2024.02.27

左官工事とは?塗装工事との違いと実施目的、工事内容、費用相場

左官工事とは?塗装工事との違いと実施目的、工事内容、費用相場

左官工事は、住宅の玄関や土間などの壁や床の下地造りから仕上げ塗りまでを職人の手によって丁寧に仕上げる工事です。

機械や塗装では出せない風合いを楽しめる上に、漆喰や珪藻土といった人気の高い自然素材を使用することから、壁や床の仕上げに左官工事が選択されています。

「左官工事でオリジナリティあるおしゃれな家にしたい」

「アレルギーをもつ子どものためにも、アレルギーやシックハウス症候群の心配が少ない自然素材で壁を塗り替えたい」

左官工事を検討しているけれど左官工事が本当に合っているのか、予算内で工事ができるのか不安に感じていませんか?

本記事では左官工事の基本的な知識を解説するとともに、費用相場をご紹介します。

目次

左官工事の基礎知識

左官工事と聞くと、コテを使用して壁や床をおしゃれに塗っていく職人さんの姿をイメージしませんか。実際は、壁や床を塗って仕上げるだけが左官工事ではありません。床や壁の下地造りも左官工事の一つです。

左官工事と塗装工事の違いや、左官工事の目的を知りどの工事が適しているかを判断しましょう。

左官工事とは?

左官工事は左官職人の手によって、建築物の壁や床を塗って下地造りや仕上げをする工事です。

日本の伝統的な工法で、住宅だけでなく会社のビルやマンションなどの大きな建物でも使われています。

左官工事の具体例は以下のとおりです。

  • タイルを張る部分の下地造り
  • 家の内外装の床などを平滑にならす
  • 窓のサッシ周りに用いられるモルタルを詰める

左官工事ではセメントや砂(細骨材)が含まれているモルタル、鉱物質の粉末が使われているプラスター、消石灰(水酸化カルシウム)が入った漆喰などの材料を使用します。

漆喰や珪藻土などの自然素材を使用するため、アレルギーがある方でも安心です。

左官工事は職人の技術力に仕上がりが左右されます。技術力が高い職人であれば、表面を研いでスムーズにし自然石を切り出したかのように見せる高級仕上げ「とぎ出し」が可能です。

また、左官工事は工事現場の規模の大きさによって「町場」「野丁場」に分類されます。

町場は個人の新築住宅工事や住宅リフォーム工事、店舗などの左官工事のことです。
町の中の現場という意味で町場と言われています。

お客様と密にコミュニケーションをとりながら作業を進めます。

一方、野丁場はビルや中高層マンション、ショッピングモールや公共工事などの大規模な建物を対象に行う左官工事のことです。大きな工事になるため、中小企業ではなく大手のゼネコン業者が請け負うケースが多い現場です。

作業範囲も広くなるため、機械で担う部分もあります。

左官工事と塗装工事の違い

左官工事と混同されやすい工事が塗装工事です。2つの工事は使用する道具や工法が異なります。

左官工事は職人がコテを使用して工事を実施します。コテの使い方によってさまざまなデザインが可能です。壁にオリジナリティのある質感や手触り、立体感を表現できます。

塗装工事はペンキなどの塗料を鉄材や木材などに塗り付けたり、吹き付けたりして行われる工事です。

工事手法にはいくつかの種類のローラーを使って仕上げるローラー工法や、コンクリートなどの塗料を圧縮空気を用いて塗る吹付け工法があります。

比較的広い面積でも短期間で完了するのが特徴です。材料の表面の保護や、均一で滑らかな美しさを保つために行われます。

左官工事を行う主な目的

左官工事を行う主な目的は以下の3つです。

・床や壁の耐久性を高めるため
左官工事の一つである下地造りは、壁や床の最終的な仕上がりに影響します。さらに、下地造りをしっかりと工事することで耐久性が向上します。

