、時間がかかってしまううえに、作業内容が不完全だった場合には塗装が剥がれやすいといったデメリットがあります。
足場設置や解体をDIYで実施するのは簡単ではありません。手間がかかり大変なだけでなく、高所の作業は危険が伴うため、経験豊富な塗装職人に依頼した方が安全です。
外壁塗装は劣化が進む前にプロへ依頼しよう
外壁塗装の耐久年数は約10年であるため、10年に1度の頻度で塗装を行うのが目安です。塗装の劣化が進むと工事費用が高くなる傾向にあるため、定期点検を実施し、必要に応じて工事を行いましょう。
工事費用の相場は一般的な住居で約60万円〜と高額です。しかし、相見積りで依頼する業者を選定したり、補助金・助成金を活用したりすることで費用を抑えられます。
外壁塗装はDIYできるものの、失敗した場合のリスクや仕上がりが高品質であることを考えると、技術の確かな業者に依頼する方が安心です。豊富な実績や多くの施工事例があり、必要に応じてアドバイスや提案、アフターフォローをしてくれる業者を見つけましょう。
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