2024.02.22

屋根の修理の基礎知識|工事の種類と費用相場、安く抑える方法

屋根の修理の基礎知識|工事の種類と費用相場、安く抑える方法

「雨漏りがしているから、屋根の雨漏り修理がしたい」
「屋根リフォームを検討しているけれど、お金はどのくらい必要なの?」

このようにお悩みはありませんか?

腐食している、腐食したところから匂いがする、雨樋から水が溢れている、経年劣化が気になるなど、屋根の状態に不具合が生じたら修理の検討が必要です。

本記事では屋根の修理について、工事の種類や費用相場、主な屋根材など、屋根の修理の基礎知識について解説します。

目次

屋根を修理する工事の種類と費用相場

屋根の修理は、瓦交換・ひび割れといった部分的な修理なのか、もしくは全面改修なのかによって、工事内容や費用が大きく異なります。

部分修理と全面改修、それぞれの修理内容と費用について説明します。住宅の屋根修理に適切な工事はどれか、検討する際の参考にしてください。

屋根の部分修理の主な工事と費用相場

・コーキング補修

コーキング補修とは、コーキング剤を使って瓦のひび割れや棟板金の継ぎ目を補修する工事を指します。

コーキング剤とは、構造物のつなぎ目・隙間に注入して、水漏れや空気漏れを防ぐ粘着性の充填材です。ウレタン・シリコン・アクリルなどのコーキング剤があり、用途によって使い分けるのが一般的です。

ひび割れを直すだけでなく、建物を固定する接着剤の役割や、雨漏りの応急処置の役割があります。

また、業者によってはコーキングをシーリングと呼ぶことがあります。

【費用相場】
2万〜30万円程度

・屋根の差し替え

一般的によく使用されているスレート屋根の修理方法は、アスベストの有無や作られた年代によって変わります。また年数がたった瓦は、廃番になっている場合があり部分修理が難しい可能性があります。

