【屋根の種類別】塗装が必要なタイミング
屋根の種類にはスレート・トタン・セメント瓦・乾式コンクリートなどがあり、それぞれで耐用年数や塗装が必要なタイミングが少し異なります。
以下では、各屋根の種類ごとに塗装が必要なタイミングを詳しく解説します。
スレート
スレート屋根には、セメントと繊維を混ぜ高温高圧下で作る化粧石綿スレートと、粘板岩でできた天然スレートの2種類があります。
化粧石綿スレートは防水性が5〜7年ほどで切れるため、その時期が屋根塗装のタイミングです。スレート屋根の塗装は、屋根を長持ちさせたり自然災害などの被害を最小限に抑えるために必要です。
スレート瓦自体の耐用年数は20〜25年ほどですが、実施は立地環境や天候、元の塗装の耐久性で塗装のタイミングは異なります。
以下のような塗装の劣化がある場合は、すぐに検討しましょう。
- 反り
- 色あせ
- カビ、藻の発生
- ひび割れ
- チョーキング
トタン
トタン屋根は鉄板の表面に亜鉛メッキ加工が施された金属系の屋根です。トタンの耐用年数は30〜60年ほどですが、サビによって穴が開く等、腐食状態によっては一気に深刻な状況になる場合があります。
そのため、5〜10年を目安にして錆止め塗料の塗装がおすすめです。またサビの他にも、以下のような劣化が見られれば塗装するタイミングです。
- 色あせ
- 汚れ
- 藻の付着
- 塗膜の剥がれ
セメント瓦
セメント瓦は、セメント製で表面がザラザラしている瓦です。同じセメントを主成分にしているスレートに近い性質を持っており、防水性が低いのが特徴です。吸水性の高い素材のため塗装による防水性の強化や素材表面の保護をしなければなりません。塗膜が薄くなると水分が染み込んで、瓦の割れや雨漏りなどの原因になります。
また、乾式コンクリート瓦(モニエル瓦)や粘土瓦など、セメント瓦と見た目が似ている素材があり間違えないよう注意が必要です。
耐用年数は30年とされていますが、以下の劣化が見られたら塗装が必要なタイミングと考え検討しましょう。
- 色あせ
- カビ
- 藻の発生
- 塗膜の膨れ
- 剥がれ
乾式コンクリート瓦
乾式コンクリート瓦はモニエル瓦とも呼ばれ、セメントと水と骨材を混ぜて作られた屋根材で表面がゴツゴツしている瓦です。主成分はセメントのため、塗膜が薄くなると水分が侵入しやすくなります。
水分が染み込むと瓦の強度が落ち割れやすくなるため、瓦の割れや雨漏りなどを引き起こしかねません。
耐用年数は10〜15年と言われています。ただし、以下のような劣化が見られたら早めに塗装を検討しましょう。
- 色あせ
- 割れ
- 藻、苔の付着
屋根塗装の費用相場
基本的に屋根塗装の費用相場は屋根面積×工事単価で計算され、おおよそ40〜80万円ほどが一般的です。ただし以下のような要因で相場の金額が変動します。
- 施工費:屋根の種類、面積など
- 材料費:塗料メーカー、塗料の種類・グレード
- 足場の設置費:足場の組みやすさ
屋根面積は「1階の床面積×1.1×1.7」で算出でき、たとえば40坪の住宅の場合は、1階床面積を20坪ほどと考えると屋根の面積は75〜120㎡です。
ここから下塗り・中塗り・上塗りの3階塗りを行って屋根を塗装した場合の費用相場は、以下のようなイメージです。
・塗料
ウレタン塗料:11〜18万円
シリコン塗料:15〜24万円
フッ素塗料:26〜42万円
・塗料以外の諸経費
足場設置:15〜23万円
高圧洗浄:1〜5万円
ケレン(金属屋根):3〜9万円
縁切り(スレート屋根):3〜12万円
- ウレタン塗料:30〜55万円</li>
- シリコン塗料:35〜65万円
- フッ素塗料:45〜80万円
塗装する際には、プロの業者に依頼して見積もりをとるのが確実です。見積もりを出してもらう際は、必ず一式表記ではなく単価と工事面積を明記してもらい、チェックできるようにしましょう。
また外壁の塗装も検討しているのであれば、合わせて工事すると足場の設置が1度で済むため費用を抑えられます。
屋根塗装の工程
屋根塗装は約10〜14日前後の工事期間が必要で、全部で以下の11工程があります。
- 近隣への挨拶
- 足場の設置
- 高圧洗浄
- 下地処理
- 養生
- 下塗り
- タスペーサーの設置
- 中塗り
- 上塗り
- 点検
- 足場の解体・撤去、掃除
工程の有無や順番が耐久性・見栄えに影響します。
近隣住民への配慮も塗装施工には必要です。各工程の具体的な内容は以下で解説します。
一般的な屋根塗装の流れ
屋根塗装は、屋根の種類により施工する内容が変わるため施工期間や工数が変動します。
Step1.近隣への挨拶
工事車両の通行の危険性や、足場の組み立てによる騒音が発生します。
近隣トラブルを防止するためにも、近隣の方々に挨拶に行き、施工への理解や協力を依頼しましょう。
近隣挨拶では、屋根塗装を行うことや業者の社名や連絡先などを伝えます。また、業者だけではなく依頼主も一緒に行くとより理解を得られやすくなるため、おすすめです。
Step2.足場の設置
屋根塗装時の妨げになりそうなものがないかを確認して、足場を設置します。足場の設置は塗装業者の他にも、足場設置の職人が現場に来る可能性があるため事前にチェックしておきましょう。
