2024.03.05

改修工事とは?似た用語との違いと種類、費用相場、メリット、注意点

改修工事とは?似た用語との違いと種類、費用相場、メリット、注意点

「自宅が古くなってきたから、そろそろ家をリフォームしたいな…」
「工事なんてはじめてだから、うまく進められるか不安…」
「改修するのにどのくらいお金がかかるんだろう?」

住まいや施設をより暮らしやすく、居心地のよい環境にするための改修工事。はじめて実施するときは勝手がわからず不安な気持ちになりますよね。

本記事では、はじめて改修工事を行う上で知っておきたい基礎知識をご紹介します。費用相場や工事を進める上での注意点を理解し、改修工事をスムーズに進めましょう。

目次

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1. 改修工事の意味

建物の工事には、「改修工事」のほかに「改良工事」「修繕工事」など似たような言葉があり、それぞれで工事内容や費用感が変わります。

やりたい工事を業者へ適切に依頼できるよう、まずは改修工事の正しい意味を理解しましょう。

1-1. 改修工事とは?

改修工事は、「建物の性能を改善する工事」で、リノベーションとも呼ばれます。

具体的には、下記のような目的で改修工事をします。

  • 古くなった給排水設備や空調、ガス設備を新しくする(老朽化に対する改良工事)
  • 屋根や壁に防水加工を施し、雨風に強くする(耐水改修工事)
  • 地震が起きても耐えられるよう建物を補強する(耐震改修工事)
  • 高齢者が安心して暮らせるようにする(バリアフリー化の改修工事)
  • エコを実践するために太陽光パネルを取りつける(省エネ化の改修工事)

社会や時代の変化により求められる住環境は変わっていきます。何年経っても住みよい住宅環境を整えるために、改修工事は必要です。

1-2. 改修工事と似た用語の違い

改修工事と似たような言葉で「改良工事」「修繕工事」「改装工事」があります。違いは下記の通りです。

工事の名称 主な工事内容
改修工事(リノベーション) 修繕と改良により建物の性能を改善する工事
改良工事(グレードアップ) 建物の性能や機能をより高いものにアップグレードさせるための工事
修繕工事(リフォーム) 対象の建物を建設した当初の水準に戻すための工事
改装工事 床面積は変更せずに、建物の外装や内装などを新たな装いに変更する工事

新築時よりもよい状態にする「改良」と、古くなり経年劣化した建物を元の水準まで回復させる「修繕」の2種類に大きく分けられます。

改修工事は「改良工事と修繕工事の両方を含む、建物を改善する工事」を指します。

改良工事(グレードアップ)は、設備のバージョンアップやバリアフリー化、省エネ化など、より便利に安心して生活できる環境を整える工事です。
一般住宅では、出産や在宅介護がきっかけで改良工事に踏み切るケースがあります。また、マンションの資産価値を高めるために、建物全体をよりよくする上で改良工事を定期的に行う場合があります。

修繕工事(リフォーム)は、現状不具合がある(あるいは将来的に不具合を起こすことが想起される)劣化・腐敗・破損に対し手をうつ工事です。
一般的に、窓枠のズレや床の一部など、部分的な修繕を行うときは修繕工事の範疇と考えます。マンション等で数十年単位で老朽・破損箇所をチェックし、大規模に修繕する場合は「大規模修繕」といいます。

一方、大規模なものを含め建物全体が工事の対象である改修工事と比べ、外装・内装のみリニューアルする工事が改装工事です。

2. 改修工事の主な種類と費用相場

改修工事の費用は、工事の規模や内容により異なります。さらに、工事の方法や使用する材料の種類も価格変動のポイントです。

工事の主な種類ごとに費用相場をまとめました。自身の希望する工事にどの程度の費用が必要か把握し、予算をたてましょう。

2-1. 屋根・外壁の修繕および防水工事

建物の経年劣化や老朽化により、屋根や外壁が損傷する場合があります。風雨に耐えられる建物にする方法として、改修工事で屋根や外壁を修繕し、防水工事を行うのが挙げられます。

