マンションをフルリフォームする場合の費用相場
マンションのフルリフォーム費用の相場は、500万円~1,500万円です。
対象面積ごとの費用相場は以下の通りです。
- 60平米(2LDK〜狭めの3LDK):500万円~1,200万円程度
- 70平米(3LDK):700万円~1,400万円程度
- 80平米(3LDK〜4LDK):800万円~1,500万円程度
またマンションの広さだけでなく、フルリフォームに使う建材や設備のグレード、リフォームする箇所と内容で金額が異なります。
今の生活様式に合わせて間取りを変更したり、断熱性能を高めるために壁に断熱材やパネルを入れたりと、大きい工事になるほど施工費用は高くなるのが特徴です。
フルリフォームとは部分的な工事だけではなく、マンションの居室箇所である建築構造の骨組み以外の全てを改修し、住宅の劣化対策をするリフォームのことです。別名でスケルトンリフォームとも呼ばれます。
マンションのフルリフォームを行う際の注意点は以下の3つです。
- 管理規約によって希望のリフォームができないことがある
- 構造によって間取りが変更ができないことがある
- 管理組合に申請を出さなければいけない
マンションのリフォームは管理規約により制限を受けます。たとえば、電気容量を上げなければならないIHヒーターへの変更ができなかったり、定められている遮音等級の床材しか使用できないといった制限です。
壁そのものが構造体の役割を担う壁式構造を採用しているマンションの場合、壁を取り払ってしまうと安全性が失われる可能性があります。そのため間取りの変更を伴うリフォームはできません。
リフォーム前に専門業者にマンションの構造を確認してもらってください。
マンションのリフォームをする際には、工事開始の2~3週間前に管理組合に申請しましょう。申請してから許可を得るまで期間がかかるため、申請方法を確認し期間に余裕を持って申請手続きを進めてください。
【工事箇所別】マンションのリフォームの費用相場
マンションのリフォームの費用は、工事する箇所によって金額が異なります。
ここでは、予想より高額な改修費用だった、イメージと違う仕上がりになった、などのトラブルが生じないよう、工事する箇所の費用相場と特徴を把握しておきましょう。
なお、玄関ドアや外窓などはマンションの共用部分にあたるためリフォームできません。
勝手に玄関ドアや窓をリフォームしてしまうと賠償金を支払わなければならない可能性があります。
事前にマンションの管理会社に問い合わせて、共用部分を確認しておきましょう。
主なリフォーム箇所による費用相場は以下の通りです。
主なリフォーム箇所 | 費用相場 |
---|---|
キッチン | 50万円~300万円 |
リビング・ダイニング | 50万円~500万円 |
和室 | 20万円~100万円 |
浴室 | 80万円~200万円 |
トイレ | 20万円~50万円 |
キッチン
キッチンのリフォームにかかる費用相場は、50万円~300万円です。
キッチンの代表的な工事例は以下の3種類です。
- I字型の壁付けキッチンからL字型の壁付けキッチン:50万円〜150万円程度
- I字型の壁付けキッチンからペニンシュラ型キッチン:60万円〜200万円程度
- I字型の壁付けキッチンからアイランド型キッチン:150万円〜300万円
上記のようなレイアウト変更を伴う工事は費用がかさみます。他にもグレードの高いキッチンを使用したり、食洗機などのオプション機能次第で費用は変動します。
リビング・ダイニング
リビング・ダイニングに必要な費用は、50万円~500万円程度です。
リビングやダイニングのリフォーム工事でよく行われるのは以下の3種類です。
- フローリングの張り替え:14万円~19万円程度(8畳あたり)
- 壁紙の張り替え:10万円~15万円程度(4面あたり)
- 間取り変更:200万円程度
フローリングの張り替えはマンションの管理者側から防音対策用のフローリングを指定された場合、一戸建て住宅と比較すると高額になることがあります。
壁紙の張り替えは壁紙の素材によっては費用が変動します。あらかじめ予算にあった壁紙を調べておきましょう。
和室
和室のリフォームにかかる費用は、20万円~100万円程度です。
具体的なリフォーム工事の例と費用相場は以下の通りです。
- 収納のリフォーム:10万円~35万円
- 掘りごたつの設置:20万円~60万円
- 畳スペースの設置:30万円~60万円
- 和室から洋室へリフォーム:40万円~100万円
- クロスの張り替え:1,000円~1,400円(1㎡あたり)
押し入れを洋服がかけられるようにリフォームしたり、畳をフローリングに変更する工事がよく行われる和室のリフォームです。
