2024.05.22

折半屋根(折板屋根)とは?メリット・デメリットと工法別の費用相場

折半屋根(折板屋根)とは?メリット・デメリットと工法別の費用相場

折半屋根(せっぱんやね)とは、ガルバリウム鋼板などの金属板を波のように折り返した形状の屋根です。工場や店舗、マンションの駐輪場や一般家庭用のカーポートなどで使用されています。
「折半屋根を取り入れたいけれども、デメリットってどんなものがあるのかな」
「金属屋根って錆びが心配でメンテナンスが大変そう」
納得のいくリフォームを実施するためには、折半屋根がどのような屋根なのかしっかり知識を身につける必要があります。
本記事では折半屋根のメリットとデメリット、費用相場など折半屋根の特徴を解説します。折半屋根について基本的な知識を押さえ、適切な工法かどうか検討しましょう。

目次

折半屋根(折板屋根)のメリット・デメリット

折半屋根を検討する際は、素材のメリットとデメリットの両方を把握しておくことが大切です。以下より、折半屋根のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

折半屋根のメリット

折半屋根の主なメリットは以下の通りです。

  • 耐久性が高い
  • 強度が高く耐震性に優れる
  • 施工の自由度が高い
  • 水はけがよい
  • 工期が短い

折半屋根でよく使用されるガルバリム鋼板は、金属材の中でも比較的軽量な素材です。そのため、建物への負担が少なく、耐久性が高いメリットがあります。素材の軽量さに加え、波形の凹凸した形状が衝撃を分散するため、耐震性にも優れた屋根です。

波型の形状のおかげで水はけがよいのもポイントです。水が屋根にたまらないため、建物に負荷がかからず、また錆びにくくなります。

折半屋根は施工の自由度が高く、設置する建築物の条件に適した形に加工できます。大きくて長さが必要な屋根やわん曲した屋根にも対応できるため、体育館や倉庫など大型の建物にも設置可能です。

折半屋根の設置方法は、タイトフレームという金具を用いて設置するシンプルな工法です。直接梁に取り付けるため、下地を設置する必要がありません。比較的工期も短くて済みます。透明からお好みの色までカラーバリエーションも豊富です。

折半屋根のデメリット

折半屋根のデメリットは以下の通りです。

  • 錆が発生しやすい
  • 断熱性が低い
  • 音が反響しやすい

折半屋根は金属製の建材のため、錆が発生しやすいのがデメリットです。雨が多い地域は特に注意が必要です。折半屋根の耐用年数は約20~30年で、寿命を延ばすには定期的なメンテナンスが欠かせません。定期的に錆の有無を確認し、塗装などのメンテナンスを実施しましょう。

また、折半屋根は梁に直接取り付けるため、屋根の下地材である野地板を葺きません。そのため、屋根裏がなく外気の影響を受けやすくなってしまいます。冬場は寒く、夏は暑くなりやすい点がデメリットです。

さらに、折半屋根の素材は0.6〜1.2ミリの薄く軽量な金属を使用しているため、雨や風の音などの衝撃音が反響して室内にまで響いてしまいます。防音性を重視する場合には向いていません。

折半屋根の種類

折半屋根には以下5種類の施工方法があります。

  • はぜ締め
  • 重ね
  • 嵌合
  • 二重葺き
  • わん曲加工

それぞれ特徴や利点を知り、用途に合わせた施工方法を選択できるようになりましょう。

以下より、折半屋根の5種類の施工方法について詳しく解説します。

はぜ締め

はぜ締めとはタイトフレームに取り付けた緊定金具を2枚の鋼板で挟み、折り曲げてつなぎ合わせた折半屋根です。主に面積の大きい建物で用いられます。

はぜ締めの場合は、固定のためのボルトを使用しません。コストを抑えられるのに加え、屋根材に穴や隙間をあけずに済むため、雨漏りや錆のリスクが低くなります。一方で、ボルトを使用する重ねタイプよりも風に弱く、経年劣化で固定力が下がりやすいデメリットがあります。定期的な状態確認を欠かさずに行いましょう。

重ね

重ねとは、鋼板のつなぎ目をタイトフレームに取り付けられたボルトに「ナット」と呼ばれるネジで固定して設置する方法です。ネジで固定するため強度が高く、強風時にも屋根が飛ばされにくいのが特徴です。

主に駐輪場や車庫などの小規模な屋根などで使用されます。ただし、屋根の外側に露出したボルトは錆やすいため、注意が必要です。

嵌合(かんごう)

