外構工事の基礎知識
外構工事について理解を深めておくと、業者との会話やその後の工事をスムーズに進行させることができます。
以下より外構工事の言葉の意味や、工事を行う目的について解説します。
外構工事とは?
そもそも「外構」とは、家の敷地内にある建物以外の構造物を指す言葉です。外構工事はそれらを対象とする工事で、住宅の外回り工事とも呼ばれます。
下記が外構の具体的な例です。
- 表札のある門柱や門扉、門塀、門周り
- ブロック塀や生垣、レンガ塀、アルミフェンス
- 駐車場やガレージ、サイクルポート
- 屋外に常設している物置
- 床部分の土間コンクリート
- ポスト
- ウッドデッキやテラス、サンルーム、バルコニー
- 庭の芝生、ガーデンルーム
- 門から玄関扉までの動線となる玄関アプローチ
住まいの空間を機能性・デザインの面からアプローチし、建物の外に必要な構造物を新しく設置したり、既存の設備・構造物を撤去・交換したりします。
外構工事の目的
外構工事の目的は、機能面・デザイン面で家全体を快適な居住環境にすることです。
機能面での外構工事は、屋内でなく屋外から手を入れることで、家全体を機能的に使いやすくします。機能面での外構工事の例は以下の通りです。
<施工例>
- 車庫を設置して利便性を高める
- 目隠しフェンスをつくって防犯する
デザイン面での外構工事は、建物や敷地の外部空間を美しく整える目的があります。デザイン面での外構工事の例は以下の通りです。
<施工例>
- 生垣やフェンスを設置して外観を綺麗にする
- 家族でBBQができる庭づくりを行う
- バルコニーに照明を取りつけ、雰囲気をよくする
老朽化により破損・劣化した門柱や物置の修繕のように、経年劣化への対策として外構工事を実施する場合もあります。
外構は放置せずに定期的なメンテナンスを行い、修繕・改良するのがおすすめです。
エクステリア工事との違い
外構工事と似た言葉で「エクステリア工事」というものがあります。
エクステリア工事は「外装工事」とも呼ばれ、家の外から見える設備や環境をデザイン性を重視して整える工事をします。リビングをはじめとする内装を整える「インテリア工事」と対照的に用いられる言葉です。
ガレージ・門・生垣など建物以外を対象とする外構工事に対して、エクステリア工事は住居を含む敷地内を空間として捉え、空間のデザインに特化した工事を指します。
門扉やフェンスのデザインを設計したり、庭のレイアウトを変えたりするのに加え、建物の外壁や屋根をデザインしたり、機能性のあるものにリフォーム工事したりするのがエクステリア工事です。
外構スタイルの種類別のメリット・デメリット
住まいの屋外空間を構築物や設備でどのようにデザインするか、外構工事の方向性を示すのが「外構スタイル」です。
外構スタイルには3つの種類があり、それぞれの特徴を把握した上で工事を進めないとデザインの統一性に欠ける残念な印象になってしまいます。
外構工事で失敗・後悔しないために、外構スタイル別のメリット・デメリットについて解説します。
オープン外構
・概要
欧米の住宅によく見られる外構スタイルが「オープン外構」です。門塀やフェンスを極力設置せず、開放的なデザインをつくり出します。
住居を仕切るような構造物がないため、シンプルかつミニマルな印象を与えます。
・メリット
屋外に視界を遮るものを設置しないスタイルなので、開放的な雰囲気を得やすいのがオープン外構の特徴です。
フェンスのような仕切りがない分、ご近所とのコミュニケーションがとりやすく敷地内から外の様子がよくわかります。日当たり・風通しがよく居心地のよい環境を整えられるのもポイントです。
必要な建材の種類や量が少なく済むため、他の外構スタイルと比べて工事費用を抑えられます。
・デメリット
オープン外構は開放的なスタイルであるがゆえに、外部からの侵入を許しやすい点がデメリットです。防犯砂利を敷き詰めたりセキュリティライトを設置する等、十分なセキュリティ対策が求められます。