クロスの張り替えは工事の規模も小さいため、費用を安く抑えられる傾向です。
和室から洋室へのリフォームや、リビングの一角に畳スペースを設置するような大掛かりな工事は費用がかさみます。
和室のリフォーム費用を抑えたい場合は、畳や壁紙に使用する素材のグレードを抑えるようにしましょう。
浴室
浴室のリフォーム工事には80万円~200万円程度かかります。
代表的な工事は以下の通りです。
- ユニットバスの交換:50万円~150万円
- 在来浴室からユニットバスへの変更工事:65万円~150万円
- 天井・壁・床の修繕:10万円〜30万円
- 浴槽の交換:10万円〜55万円
ユニットバスは、メーカーによって外側の構造が異なります。同じサイズで表記されているユニットバスでも必要なスペースが異なるため、あらかじめ必要なスペースを確認しておきましょう。
トイレ
トイレのリフォームには、20万円~50万円程度の費用が必要です。
おもな工事例は以下の通りです。
- 手すり設置:2万円~3万円
- 手洗いの設置:10万円~20万円
- 壁紙の交換:3万円~5万円(1畳あたり)
- 床材の交換:4万円~10万円(1畳あたり)
- トイレの交換工事のみ:3万円~5万円
- 洋式から洋式トイレへの交換:7万円~40万円
トイレ交換にかかるトータル費用は、新しいトイレの費用に加え、取り替えにかかる費用も含まれています。
マンションのリフォーム費用を抑えるコツ
マンションのリフォームは工事箇所によって費用が高額になってしまいます。
できるだけ費用を抑えつつも理想に近いリフォームを実現するためには、費用を抑えるコツを知っておくことが重要です。
以下より費用を抑えるコツを紹介します。
予算を明確に決めておく
リフォームの計画時に予算上限を明確に決めておきましょう。
決めておいた予算はリフォーム業者に工事の見積もりを依頼する際に伝えてください。予算にあった工事内容を提案してもらえます。
希望していない内容の工事を避けられ、予定より費用が高額になってしまうのを防ぐことが可能です。
リフォームの優先順位を決めておく
事前にリフォームする箇所や内容などの優先順位を決めておきましょう。
希望の箇所全てをリフォームするとなると費用は高額になりがちです。優先順位を決めておけば見積もりの段階で高額になっても、優先順位の高いものからリフォームを選択でき予算を超えないようにリフォームを実施できます。
複数の業者から見積もりを取る
見積もりは複数の業者から取ることで、無駄なコストの支払いを防いで業者選びができます。
いくつか取った見積もりの費用やサービスを見比べて、自分が希望するリフォームにどのくらいの費用が必要か、適正価格を判断しましょう。
見積もりを取る際には、金額を正確に把握するためにも同じ条件で見積もりを取るようにしてください。
また見積もりは項目ごとに細かく記載しているか確認し、何の工事にどのくらいの費用が必要かをしっかり理解しましょう。
水回りはなるべくまとめて行う
キッチン、お風呂場、洗面所などの水回りのリフォームは、同じような工事内容や関連する箇所を施工する場合があります。
そのため、水回りはなるべくまとめてリフォームを行い費用を安く抑えましょう。
また、水回りの設備の耐用年数は同じ年数であることが多いため、まとめて工事することでリフォームの度に業者を選定したり、打ち合わせをしたりする手間をかけずに済みます。
補助金・助成金・減税制度を活用する
マンションのリフォームに国の補助金や自治体の助成金、減税制度を使用できます。適用条件を満たす制度を活用して、リフォームにかかる費用を抑えましょう。
国と市区町村などの自治体の補助金は節水や断熱改修など、省エネ機能の向上やバリアフリー改修工事を対象としたリフォームを対象にしたものが多いのが特徴です。
これらの補助金は併用できるケースがあるため、事前に確認しておきましょう。
各制度は指定されている条件に該当する場合に申請可能です。また減税制度が適用になる場合は、税金である所得税や固定資産税が控除されます。
マンションのリフォームに利用できる補助金・助成金と減税制度
マンションのリフォームに利用できる補助金事業・助成金制度と減税制度を説明します。
お得にマンションのリフォームをしたい方は、利用できる制度を確認して自分に適したリフォーム予算や内容を検討してみてください。
マンションのリフォームで利用できる主な補助金・助成金
マンションのリフォームで利用できる主な補助金・助成金は以下表の通りです。
主な補助金や助成金 | 概要 |
---|---|
既存住宅における断熱リフォーム支援事業 | 省エネ効果が見込める高性能の建材を使った住宅の断熱リフォームを支援する事業。 |