外壁には、防水効果があるウレタンやFRP剤の塗料を塗布する塗膜防水工事を施すのが一般的です。屋上に施す屋上防水工事では、塗膜を用いた方法のほかに、ゴムや塩化性のシートを利用して防水する方法があります。このように既存の屋根・外壁に新しい塗料や外壁材を重ね張りする方法が「カバー工法」です。
そのほか、既存の屋根・外壁を撤去し、新しいものに張り替える「葺き替え」という手法があります。

カバー工法や葺き替えで行う屋根・外壁の防水工事の費用相場は下記の通りです。

カバー工法の場合:5,000円~15,000円(1平米あたり)
葺き替えの場合:10,000円~50,000円(1平米あたり)

2-2. 塗装工事

建物の外壁やマンションの共有部分は、老朽化することでひび割れを起こしたり、元の塗装がはげたりします。ひびや塗装はがれに対し新たに塗料を塗り直す塗装工事は、ポピュラーな改修工事のひとつです。

定期的に塗装工事を行うことで、経年劣化する建物の耐水性・耐久性を維持でき、建物の実質耐用年数を延ばす効果が期待できます。また、外壁・内装の塗装やデザインは建物の資産価値に直結しますので、よりよい住宅環境を提供する上でも必要な工事です。

塗装工事の費用は、塗装の規模により異なります。外壁の塗装工事であれば、費用相場は下記が目安です。

3階建て:130万円~410万円
5階建て:450万円~670万円
7階建て:630万円~950万円

ベランダの外壁塗装・防水塗装であれば、面積が狭い分、費用相場が15万~30万円程度です。

2-3. 給排水設備の改修工事

建物で使用する生活用水は上水道から給水管を通して給水し、使い終わった不要な水は排水管を通して下水道に排水されます。給排水の設備も経年劣化の影響を受けるため、改修工事で修繕・改良が必要です。

通常、上水は屋外の止水弁・水道メーターを経由して各建物に給水されます。またシンクやトイレから流された水は、屋外にある汚水ます・公共ますと呼ばれる地点に集められ、その後下水本管へと排水されます。

給排水設備の改修工事は、給排水のどの地点を工事するかで費用相場が異なるのが特徴です。具体的には下記の通りです。

給水管引込工事(上水道本管から水道メーター・公共ますなど屋外の中継地点までを工事):20〜30万円
屋外給排水工事(水道メーター・公共ますから建物までを工事):30〜60万円程度
屋内給排水工事(家屋内の給水管・排水管を設置・修繕する工事):10〜30万円程度

2-4. ガスや空調、換気設備の改修工事

建物内を快適に過ごせるようにする上で、ガス・空調・換気設備は重要です。

一般的に空調設備改修工事は、空気の循環に寄与する配管(ダクト)の工事を指します。ダクトには以下の種類があります。

  • 排気・換気ダクト(排気や換気を行う)
  • 排煙ダクト(火災の煙を排出する)
  • 厨房排気ダクト(調理・飲食時の煙やにおいを排出する)
  • 空調ダクト(室内の空気を快適に保つ)

設置・修繕するダクトの種類や、建物の広さ、建物のどこに排気するかなど、さまざまな要素により改修工事の費用が変わります。簡単な工事で済む場合は3~5万円が費用相場です。飲食店など大規模なダクト工事になったり、複数階ある建物の屋外まで排気するように工事すると、200~300万円程度の費用となる場合があります。

空調設備の改修工事は、依頼する工事内容や建物の状況により費用が変動しますので、業者に正確な見積もりを依頼するのがベストです。

2-5. 消火設備の改修工事

建物内には、消防法に基づいた消火設備を用意する必要があります。老朽化に伴い設備が古くなった場合は、改修工事で改善しなければなりません。

消火設備の改修工事は、主に消火に関わる設備の設置や修繕をする工事です。具体的には、消火器や、火災時に警報を鳴らす非常警報設備、火災を探知し知らせる自動火災報知設備などが挙げられます。また、マンションをはじめとする共同住宅においては、共同住宅用防災システムの見直しが必要です。

それぞれの費用相場は下記の通りです。

消火器の設置・工事:5千〜1.5万円
非常警報設備の工事:3万円〜6万円
自動火災報知設備の工事:10万円〜40万円
共同住宅用防災システムの工事:10万円〜30万円