断熱性・防音性の向上が期待できる点もメリットです。冷暖房費を節約でき、近隣への音漏れ、外部からの騒音に悩まされる心配も少なく、快適に自宅で過ごせます。

・見た目を美しく仕上げるため
左官工事は職人による手作業が特徴で、塗装やクロス張りでは出せない風合いを楽しめます。

仕上げ作業ではコテなどの道具を使って壁に模様を描くことも可能です。オリジナリティのあるこだわりが詰まった住宅に仕上がります。

・アレルギー防止のため
左官工事には調湿作用やカビやダニの発生防止の利点から、珪藻土や漆喰などの自然素材が多く使われています。

自然素材は人工的な化学物質を含まないため、シンナーなどの匂いによるアレルギーや、室内の汚れた空気を吸うことで体調が悪くなるシックハウス症候群を引き起こす心配がありません。

アトピーやアレルギーをお持ちの方におすすめの素材です。ご家族の健康を守り、安心して過ごせます。

左官工事の主な内容

左官工事はさまざまな種類の工程があります。その中でも代表的なものが「下地造り」と「仕上げ塗り」です。

以下より下地造りと仕上げ塗りの主な内容や、工程に使われている材料を解説します。

左官工事の依頼時に適切な工程で工事が行われるのか判断できるよう、理解しておきましょう。

下地造り

下地造りは家の玄関などの塗装やタイル工事の土台となる、壁や床の下地を造る工程のことです。

セメントや砂(細骨材)が入ったモルタル、鉱物質の粉末が含まれているプラスターなどを、職人である左官工が手で塗ることによって、均一な下地が造られます。

下地造りは工程の中でも非常に重要です。しっかりと土台を造ることで、壁のひび割れなどの欠陥を防ぎ、耐久性を高めてクオリティの高い仕上がりにできます。

ただし、仕上げ塗りで使う材料によって下地に使える材料が異なります。仕上げ塗りの内容や使う材料を事前に把握して、職人さんにしっかり伝えましょう。

仕上げ塗り

仕上げ塗りは下地塗り、中塗りを塗った後、コテや刷毛などの道具を使って、壁の表面に壁材を塗る工程のことです。

職人の技術や実務経験によって、伝統的なものから現代風のモダンなものまで幅広いデザインに仕上げられます。

塗り方によって壁の耐久性が変動するため、依頼する際には技術力や経験値が高い職人を選びましょう。

仕上げ塗りには保温性や断熱性、吸音性などが高いといったメリットから、自然素材を用いるケースが多いのが特徴です。

例えば、仕上げ塗りに使われる主な材料には以下の5つがあります。

・漆喰
・土
・砂
・プラスター
・珪藻土

漆喰の主な原料は、石灰石を焼いて水を加えた消石灰(水酸化カルシウム)です。日本では古くから使われている塗り壁材で、耐火性に優れています。

調湿効果や灰の殺菌作用によるカビ防止、火災時の有毒ガス防止などの効果もあります。

漆喰は白くて均一な壁や、コテの模様を活かした高いデザイン性で仕上げたい方におすすめです。

2つ目の土は、左官で取り扱う素材の中では代表的なものです。粘土・砂・水・糊・稲わらを混ぜて作られます。

土の色味から和室の仕上げ塗り壁材としてよく用いられます。

土の種類や混ぜ具合によって、色彩や仕上げの風合いに幅を持たせられるため、オリジナリティな雰囲気で仕上げたい場合におすすめです。

3つ目の砂は、糊液で色砂を練って粒度を調整します。大きな砂利が入っていないためスムーズにコテ塗りが進み、美しい見た目で仕上げられるのが特徴です。

和室や床の間の内壁に使われているケースがほとんどです。

4つ目のプラスターは、鉱物質の粉末が使われておりデザイン性の自由度と作業性に優れています。純白でフラットな美しい仕上がりが特徴です。

また、プラスターには石膏プラスター塗りとドロマイトプラスター塗りの2種類があります。

石膏プラスター塗りは強度が強いため、壁面にひびや亀裂が入るのを防止します。ドロマイトプラスター塗りは職人の経験が少なくても作業がしやすい素材です。

5つ目の珪藻土は、原料として珪藻の殻の化石が使われています。吸放湿が高いため、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着します。

