2024.02.22

防水工事とは?作業の流れと種類、費用相場、タイミングの目安

防水工事とは?作業の流れと種類、費用相場、タイミングの目安

防水工事は雨漏りなどの原因に対して補修を行い、建物の劣化の改善や維持に必要な改修工事です。

「単に防水工事といってもどのような工事なの?」
「費用感や依頼に際しての必要な知識がなく、どう動いていいか分からない」

このようなお悩みをお持ちではありませんか?

本記事では、防水工事の概要に加えて各施工方法の特徴や費用感、工事を依頼する流れについて徹底解説します。

目次

防水工事の基礎知識

防水工事の基礎知識として知っておくべき内容に加えて、工事の目的や流れについて紹介します。

防水工事とは?

防水工事は建物を雨水から守るために行う工事です。住宅・マンション・ビル・工場などの建物のなかで、以下のような箇所を守るために行われます。

  • 屋上
  • 屋根
  • ベランダ
  • バルコニー
  • 外壁

ただし、防水工事を行っても経年劣化によって効果はなくなっていくため、定期的な点検やメンテナンスが必要です。

防水工事を行う目的

防水工事を行う目的は、建物内部への雨水の侵入を遮断して、建築物の劣化や美観を保つことです。

建物は経年劣化が進むと、ひび割れや内部の柱等の腐敗によって雨漏りや漏水などの劣化につながりやすくなります。また劣化がひどくなると高額の修繕費が必要になるだけでなく、建物自体の維持も難しくなります。

そこで屋根やベランダなどに防水加工を施して建物の壁や躯体、鉄骨の劣化を防いで建築物を守るのが防水工事の目的です。

また、防水工事を行えば雨水による外壁の変色やシミを防止できるため、外壁や外観を維持しやすくなり美観の保持につながります。

防水工事の流れ

防水工事の実施は、定期メンテナンスや劣化の状態を見て、実際に工事を実施するか検討するところから始まります。防水工事が必要な場合、工事業者に依頼して事前調査や見積もりを依頼してください。なお、工期は建物の大きさによって異なります。

防水工事の実施が決定した後、具体的な工事工程は以下のとおりです。

  1. 高圧洗浄:砂、ほこり、コケなどの汚れを取り除き防水層の密着性と耐久性の低下を防ぐ
  2. 下地処理:傷んだシーリングの撤去や「低圧注入」などの施工方法で補修し防水効果を高める
  3. 下塗り:プライマーと呼ばれる接着剤のような塗料を下塗りして防水シートの密着性を高める
  4. シート貼付処理:防水シートを貼り、接合部は専用のテープを使って接合する
  5. 防水剤塗布:防水剤をシートに塗布して防水層を形成する
  6. トップコート:防水剤などの塗料がはがれたりシート接合部の隙間に水分が入らないように仕上げる
  7. 施工完了:お客様との現場確認で施工は完了。5年に1度程度トップコートの塗り替え等メンテナンスするのがおすすめ

防水工事の種類と費用相場

ひとえに防水工事といってもいくつかの種類があり、各工事で費用の相場感が異なります。
以下では、防水工事の主な種類と費用相場について解説します。

防水工事の主な種類

防水工事の種類には、主に以下4つが挙げられます。

  • ウレタン防水
  • 塩ビシート防水
  • FRP防水
  • アスファルト防水

防水工事は施工する場所や工事前の状態で、使用する材料や種類や施工方法が異なるため、必ず専門業者に事前に確認してもらうと安心です。

それぞれの特徴やメリット・デメリットについては、以下で詳しく解説します。

・ウレタン防水

ウレタン防水は、ウレタン樹脂を化学反応で硬化させる施工方法です。「通気緩衝工法」と「密着工法」の2種類の施工方法があり、防水層が比較的軽めで建物に負担をかけにくいという特徴があります。

ウレタン防水の通気緩衝工法と密着工法のそれぞれのメリット・デメリットは、以下表のとおりです。

メリット デメリット
通気緩衝工法 ・補修が比較的容易
・下地の形状が複雑な場合でも対応できる
・耐久性や防水機能に優れている
・防水層が軽いため建物への負担が少ない
・コストが比較的高め
・工期が比較的長くなりやすい
・定期的にメンテナンスが必要になる
密着工法 ・比較的費用が安い
・防水層が軽いため建物への負担が少ない
・複雑な形状の場合でも対応できる
・工期が比較的長くなりやすい
・定期的にメンテナンスが必要になる
・塗膜が均一になりにくい