また目隠しフェンスがない分、屋内が道路を歩く人などの視界に入りやすいため、プライバシーの確保が難しくなります。厚手のカーテンや背の高い植栽を使うなどの対策が必要です。
小さいお子さんやペットがいる場合は、自宅の庭や敷地内からまっすぐ道路に飛び出しやすいので注意しましょう。
クローズド外構
・概要
オープン外構に比べ、より内と外を区別するよう設計されたのが「クローズド外構」です。
敷地の周囲を高さのある塀や生垣で囲うようなスタイルが特徴で、周囲から見えないようなデザインになっています。
・メリット
門塀や垣根で外からの視線を遮れるため、プライバシーを確保しやすいのが大きなメリットです。周囲の視線を気にせず安心して庭や敷地内でくつろげます。
また、小さいお子さんやペットが敷地内から急に飛び出しにくい造りになっているため予期せぬ事故の防止につながります。
外部からの侵入を防ぎやすく、セキュリティ性が高いのも特徴です。ただし死角ができやすいので、空き巣に入られないよう十分注意しましょう。
・デメリット
クローズド外構は敷地内を仕切るようなスタイルになるため、日当たり・風通しが悪く、閉鎖的かつ圧迫感のあるデザインとなりかねません。フェンスの高さを調整したり、デザインで遊び心を入れたりするなど工夫が必要です。
また敷地に沿って門塀や生垣を設置するため、建材の量が多くなり工事費用がかさみます。安価で済ませたいのであれば塀や柵に使う素材を低価格なものにしましょう。
セミクローズド外構
・概要
オープン外構とクローズド外構の中間に位置する外構スタイルが「セミクローズド外構」です。双方のいい部分を持ち合わせています。
開放的なスタイルながらも、プライバシーを守りたいところにはフェンスを設置するなど、必要な箇所にだけ門塀や生垣を設置します。
・メリット
完全に敷地内を囲まず、程よい開放感のあるスタイルを実現できます。構造物の設置が減る分、クローズド外構より費用を抑えられるのがメリットです。
人目につきたくない大切な部分はフェンスなどで目隠しする等、オープン外構よりもセキュリティ面でも安心でき、安心して暮らせます。
・デメリット
セミクローズド外構はデザインや設計の難易度が高くなります。フェンスなどのレイアウトによって、開放感や日当たり、風通しを左右するだけでなく、外構工事の方向性が変わってきます。
セミクローズド外構を検討している場合は、専門業者に相談しながら進めるのがおすすめです。
外構工事の費用相場と工期の目安
はじめて外構工事をする上で気になるのが「どのくらい費用・時間がかかるか」ですよね。
外構工事は実施する工事内容により費用や工事にかかる日数が変わります。希望する予算と納期を実現できるよう、外構工事の費用相場・工期の目安について紹介します。
外構工事の費用相場
外構工事の費用は、外構スタイルや工事する箇所、範囲、使用する建材などにより変動します。正確な施工費用は、業者に現場調査してもらった上で事前に見積りをもらってください。
ここでは目安として、外構スタイル別・工事箇所別の費用相場を紹介します。
・【外構スタイル別】外構工事費用の相場
外構工事は基本的に設置する設備・構造物が増えれば増えるほど費用が上がるのが特徴です。さらに、デザインに凝ったり大規模な改修をしたりする場合は、工期が長くなりその分人件費もかさみます。
工事内容・工期は選択する外構スタイルに左右されます。外構スタイル別の費用相場は、以下の通りです。
外構スタイル | 工事費用の相場 |
---|---|
オープン外構 | 50万~150万円程度 |
クローズド外構 | 150万~300万円程度 |
セミクローズド外構 | 80万~250万円程度 |
オープン外構は門塀やフェンスの設置がない分、工事内容が比較的シンプルに済み費用を抑えられます。
クローズド外構は門塀やフェンスの設置に多くの建材を使用し、設置する上で人手が必要です。オープン外構の倍近い費用感になる傾向にあります。
予算を抑えつつクローズド外構のいいとこ取りをしたいのならば、セミクローズド外構で程よく抜け感・開放感をつくり出すのがおすすめです。使用する建材や設置する構造物をコントロールする分、クローズド外構よりも若干安価に抑えられます。