嵌合式は固定金具でタイトフレームに屋根材を固定し、さらにつなぎ目をキャップで覆う方法です。パーツ同士を組み合わせるように設置することで、屋根面に鋼板の継ぎ目やボルトが露出せず、外観がスッキリして見えます。

他のタイプと比べて施工費用が高額になりやすいのがデメリットです。

二重葺き(にじゅうぶき)

二重葺きは、二重にした屋根材の間に断熱材を挟む方法です。屋根材との間に断熱材の層を作ることで、折半屋根のデメリットである断熱性の低さをカバーします。

また、通常の工法よりも雨音などの衝撃音を抑える効果も期待可能です。

わん曲加工

わん曲加工は軒先側を直線にせずに、あえてカーブを設けた折半屋根です。雨風の侵入を防止し、雪やつららが落下しやすい設計のため、軒先や外壁を保護できます。

一般的に直線的な屋根が多い中、わん曲加工はデザイン性に優れているのが特徴です。曲線美による独特な外観を楽しめます。

折半屋根の工事の種類と費用相場

折半屋根の使用による劣化は避けられません。状態を回復させて長持ちさせるためには、メンテナンスとして適切な工事を行う必要があります。

工事の種類や費用の相場をあらかじめ押さえておきましょう。

折半屋根の工事の種類

折半屋根の工事には3種類あります。それぞれの施工方法がどのようなものか知り、適切なタイミングで実施できるようにしましょう。

・塗装工事

塗装工事とは、防水性の回復と美観の保持を目的に既存の屋根材に塗装を施す工事です。

塗装工事は以下のような劣化の症状が現れた場合に速やかに実施しましょう。

  • 塗装面の錆や色褪せ
  • チョーキング
  • 塗膜の剥がれ

チョーキングとは、塗膜成分が劣化して塗膜表面に微粉がゆるく付着することです。手で触ると白い粉がつきます。塗膜の剥がれとは、付着力を失った膜が自然に剥がれる現象のことです。

塗装工事は、屋根から雨漏りや漏水がしていない劣化が少ない場合に適しています。塗装することで、錆の拡大を食い止めることも可能です。

・カバー工法

カバー工法とは既存の屋根の上に防水紙を敷き、その上から新しく屋根を設置する施工方法です。屋根の上に屋根を被せるため、重ね葺きとも呼ばれます。

塗装では修復しきれない、屋根材の雨漏りなどの劣化が起きた場合に用いられます。折半屋根を固定している部分は問題なくても、雨漏りしている箇所やヒビ・破損した部材がある場合は、カバー工法がおすすめです。

屋根が二重になるため、断熱性や防水性が高まります。既存の折半屋根と新しい折半屋根の間に断熱材を挟めば、暑さや寒さ対策も可能です。断熱性を高めたい場合は工事とセットでオーダーしましょう。

ただし、屋根が二重になることで重さが増し、建物によっては工事ができない場合があります。カバー工法を希望する場合は施工可能かどうか専門業者に確認を依頼してください。

・葺き替え工事

葺き替え工事は既存の屋根材を撤去し、全面的に新しい屋根材を設置する工事です。折半屋根がボロボロで耐久性が著しく低下しており、交換が必要な場合に用いられます。屋根を完全に取り外すため、施工中は建物を使用できません。

新品の屋根材を設置するため耐用年数が長くなります。タイトフレームなど折半屋根を固定している部材も交換できるため、これまで以上に強健な屋根にすることも可能です。遮熱塗料が塗られた遮熱鋼板を利用すれば、暑さ対策になります。

屋根の撤去費用が発生するため、塗装工事やカバー工事と比べて費用がかさみます。不安な方は依頼を検討している業者に事前に問い合わせをしておきましょう。

折半屋根の工法別費用相場

工事で対応できる劣化症状と単価相場(1平米当たり)は以下のとおりです。

工事で対応できる劣化症状 単価相場(1平米あたり)
塗装工事 ・錆
・色あせ
・チョーキング現象
・塗膜の剥がれ
1,800円~10,000円ほど
カバー工法 ・屋根材のヒビや欠け・雨漏り 5,000円〜13,000円ほど
葺き替え工事 ・激しい経年劣化・雨漏り・屋根の剥がれや変形 12,000円~58,000円ほど

塗装工事の費用は、1平米当たりの単価相場で1,800円~10,000円ほどです。折半屋根は凹凸があり、他の屋根材よりも1.5倍ほど表面積が大きくなるため、その分割高です。

1階建ての屋根面積50~70㎡(15~20坪)で、ウレタン塗料を使用した場合の塗装工事は45〜65万円程度を想定してください。

ただし、建物の立地や大きさ、形状や塗料の種類、屋根材の劣化状況によって費用は異なります。正確な見積もりをするためには現場調査が必要です。

カバー工法の1平米当たりの単価相場は、5,000円~13,000円ほどです。比較的簡易な工事のため、工事期間が短く費用を安く抑えられます。屋根の大きさや形状、状態によって価格は変動します。