屋根の部分修理をする際に、屋根材の下の防水シートが破損している時は合わせて補修し、根本的な解決を目指しましょう。

【費用相場】
2万〜5万円程度

・棟板金の交換

棟板金の交換は、既存の棟を撤去し解体してから新しい棟に交換する工事です。

棟板金とは、屋根と屋根の面が合わさる接合部分のことで、雨水の浸入を防ぐ役割があります。

特に強風の後に剥がれてしまうことが多いため、台風や天候が荒れた後には注意が必要です。

【費用相場】
10万〜15万円程度

屋根の全面改修の主な工事と費用相場

・瓦の葺き直し

瓦の葺き直しとは、屋根の瓦を撤去し防水の役割を果たすルーフィングなどの屋根下地を補強・補修して瓦を元に戻す工事を指します。

瓦の葺き直しは、屋根材を処分せずそのまま再利用できるので環境への負担が少ないのが特徴です。

「お家の見た目が気に入っているから、イメージが変わってしまわないか心配…」という人でも安心です。

また屋根材を再利用するため、新しい屋根材に取り替える葺き替え工事と比べて費用をある程度抑えられます。

【費用相場】
100万〜250万円程度

・カバー工法

屋根カバー工法とは、屋根を葺き替えるのではなく既存の屋根に新しいものを乗せる工事です。

撤去費用や廃材の処分費用がかからないので、葺き替えよりも工事費用を抑えられます。

また、リフォーム期間が短くて済み屋根が二重構造になるため、防音・防水にも効果的です。

ただし、金属やスレート屋根向きの修理方法で瓦屋根には向きません。

断熱材と一体になっている屋根材を使用すれば、さらに高い断熱性を期待できます。天井裏の空間が快適な温度になり、ロフトや屋根裏収納としての活用も可能です。

【費用相場】
60万〜250万円程度

・屋根の塗装工事

屋根の塗装工事は、屋根の耐久性を高めて長持ちさせるために屋根材の上に塗料を塗る工事です。

屋根の劣化を防ぎ雨漏りの防止にも効果的で、見た目も良くなります。

特別な塗料を使用すれば、遮熱・断熱効果が期待できます。暑い夏や寒い冬でも快適に過ごせるようになり、電気代の節約に効果的です。

【費用相場】
30万〜70万円程度

屋根材の主な種類

屋根材には主に以下のような種類があります。

  • スレート系
  • 金属系
  • 粘土系
  • セメント系

それぞれ特徴を解説していくので、どの素材を住宅の屋根に採用するかお悩みの時は、選び方の参考にしてください。

スレート系

スレート系は厚さ5mm程度のセメントを使い、薄く平らに作られた屋根材です。コロニアルと呼ばれることもあります。

重量が軽く建物の重心が下がるため、高い耐震性があります。地震に強いのが特徴です。耐火性、断熱性にも優れています。

一般的に広く使用されている屋根材なので、作業できる修理業者や職人さんが多くいらっしゃいます。他の素材と比べて低価格で、デザイン・カラーのバリエーションが多いのもポイントです。

ただし、耐久性が低い、割れやすいといったデメリットがあります。塗装やカバー工法などのメンテナンス方法から最適な方法で、定期的なメンテナンスを実施しましょう。

金属系

金属系は新築の屋根にはあまり使われていませんが、屋根リフォームでは人気があります。軽量で耐震性が高く、メッキを施すため錆びにくいのが特徴。施工が簡単なので工期も短く、料金もリーズナブルです。

金属系は、遮熱性・断熱性が低いため夏場は暑くなってしまいます。また、防音性が低く雨音などが気になってしまうのもデメリットです。

金属系の屋根には以下の素材が使用されます。

  • ガルバリウム鋼板
  • ジンカリウム鋼板
  • トタン
  • 銅板
  • ステンレス
  • チタン

ガルバリウム鋼板は金属系の中でもよく使用される屋根材で、耐用年数が長く低価格なのが特徴です。

ただし、潮風に弱いため海に近い場所の建物には向いていません。潮風に強い金属系の屋根を使用したい場合は、ジンカリウム鋼板を選択しましょう。ジンカリウム鋼板は、表面に石粒がコーティングされているのが特徴の屋根材です。

またトタン屋根は、性能の良い金属屋根材が出てからはあまり使用されなくなりました。

粘土系

陶器瓦や屋根瓦などの粘土系は、日本家屋に馴染みの深い粘土を焼いて成型された屋根材です。重量感のある見た目にしたい人におすすめです。

日本の気候に適しており屋根裏に熱がこもりにくいので、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせます。