ただし、構造物をどこまで設置するかを素人感覚で決めるのが難しいため業者選びが重要です。
業者選びの際は、見積りに加えて施工実績や施工事例を参考にし、理想とする工事が可能な業者を選定しましょう。無料で事前相談に乗ってくれる業者は多くあります。提案内容と過去の施工例、見積りを総合的に検討して決定してください。
・【工事箇所別】外構工事費用の相場
工事箇所別の費用相場は以下の通りです。
工事箇所 | 工事費用の相場 |
---|---|
ブロックや鉄筋コンクリートで作られた塀や囲い | 50万~100万円程度 |
カーポート | 20万~100万円程度 |
フェンス | 30万~60万円程度 |
玄関アプローチ | 10万~60万円程度 |
一般住居の塀や囲いは、ブロックや鉄筋コンクリート素材のものであれば50万~100万円程度で工事できます。敷地面積が広い住居や、グレードの高い素材の門塀・囲いにする場合は、金額が跳ね上がるので注意が必須です。
車庫よりも開放的な雰囲気を演出できるカーポートは、車両一台分の大きさであれば20万円前後の金額で設置可能です。車両の数を増やしたり、防雪・防雨対策に優れたカーポートを使用すると100万円近くまで費用が上がります。
フェンスは材質により費用感が変動します。スチールやアルミ製であれば安価に済ませられますが、木材や竹垣、鋳物のフェンスは倍以上の値段になる可能性があります。敷地の大きさと使用する材質を伝え、一度正確に見積りをとってください。
門周りから玄関までの動線となる玄関アプローチの外構工事は、砂利・石材・タイル・コンクリートを道や玄関先に敷き詰める形が一般的です。土地自体に高低差があると、その補正をするのに多くの費用がかかるケースもあるため注意しましょう。
外構工事の工期の目安
外構スタイルにより工期に差が生じます。具体的な目安は下記の通りです。
外構スタイル | 工期の目安 |
---|---|
オープン外構 | 1週間~2週間程度 |
クローズド外構 | 3週間~2カ月程度 |
セミクローズド外構 | 1週間~1カ月程度 |
設置する設備・構造物が少なく済むオープン外構は、1週間~2週間程度で完了する工事がほとんどです。一方で、設備・構造物が増えるクローズド外構は、最長で2ヶ月近くかかる場合があります。
フェンスやウッドデッキ、カーポートの設置のみの簡易な外構工事であれば1週間もかからずに対応できます。ただし土間コンクリートで門まわりや玄関アプローチを施工する場合は、コンクリートの養生期間や固まるまでの期間がかかり、1ヶ月以上工期が延びてしまうことを理解しておきましょう。
外構工事の費用を抑えるコツ
妥協した外構工事はしたくないものの、こだわればこだわるほど費用がかさみます。
外構工事でできる限りコスパよく工事を進められるよう、費用を抑えるコツを紹介します。
外構工事の専門業者に頼む
外構工事を進める方法は以下の3つです。
- ホームセンターで材料を集め、自作する
- ハウスメーカーや工務店に委託する
- リフォーム会社など、外構工事の専門業者に委託する
簡易的な工事であれば自作も可能です。しかし専門的な知識を必要とする工事が多いため、ほとんどの場合工事を業者に委託します。
ハウスメーカーや工務店は、自社内で外構工事の部門を担っていないことが多く、系列店や協力業者を紹介されます。紹介する分仲介料がかかり、金額が大きくなりがちです。
リフォーム会社をはじめとする外装工事の専門業者は依頼主と直接契約します。仲介料が不要な分、浮いた経費・手数料を工事費用にあてられるのがメリットです。
外構工事の業者を相見積りで比較する
外構業者によっては、かなり割高な値段で施工しようとするケースがあります。相場感覚を得て費用感を適切に判断するためにも、複数の業者から相見積りをとり、提案されたプランを比較しましょう。