・塩ビシート防水

塩ビシート防水は、塩化ビニルの防水シートを利用した施工方法です。「機械固定法」と「密着工法」の2種類の施工方法があります。すでに形成された防水シートを使用するため形や幅が決まっており、共用廊下・階段などで利用されています。

機械固定法と密着工法のそれぞれのメリット・デメリットは、以下表のとおりです。

メリット デメリット
機械固定法 ・既存の防水層があっても上から被せられる
・撤去、残材処理、新規の下地作りを低コストにできる
・雨天等の気候に影響されない
・メンテナンスの手間が少ない
・費用が高くなりやすい
・工事中に騒音などが発生する
・複雑な形状には向いていない
密着工法 ・比較的耐久性に優れている
・軽量なので施工しやすい
・耐火性が高い
・メンテナンスの手間が少ない
・費用が高くなりやすい
・複雑な形状には向いていない

・FRP防水

FRP防水は、ガラス繊維等で強化されたプラスチックを利用した施工方法です。主にベランダやバルコニーでの防水工事など、大規模修繕工事で利用されています。

FRP防水のメリットデメリットは、以下表のとおりです。

メリット デメリット
・強度が高く軽量
・防水性、耐熱性、耐久性に優れている
・塗膜が均一になりやすい
・すぐ乾くので工程が短い
・トップコートの種類が多い
・費用が高い
・臭いが出る
・外気温に左右されやすい

・アスファルト防水

アスファルト防水には以下3種類の施工方法があり、それぞれで概要が異なります。

  • 常温工法(冷工法)
  • トーチ工法
  • 熱工法

それぞれの特徴とメリットデメリットは、以下の表のとおりです。

特徴 メリット デメリット
常温工法(冷工法) ・熱を使わず自着層というゴムアスファルトを利用する
・粘着層を複数交互に貼り合わせる
・下地が粘着状態になりコンクリートの付着がしっかりとする
・熱を使わず臭いもないため周囲への作業環境がクリーン
・安全性の高い施工方法
・熱を使う施工方法と比べて防水層の密着度が劣る
・防水効果が低くなる場合がある
トーチ工法

・高温で溶かしたアスファルトを流して固める
・アスファルトシートを利用する

・新築の屋上防水によく使われる

・水密性や防水性が高い
・煙や臭いがなくクリーン
・耐用年数が長期
・コストと工期を軽減できる
・火気を扱うため広い場所での施工が必要
・定期的にメンテナンスが必要
熱工法 ・熱を加えて溶かしたアスファルトを利用する
・2〜4枚ほどのルーフィングシートで防水層を作る
・100年以上の歴史があるため信頼性の高い施工方法 ・独特の臭いや煙が発生するため周辺環境に配慮が必要

【工事の種類別】防水工事の費用相場と耐用年数

防水工事の費用相場と耐用年数を以下の表にまとめました。

防水工事の種類 費用相場(/㎡) 耐用年数
ウレタン防水 2,500~7,000円 通気緩衝工法
13〜15年ほど
密着工法
2〜5年ほど
塩ビシート防水 2,100~7,500円 機械固定法
15〜20年ほど
密着工法
2〜5年ほど
FRP防水 4,000~7,500円 10〜15年ほど
アスファルト防水 5,500~8,000円 15〜20年ほど

防水工事の費用には、材料費だけでなく、洗浄や下地塗りなどの作業にも別途費用がかかるため、必ず事前に見積もりを出してもらいましょう。

防水工事を行うタイミング

防水工事を行うタイミングは、建物の劣化状況や既存防水工事の補修経過年数などで判断しましょう。また、1年を通して防水工事を行うのは可能ですが、雨風がなく暑過ぎず寒過ぎず、塗料が乾きやすい3月〜5月の春時期がオススメです。

以下では、防水工事を行うタイミングとして補修年数によるメンテナンスの目安と劣化状況による目安について詳しく解説します。

年数によるメンテナンスの目安

防水工事は一度やれば良いわけではありません。施工方法や材料によって定められた補修期間があり、経過年数によって定期的に点検やメンテナンスが必要です。補修期間の周期を過ぎてしまうと、防水効果が減少する影響で、雨風や腐敗等から建物を守れなくなってしまいます。