粘土瓦は塗装といった定期的なメンテナンスが基本的に必要ありません。粘土瓦が割れた時には、部分差し替えが可能で、場合によっては火災保険で修繕費用を補えます。

屋根は軽いほど耐震性が良くなります。そのため、重量がある粘土系は建物に負担がかかり、耐震性が低くなってしまうのがデメリットです。

粘土瓦1枚単位の値段が高いのも特徴です。ただし、定期的なメンテナンス費用があまり必要ないため、長い目で見ると総額の費用は他の屋根材とあまり変わりません。

セメント系

セメント瓦などセメント系は、モルタルを使用して成形・塗装された屋根材です。モルタルとは、通常のセメントに砂を加えて練り合わせたものを指します。

セメント系は粘土系に比べて安価で、厚みがあり、遮音性が高いのが特徴です。不燃材料なので、熱に強い一面もあります。

一般的によく使用されるため、カラーやデザインの幅が広く、洋風・和風の住宅どちらにも使用できます。

水や紫外線から守るために塗装の定期的なメンテナンスが必要です。

重量があるため家の耐震性への対策が求められます。水を吸いやすくコケ・カビが生えやすい点もデメリットです。

屋根の修理費用を抑える方法

できるだけ費用を抑えて屋根を修理をする方法をご紹介します。うまく活用して修理にかかるコストを軽減させましょう。

火災保険を利用する

火災保険を利用して屋根修理を行えば、費用を抑えられるケースがあります。

火災保険が利用できる例は以下の通りです。

  • 棟板金の飛散
  • スレートの剥がれ
  • 瓦の崩れ
  • 強風による被害

火災保険を利用する際は、保険金請求書・修理見積書・被災箇所の写真の3つが必要です。

また、火災保険を利用するには、屋根の修理が必要になった原因は何か、被災してから3年以内か、修理費用が20万円以上かなど、保険会社によって条件があります。

利用条件は、加入している保険会社に確認をしましょう。

国や自治体の補助金・助成金制度を利用する

省エネリフォームや耐震リフォームなど、国や自治体には屋根のリフォームに利用できる補助金・助成金があります。

ただし制度ごとに適用条件や補助金・助成金の金額が異なるため、事前に確認をしましょう。

国や自治体の補助金・助成金制度を利用する際の主な注意点は以下の通りです。

  • リフォーム工事前に申請する必要がある
  • 申請時には業者が作成した見積りが必要
  • 募集人数や申請金額には制限がある
  • 施工会社が申請する自治体に所在する

工事後の申請だと受け付けてもらえない可能性があるため、補助金・助成金の制度を利用したい場合には、施工業者に前もって相談しておきましょう。また、予定人数・予算に達してしまうと締め切られてしまいますので、早めに申請するのがおすすめです。

また、悪徳業者による補助金詐欺に注意しましょう。嘘の情報で申請して、補助金や助成金を多く受け取ろうと詐欺をはたらく業者がいます。

訪問販売で「無料点検しますよ」と提案して自分たちで屋根を壊したり、「リフォーム費用が補助金でゼロになります」と騙したり、手口は様々です。

その場で契約書を交わすことはやめましょう。修理業者は必ず自分で調べて、信頼できる業者に依頼してください。

相見積りを取る

リフォーム会社や工務店には、それぞれ得意・不得意な工事があり、似たような工事でも料金が大きく異なるケースがあります。複数の業者に見積りを依頼しましょう。

相見積りを取って価格を比較することで、屋根工事について詳しくなくても適正価格が把握できます。高額な料金を請求されるトラブル・詐欺被害にあう可能性を下げられます。

また事前に見積りを取ることで、業者との相性を確認できたり、施工の事例や過去の実績を教えてもらえる点もメリットです。

多くの専門業者では見積り・現地調査を無料で行っています。まずは無料相談してみるのがおすすめです。信頼できる優良業者を見極めましょう。

メンテナンスや早めの対応により、部分修理で済むように心がけておく

定期的な屋根のメンテナンス・点検を行うことにより、屋根材の寿命が延びるので、結果的に修繕費用を抑えられます。

スレート屋根・瓦屋根(セメント瓦、日本瓦)・金属屋根なのかによって耐久年数は異なりますが、メンテナンスは5年〜10年に1回行うのが理想的です。

台風や強風、雨風等、自然災害が発生したタイミングでのメンテナンスも重要です。

費用はかかりますが、しっかりとメンテナンスを行っていれば部分修理で済むので、全面改修に比べて費用を抑えられます。

また危険なので点検は自分で行わないようにしましょう。屋根から落下したり、余計な破損を作りかねません。修理が必要かどうかの判断も難しいため、専門業者に依頼してください。

屋根の修理をして安心・安全な住まいで過ごそう

屋根の修理は、修理の範囲、使用する屋根材などによって大きく異なります。部分的な修理なら2万円程度で済む場合がありますが、全体的な屋根の修理となると100万円以上の費用が必要になることがあります。

できるだけ屋根の修理にかかる費用を抑えるためにも、定期的なメンテナンス・点検を怠らないことが大切です。


リフォーム会社をお探しの方は、工事やリフォームを無料で一括見積ができる「ミツマド」がおすすめです。屋根工事に詳しい専門スタッフが、ご要望に合う業者を複数紹介してくれるのでスムーズにリフォームを進められます。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

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