スプリンクラー設置など大規模な改修工事では、150万円程度まで費用が跳ね上がる場合があります。

3. 改修工事を行うメリットと注意点

建物の修繕・改良を行う改修工事は、実施する上で多くのメリットがあります。同時に、工事を進める上で予期せぬトラブルに見舞われ、失敗してしまうケースがあるのも事実です。

改修工事のメリットと、実施する上での注意点を理解し、改修工事で失敗しないように進行しましょう。

3-1. 改修工事の主なメリット

改修工事を行うことで期待できるメリットは、下記の通りです。

・安全性が高まる

建物は時間の経過とともに老朽化します。建物の設備や外壁が経年劣化することで建物自体の耐久性が下がり、災害・事故の影響を受けやすくなります。また設備の不具合自体が事故を誘発し、思わぬトラブルに発展しかねません。

改修工事により老朽化した建物の設備機能を回復させたり、外壁・屋根を補強したりすることで、災害・天候不良などに強い建物になります。

元の水準に戻すだけでなく、耐震改修工事・防水工事をはじめ、建物の耐久性や機能性をいま以上に向上させることで災害や事故のリスクを低減できる点もメリットです。

・建物の住みやすさが向上する

住宅やマンションは、居住者にとっていかに快適で住みよい環境であるかが重要です。さらにマンションのオーナーにとっては、建物の環境が居住者に長く利用してもらえるかどうかに直結します。

改修工事により建物の機能や設備を新しくして、より快適に利用できる環境を整えることは、建物・設備を末長く利用していくのに必須です。

また建物の外観や内装が美しくなることで、建物自体の見た目の印象がよくなります。居住者自身が気持ちよく住めるのに加え、「このマンションに住みたい」「このお店は素敵だ」と、利用者が魅力的に感じさせることができます。

・資産価値の維持や向上が期待できる

不動産における資産価値とは、マンションをはじめとする建物、建物の土地の評価額・取引価格のことです。当然、建物が老朽化したり設備に不具合があったりすると、建物の価値は下がり売却時の金額に大きく影響します。

建物の劣化を防ぐことで資産価値を維持できるだけでなく、建物の性能や機能をアップグレードしていくことで、資産価値を向上することができます。

特に、利用・所持している建物をいずれ売却する予定がある場合は、取引の場でより高い価格を設定できるよう、資産価値の維持・向上に注力を注ぐことが必要です。

3-2. 改修工事を行う際の主な注意点

改修工事を行う際は、実施予定の工事が敷地・構造・設備・用途の面で建築基準法に基づいているか、建築確認を行う必要があります。地方の行政の窓口に問い合わせ、建築確認申請を行ってください。

建築確認申請は軽微なリフォームであれば申請不要ですが、建物を増築したり屋根・外壁といった主要な構造部を工事したりする場合は必須です。申請すべきか否か判断に迷う場合は、事前に行政の窓口に相談しましょう。

また工事中は近隣への配慮を怠ってはいけません。近隣からのクレームで、工事が止まってしまう恐れがあります。

事前に改修工事の内容を確認し、特に音やにおいが生じる工事、作業員がベランダなど居住者の見えるスペースで作業する場合は、必ず近隣住民に事前説明を行いましょう。マンションで大規模に改修工事を取り行う場合は、マンションの居住者向けに説明会を開催するのも手です。

改修工事がはじまったら、定期的に工事の進捗や品質を確認してください。業者と事前にすり合わせたとしても、想定と異なる工事内容になっていたり、工事の進行中に新たに改修したい箇所が見つかる場合があります。

改修工事を実施する業者は、建物の改修を進めてくれるあなたのパートナーです。密にコミュニケーションをとり、進捗確認を進めることで、理想の建物・居住空間を実現しましょう。

4. 改修工事の基礎知識を理解し、理想の住まいを実現しましょう

建物の改修工事を実施することで、建物の安全性や住みやすさ、資産価値を維持・向上させることができます。

まずは改修工事がどういうものなのか、工事内容や費用相場を把握した上で、理想の住まい実現に向け、業者へ相談しましょう。

業者をお探しの方は、工事やリフォームを無料で一括見積ができる「ミツマド」がおすすめです。

改修工事に詳しい専門スタッフが、ご要望に合う業者を複数紹介してくれるのでスムーズに施工を進められます。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

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