子育てエコホーム支援事業 | 子育て世帯・若者夫婦世帯による高省エネ建材を使った新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修工事等に対する支援事業。 |
子育て支援型共同住宅推進事業 | 共同住宅を対象に、事故や防犯などの子供の安全・安心確保を目的として住宅の新築・改修等を支援する事業。 |
介護保険法にもとづく住宅改修費支給 | 介護保険で一定の要件を満たした場合、一部の住宅改修に対して20万円まで支給される。 |
先進的窓リノベ2024事業 | 窓(ガラス)を断熱改修するリフォーム工事が対象の事業。 |
給湯省エネ2024事業 | 対象期限内に新築住宅の取得者または既存住宅の住宅所有者等が、給湯省エネ事業者と契約して一定の性能を満たす高効率給湯器を導入した場合を対象とした事業。 |
賃貸集合給湯省エネ2024事業 | 既存賃貸集合住宅での賃貸オーナー等によるエコジョーズへの取り替えを促進する取り組みに関する、設備の導入に必要な費用の一部を補助する事業。 |
既存住宅における断熱リフォーム支援事業は、対象改修工事にかかった経費の全額ではなく、一部に対して補助金額が算出され交付される事業です。
また子育てエコホーム支援事業は、子育て世帯や若者夫婦世帯が省エネ対策ができるよう支援することと、2050年のカーボンニュートラルの実現を目的として始まりました。
介護保険法にもとづく住宅改修費支給は、要支援および要介護者の認定を受けた方が対象です。支給対象となる改修は、手すりの設置や段差の解消などです。
先進的窓リノベ2024事業は、既存住宅の住宅所有者が、補助対象期間内に本事業の登録事業者である「窓リノベ事業者」と契約する必要があります。
マンションのリフォームで利用できる主な減税措置
マンションのリフォームで利用できる主な減税措置は以下の通りです。
主な減税措置 | 概要 |
---|---|
住宅ローン減税 | 自分の住まいとして家やマンションを購入・リフォームするために、住宅ローンを借りた人が利用できる制度。所得税や住民税の控除が可能。 |
特定のリフォームに対する減税制度 | 省エネ改修や耐震改修などの耐震性を高める特定のリフォーム工事をする場合に適用される減税制度。 |
贈与税の非課税措置 | リフォームに使う資金を贈与されて条件を満たす場合、贈与された一定の金額が非課税になる制度。 |
住宅ローン減税は、新築住宅の場合だと2024年から借入限度額の上限が縮小されています。
また、2024年以降に新築の住宅を購入する際、一定の省エネ性能基準を満たした家でなければ住宅ローン減税が適用されなくなりました。
ただし、省エネ基準を満たさない場合でも、以下のいずれかの条件に該当する場合は、住宅ローン減税を利用できます。
- 2023年中に建築確認を受けている場合(確認済証もしくは検査済証のコピーを提出済み)
- 2024年6月30日以前に建築された場合(登記事項証明書を提出済み)
上記の場合、借入限度額は2,000万円で、控除期間は10年と定められている点に注意しましょう。
なお、住宅ローン減税が適用されるためのその他の申請条件には、以下のようなものがあります。
- 住宅の床面積が50㎡以上あること
- 住宅ローンを借りた人の合計所得金額が2,000万円以下であること
- 住宅ローンの借入期間が10年以上ある
- 引き渡しまたは工事完了から6カ月以内に入居すること
家やマンションを購入した年などによってそれまでの制度が終了し、税制改正されて適用になる条件や内容が異なる場合があります。制度の利用を検討している方は事前に自身で確認しておきましょう。
特定のリフォームに対する減税制度は、自己資金でリフォームをした場合に所得税から控除を受けられる制度です。
基準となる金額は実際に工事にかかった費用ではなく、国土交通省によって定められた標準的な工事費用のため注意してください。
贈与税の非課税措置は、1年間で贈与された金額が110万円以下の場合は非課税になる制度です。ただし、住宅取得やリフォーム資金の贈与の場合、非課税枠が大きくなります。
贈与税の非課税措置は、両親から子ども、祖父母から孫など、直系尊属からの贈与のみ適用されます。直系以外からの贈与の場合は適用されないことを認識しておきましょう。
マンションのリフォーム費用を知りたいならプロに相談しよう
マンションのリフォームに必要な費用の相場を理解して工事箇所や内容を検討することで、余計な費用をかけず納得のいくリフォームを実施できます。
リフォームするマンションの広さや工事に使う設備の種類によって機能や費用に差が生じるため、あらかじめポイントを調べておきましょう。
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