葺き替え工法の単価相場は、1平米当たり、12,000円~50,000円ほどです。既存の屋根の撤去や処分に費用がかかります。

工事費用には高所作業での安全性を確保するために、現場の足場やシート養生などの仮設工事費も別途必要です。足場の設置費用は、足場面積×800~1,000円/㎡(屋根足場)で求められます。工事費用全体の10~20%ほど占めるため、費用を抑えたい方は外壁塗装とあわせて行うことを検討しましょう。

折半屋根は劣化の症状や度合いに応じて、最適なメンテナンスをする必要があります。まずは状況別の最適な施工方法を判断しましょう。

折半屋根は適切な種類や方法を選択しよう

折半屋根は波型の形状が特徴の金属屋根です。軽量で耐久性に優れていることから、工場や倉庫などの大型の建物で多く使用されます。

他にも水はけがよく、施工方法によっては雨漏りのリスクも軽減できたり、工期やコストを抑えられたりと多くのメリットがあります。

一方で、防音性や断熱性能は低く、錆を防止するためにメンテナンスが必要で手間がかかる点がデメリットです。折半屋根を取り入れる際には、状況に応じた適切なメンテナンス方法を知っておき、必要な強度を保つようにましょう。

折半屋根の工事をどこに依頼するか悩んだ時には、弊社の一括見積もりサービス「ミツマド」をご活用ください。ミツマドは建設のプロが監修しているサービスです。そのため戸建てから倉庫、工場などあらゆる建物の、さまざまな工事の見積もりに対応しています。

施工内容に関する相談やリフォーム業者へのお断り代行など、リフォームがストレスなく進むよう、専門スタッフがサポートするため安心です。まずはお気軽にお問い合わせください。

あらゆる建物の工事・リフォームの見積もり比較の相談窓口『ミツマド』

工事価格とは?直接工事費や間接工事費に含む費用の内訳と計算方法

工事価格とは?直接工事費や間接工事費に含む費用の内訳と計算方法

  • リフォームの費用・ローン
  • リフォーム

「家の工事のために見積書を出してもらったけれど、何に使われている費用なの?」 適正な価格で家の工事を実施するためには、工事に一体どのような費用が必要なのかを知っておくこと…

建築塗装とは?工事が必要な理由と塗料・工法の種類、費用相場

建築塗装とは?工事が必要な理由と塗料・工法の種類、費用相場

  • 全般
  • 相場・費用

自宅をはじめとした建築物は、表面を塗装することで雨風から建物の保護ができ外観を美しく保てます。 でも、塗装の基本情報や費用相場がわからないと、どの施工業者に依頼すべきか迷…

外装工事とは?屋根・外壁など目的別の工事の種類、費用相場

外装工事とは?屋根・外壁など目的別の工事の種類、費用相場

  • 全般
  • 相場・費用

外装工事は頻繁に行うものではないため、いざ外装工事をしようと思ってもわからないことが多くて迷いますよね。 「部分的な補修は可能?」 「勧められた工事が適切か判断できない…

改築工事とは?改修・増築・新築との違い、費用相場と依頼時の注意点

改築工事とは?改修・増築・新築との違い、費用相場と依頼時の注意点

  • 増築・改築

「まだまだ長く住み続けたいけれども、家の老朽化が気になる」 「将来のことを考えて、二世帯住宅へと間取りを変更したい」 家の老朽化を改善したり、住みやすさを向上させる…

家の工事の流れは?準備・着工から完成までの工程と工期・費用の目安

家の工事の流れは?準備・着工から完成までの工程と工期・費用の目安

  • リフォーム

「新築一戸建てを建築したい」 「長く住み続けるために、今の自宅をリフォームしたい」 上記のように考えているけれども、何から始めればいいのかわからず困っていませんか? …

塗り壁風サイディングとは?塗り壁との違い、費用相場、主要メーカー

塗り壁風サイディングとは?塗り壁との違い、費用相場、主要メーカー

  • 外壁塗装
  • 相場・費用

塗り壁風サイディングは、既存の外壁に貼り合わせる板やパネルの外壁材(サイディング外壁)です。 外壁の状態を新築時と同様に戻せるだけでなく、他の外壁材と比較して耐水性や…

おすすめコラム

『ミツマド』なら失敗なし! ミツマド
ACCEL JAPAN 鈴木杏樹

ACCEL JAPAN鈴木杏樹