珪藻土は消臭効果にも優れており、ペットがいるご家庭でも臭いを軽減する効果が期待可能です。

白から派手なバリエーションの色味まで、多岐にわたるカラーで壁や床を表現できます。

左官工事の費用相場

左官工事の費用は、一般的に平米あたりの価格で算出される傾向です。

左官工事を依頼する際には、見積りで出してもらった金額が適切か否かをチェックする必要があります。

以下より、左官工事に使う壁材の種類ごとに1平方メートルあたりの費用相場を解説します。

工事内容や地域によって費用相場は異なるため、あくまでも参考として捉えてください。

使用する壁材ごとの費用相場は、下記の表の通りです。

種類 1平方メートルあたりの費用相場
漆喰壁 4,000~8000円
珪藻土壁 3,000~7,000円
土壁 5,000~8,000円
プラスター壁 7,000~10,000円
モルタル壁 1,000~5,000円
ジョリパット壁 4,000~8,500円

漆喰の塗り壁の費用相場は、4,000~8,000円です。
防火性や殺菌性が高くカビ防止に効果的なため、日本家屋の外壁などで使われてきました。
壁のひび割れや亀裂が生じやすいため、継続的なメンテナンスが必要です。

珪藻土が使われている壁の費用相場は、3,000~7,000円です。
費用相場は比較的安価ですが、汚れやすく耐水性が低いデメリットがあります。水分調整によっては壁のひび割れが生じやすいため、注意しなければいけません。
左官仕上げに使用する際には、表面が崩れるのを防ぐために石灰やセメント、合成樹脂などの材料を混ぜて用いられることがあります。

土壁は5,000~8,000円が費用相場です。断熱性が高く、色味から日本らしい和室や茶室などでよく使われます。
費用相場としては安くはありませんが、日本の和風なデザインをしたい場合にはおすすめの壁材です。
プラスターが用いられている壁の費用相場は、7,000~10,000円です。部屋を北欧風のデザインにしたいときに適しています。
費用相場は比較的高めですが、プラスター壁は漆喰壁よりも乾燥によるひび割れが生じにくいのが特徴です。

モルタルが使われている壁は、1,000~5,000円が費用相場です。耐火性が高く、比較的安価でデザインが豊富に揃っています。
屋上やバルコニーなどの防水工事にも使われていますが、ひび割れしやすく、塗装仕上げのためメンテナンスが必要なことを知っておきましょう。

ジョリパット壁が用いられている壁の費用相場は、4,000~8,500円です。大雨や日光にも負けないほどの耐久性に優れており、防音性や耐火性が高いのが特徴です。
ジョリパット壁に塗り替える際には、最初に下地処理を実施するため、その費用が別途必要になります。
描いている模様によっては汚れが見えやすくなってしまうため、定期的なメンテナンスを怠らないようにしましょう。
平均相場が安価な場合はその分メンテナンス費用がかかったり、高額な場合は耐用年数が長かったりなど、塗料の種類によってトータルでかかる費用や特徴が異なります。

また外壁の塗り替えのように、場合によっては足場を組む必要があるため、別途足場代がかかることもあります。
それぞれの塗料の特徴を押さえて、自宅に合った壁材を選びましょう。

リフォームで左官工事をするならプロに見積り依頼をしよう

壁や床を職人が手作業で塗って仕上げる左官工事は、クロスや塗装にはない風合いを楽しめます。職人の技術で作り上げられる模様は、オリジナリティがありこだわりのあるおしゃれな家にしたいと希望する方にピッタリです。

また、アレルギーやシックハウス症候群を引き起こしにくい漆喰や珪藻土などの自然素材を使用する観点からも、注目を集めています。

左官工事の相場は地域や工事内容によって変動します。正しい左官工事の費用を把握するには、レベルの高い技術者がいる建築工事業者に見積りを依頼するのがおすすめです。

一つの業者だけではなく、複数の業者に相談して見積りをしてもらい、工事内容と価格が適切かどうか比較して依頼する業者を判断しましょう。

リフォーム会社をお探しの方は、工事やリフォームを無料で一括見積ができる「ミツマド」がおすすめです。

左官工事に詳しい専門スタッフが、ご要望に合う業者を複数紹介してくれるのでスムーズに施工を進められます。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

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