プランを見比べることで悪徳な業者を避けられるだけでなく、外構に関する知識が深まり、理想の外観イメージがより具現化します。
業者選びの際は、過去の施工事例や施工実績、使用できる建材の種類、アフターケアの内容も一緒に確認しましょう。
安心して相談できるか、コミュニケーションを適切にとれるかなど、さまざまな観点で確認するのがおすすめです。
なるべくシンプルな外構にする
シンプルなデザインで外構を設計することも費用を抑えるコツです。色合いや風合いを統一し、シンプルかつおしゃれな外構デザインに仕上げられるメリットもあります。
外構工事の費用は、設備・構造物の設置の数に加え、使用する建材の種類が影響します。さまざまな素材をあちこちで使用すると、その分用意する建材が増え費用が高くなりかねません。
シンプルな外構デザインの参考例として、モノトーンが落ち着いた印象を醸し出す「シンプルモダン」や、木材や自然を活かした設計の「ナチュラル」が挙げられます。
業者にシンプルなデザインに仕上げた施工例を紹介してもらい、参考にしてください。
素材を工夫する
使用する素材・建材を安価なものに変えるだけで費用を抑えられます。
たとえばフェンスなら木材や鋳物にせずスチールやアルミフェンスにすると、その分費用を抑えられます。フェンスの代わりに植栽を使うのもおすすめです。ナチュラルなテイストに仕上げつつ目隠しの役割を果たせます。
素材・建材の機能性や質にこだわりたい場合は、使用する量や範囲を減らすのも手です。たとえば玄関アプローチに敷くコンクリートの使用面積を調整して費用を抑えます。
ただ素材・建材は外構の仕上がりに大きく影響します。不満や後悔が残らないよう事前に外構業者に相談しましょう。
段階的に外構を整える
外構工事をまとめて一気に実施しようとすると、1回の工事費用が高く一括で支払うには苦しい場合があります。
あらかじめ外構工事の優先順位を決め、優先度の高い箇所から徐々に整備していくことで1回の費用を抑えられます。限られた予算の中でも最低限の住居改善を実現可能です。
駐車スペースを整備したり隣接住宅との境界部分にフェンス・生垣を設置したりする工事は、生活に影響するため優先度を高くし早々に着工するのがおすすめです。
ただし1回ごとの外構工事費用は抑えられるものの、工事のたびに業者に委託することになるので工事のトータル費用が高くなる場合があります。希望する外構工事のゴールから逆算して適切な頻度で委託しましょう。
できる箇所はDIYで施工する
自身で工具を扱った経験があったり手先が器用であれば、一部をDIYで補填することで外構工事費用を抑えられます。DIYする分かかる費用が材料費だけで済みます。
DIYの具体例は以下の通りです。
- 外壁に石膏で風合いをつける
- レンガで塀をつくる
- 人工芝で庭づくりをする
庭の手入れレベルであれば趣味として楽しみながら取り組むのもおすすめです。
材料を買いそろえるならホームセンターやオンラインで外構のアイテムを購入できるエクスショップが一般的です。いくつかのホームセンターでは材料を購入できるだけでなく、小規模なエクステリアの相談に乗ってもらえる場合があります。
DIYは構造物の設置の仕方で耐久性が低くなったりデザイン全体の仕上がりに影響したりするので、センスや知識、技術を問われる方法です。
外構工事の基礎知識をおさえ、理想の空間を実現!
外構工事は目指すスタイルやデザインの方向性により費用感や工期に影響します。外構工事の種類や工事箇所による費用・工期の目安を参考に、理想の空間を実現すべく工事のプランをたてましょう。
外構工事はDIYでも可能ですが、独力が難しい場合は専門知識をもった業者に委託する方が安心です。素材・建材の変更や構造物の調整で費用を抑えた外構工事が実現できるので、事前に業者に相談することをおすすめします。
工事会社をお探しの方は、工事やリフォームを無料で一括見積ができる「ミツマド」がおすすめです。
外構工事に詳しい専門スタッフが、ご要望に合う業者を複数紹介してくれるのでスムーズに施工を進められます。
ぜひお気軽にお問い合わせください。