足場の設置では、足場と飛散防止シートの取り付けを行います。高圧洗浄に使う水や塗料の飛散を防ぐのが目的です。
作業日程の目安はおおよそ1日程度です。
Step3.高圧洗浄
屋根塗装の高圧洗浄では、高圧洗浄機を使ってホコリやカビ、苔などの屋根の汚れをはじめ、劣化が進行している塗膜などを洗い流します。汚れが屋根に残った状態で塗装すると、塗料が剝がれやすくなるため必要な工程です。
洗浄中は洗浄機の水が室内に入り込まないように窓やドアは事前に閉めておき、洗浄中も開けないようにしましょう。
作業日程の目安はおおよそ1日程度です。
Step4.下地処理
下地処理とは、屋根の素地を補修して塗装ができる状態にすることです。たとえば、スレート屋根のひび割れの修復にコーキング材やシーリング材を使用して補修します。
一般的に下地処理では以下のような作業が行われます。
- ひび割れの修復
- 劣化した塗装の除去
- 既存塗膜の目を粗くする処理
- 部材の交換 など
適切な下地処理をしておかないと、短期間で塗装が剝がれるなど初期不良のリスクが高まるため注意しましょう。
屋根の劣化の進行状況にもよりますが、おおよそ1日程度で作業は終了です。
Step5.養生
養生は、塗装しない部分が塗料で汚れないように、メッシュシートや養生テープを使いサッシや樋など塗装しない箇所を覆います。屋根に小窓がある住宅の場合も同じく、窓に養生をしてから塗装作業に移ります。
作業日程の目安はおおよそ1日程度です。
Step6.下塗り
一般的に屋根塗装は、下塗り・中塗り・上塗りの3回行われます。下塗りの役割は、屋根材と上塗り塗料を接着したり、ひび割れの細かな補修、塗料の色ムラ防止などです。下塗りの塗料材は、屋根の素材や劣化状態によって変更します。
下塗りの工程を省いてしまうと、上塗りした塗料が早くに剥がれるなどのトラブルにつながる可能性があります。
Step7.タスペーサーの設置(縁切り)
タスペーサーとは、化粧スレート屋根の場合に差し込む雨漏りを防止する部材です。屋根塗装を行うと、塗料が屋根材の間に入り込んで密着してしまい、隙間がなくなることで雨水を排出できず雨漏りの原因になります。
タスペーサーの設置は、屋根の隙間を作り屋根同士の密着を防いだり、塗装後に塗膜カッターで塗膜を削って水を通す隙間を作る「縁切り」を行ったりするために必要な工程です。
化粧スレート以外の屋根ではタスペーサーの設置や縁切りは行いません。
Step8.中塗り
中塗りは、実際に依頼主が選んだ屋根の色に合わせた塗料で屋根を塗っていく工程です。下塗りで使われた白色の塗料を消し、上塗り塗料の密着性を高める役割があります。屋根の端やスリットで塗りにくい箇所は刷毛で先に塗ってから、最後にローラーで広く塗っていくのが一般的です。
上塗りと合わせて2回同じ塗料を塗ることで、塗料作業後の見た目が美しく耐久性が高い屋根に仕上がります。
Step9.上塗り
上塗りは、中塗りと同じ塗料で再度塗って、中塗り段階でできた色ムラをきれいにしながら塗膜に厚みをつけていく塗装の最終工程です。上塗りによって屋根の見た目の美しさを左右するだけではなく、塗膜に厚みができ屋根の耐久性も上がります。
Step10.点検
上塗りまで終わると、塗料の仕上がりに塗り残しやムラなどの問題がないか点検を行います。外観の美しさにも関わるため、しっかりと艶が出た見た目の良い仕上がりかも確認しましょう。
一方で、飛び散ってしまった塗料があったり手直しが必要な箇所があったりする場合は、シンナー材等で拭き取るなど適宜修正を行いきれいに調整します。
Step11.足場の解体・撤去、清掃
最後に足場の解体と撤去を行い、周辺の清掃を行います。清掃まで完了したら、再度近隣の住民へ挨拶に行き、ご協力いただいたお礼などを伝えて全工程が完了です。
もし塗装で気になる点がある場合は、足場解体前に業者に伝えてください。足場を解体した後だと、屋根の作業が難しくなり迷惑がかかってしまいます。
屋根塗装にかかる工期の目安
屋根塗装の工期目安は10〜14日ほどですが、天候などによって変動する可能性があります。
下塗りから上塗りまでの工程はすぐに進めるのではなく、各塗りの工程で適切な乾燥期間を設けなければいけません。乾燥期間を置くことで塗料がしっかりと固まり耐久性のある塗膜になります。
そのため、雨天の場合や乾きにくい天候が続くと次の工程に進めません。工期が伸びる可能性があるため注意が必要です。屋根の塗装を行う時期は梅雨時期を避けるのがおすすめです。
屋根の塗装は劣化状態を見て迅速に検討しましょう
屋根の塗装は、耐用年数に関わらず実際の劣化状況に合わせて塗装業者に相談しましょう。屋根の劣化は放っておくと雨漏りなどの深刻な被害になりかねません。
屋根の塗装相場は、40坪の住宅だと塗料と塗料以外の諸費用で40〜80万円ほどが一般的です。雨漏りなどの劣化による被害の大きい住宅だと修繕費が100万円を超えてくる場合もあります。
もし屋根塗装で補修が追いつかない場合は、屋根の替え時の可能性もあるため葺き替え工事などもおすすめです。
安心して暮らすためにも、屋根リフォームを行える塗装業者への無料点検を一度検討してみてください。
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