具体的な補修周期は、以下のとおりです。

防水工事の種類 費用相場(/㎡)
ウレタン防水 通気緩衝工法
5〜10年ごとにメンテナンス
密着工法
5〜8年ごとにメンテナンス
塩ビシート防水 機械固定法
15年以上メンテナンスの必要なし
密着工法
5〜8年ごとにメンテナンス
FRP防水 6〜7年ごとにメンテナンス
アスファルト防水 5〜8年ごとにメンテナンス

現在、既存の防水工事をされてある場合は、どの程度の年数が経過しているのかを確認して、工事が必要かを検討してみましょう。

建物の劣化状況による目安

建物が劣化していれば工事が必要なのは分かりますが、具体的にどのような状況になれば防水工事をした方がいいのか判断がつかない方もいらっしゃいます。

シート同士の隙間や継ぎ目から雑草が生えていたり、防水シートがめくれてしまったりしている状態も防水工事の検討をおすすめします。劣化状況によって防水工事を早めに検討する必要があるため、状況に応じて業者への調査依頼や相談しましょう。

その他、具体的な劣化状況や工事の必要性について、以下で詳しく解説します。

・雨漏り

雨漏りが発生している状況だと早急に防水工事の実施が必要です。防水層や外壁が劣化しているため、雨漏りが発生してしまっています。業者に雨漏り調査などを依頼して、雨漏りの具体的な原因を探り、必要に応じた防水工事を行ってください。

・防水層のひび割れ

防水層のひび割れによって、隙間から雨水が侵入して雨漏りが起こる可能性があります。アスファルト防水の場合は、おさえに使用しているコンクリートの収縮・劣化によりひび割れが発生する場合があります。

まだ雨漏りが起こっていない状況でも、防水層や防水剤のひび割れが進行すると雨漏りの原因になるため、防水工事の検討が必要です。

・防水シートの浮き

防水シートの浮きは、ウレタン防水で発生する劣化です。防水層のなかに水分が入り、防水シートが水蒸気によって膨れることで発生します。すでに防水層のなかに水分が侵入しており雨漏り等の危険性が高いため、すぐに工事の検討を行いましょう。

・防水シートの破れ

防水シートが破れると、防水層の破れている箇所から雨漏りが発生する危険が極めて高い状況です。雨が降ればそのまま建物内に雨水が侵入する恐れがあり、雨漏りを起こす可能性が高いため早急な工事が必要です。

防水工事をスムーズに行うポイント

防水工事をスムーズに行うポイントとして、以下2点をおさえておきましょう。

  • 建物の劣化状況を正確に把握しておく
  • 業者を選ぶ際は相見積もりを依頼する

具体的にどのような点に注目すべきかを以下で解説します。

建物の劣化状況を正確に把握しておく

建物の劣化の原因は複数あるため、必ず何が原因でどう補修すればいいのかを調査しましょう。建物の劣化状況を正確に把握すれば、防水工事の必要性や最適な施工方法が分かり、修繕予算をたてられやすくなります。

自身の目視で判断できる劣化状況もありますが、加えて自分だけでは確認できない劣化の原因があるため、業者に調査を依頼して施工場所を特定するのが重要です。

業者を選ぶ際は相見積もりを依頼する

防水工事の業者には、主に以下4種類あります。

  • 防水業者
  • 塗装業者
  • ハウスメーカー
  • リフォーム会社

なかでも専門性の高い防水業者や塗装業者への依頼がオススメです。「塗膜防水」は塗装工事の上手い塗装業者、屋上やベランダなどの「大規模修繕工事」は防水業者を選ぶようにしましょう。

見積もりは必ず複数業者に依頼して、価格の相場や最適な施工方法を相談しながら原因にマッチした防水工事を行ってくれる業者を選んでください。

防水工事を検討する際はまず調査から始めるのがオススメ

今回ご紹介したように4つの施工方法がある防水工事。

それぞれの施工方法にメリットやデメリット、費用感や対応できる劣化状況などが異なるため、現状何が原因で問題が発生しているのかを事前に調査することをオススメします。

目視で原因を判断できる場合もありますが、自分では確認できない原因が隠れている可能性があります。事前調査から業者に相見積もりを取り、原因となる施工箇所を把握して、費用感に適した業者と施工方法を選びましょう。

リフォーム会社をお探しの方は、工事やリフォームを無料で一括見積ができる「ミツマド」がおすすめです。防水工事に詳しい専門スタッフが、ご要望に合う業者を複数紹介してくれるのでスムーズにリフォームを進められます。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

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