2024.07.02

建築塗装とは?工事が必要な理由と塗料・工法の種類、費用相場

建築塗装とは?工事が必要な理由と塗料・工法の種類、費用相場

自宅をはじめとした建築物は、表面を塗装することで雨風から建物の保護ができ外観を美しく保てます。

でも、塗装の基本情報や費用相場がわからないと、どの施工業者に依頼すべきか迷ってしまいますよね。

実は、建築塗装にかかる費用は、使われる塗料や工事を施す箇所によって変動します。

本記事では、建築塗装゙の概要や主な塗料の種類や工法、費用相場や工事が必要になるタイミングを解説します。

適切な金額で自宅がリフォームできるよう、建物の仕上げに建築塗装してリフォームする際の費用相場の知識を身に付けましょう。

目次

建築塗装工事の基礎知識

建築塗装工事は、家の補修や新築時に実施する工事です。

家の状態によって必要な工事や補修すべき箇所が異なるため、自宅のリフォームにお悩みの場合は基礎知識や工事内容などを押さえておきましょう。

ここでは建築塗装を具体的にイメージできるよう、工事概要と工事が必要な理由を紹介します。

建築塗装とは?

建築塗装とは、建物の外壁や内壁、屋根や床などの表面に塗料を塗り、仕上げる工事作業です。
新築時に家を仕上げる際だけでなく、破損や劣化している場合の補修時も建物塗装に該当します。

外壁は、色あせやカビにより外観の美しさが損なわれたり、経年劣化によって塗料に含まれる顔料がチョークの粉のように壁の表面に出てくる現象(チョーキング現象)が起こると塗装が必要となります。

屋根の場合は、使用している屋根材がひび割れていたり、板金がサビて素材が劣化したりする場合に工事を実施します。

建築塗装工事が必要な理由

建築塗装工事が必要な理由は、大きく分けて以下の2つです。

  1. 建物を保護するため
  2. 建物の美観を保ち、向上させるため

それぞれについて紹介します。

建築塗装工事が必要な理由の1つ目は、建物の保護をするためです。

塗装工事をすることで、壁に汚れやカビが直接付着するのを防げます。
建物は太陽光による紫外線や雨水・潮風・雪など外的要因の影響で塗装の防水性が低下し、雨漏りや耐久性の低下を引き起こします。

建物をできるだけ長く使えるよう、使われている素材に塗装を施し建物全体を保護できるよう心がけましょう。

建築塗装工事が必要な理由の2つ目は、建物の美観を保ち向上させるためです。

塗装すると、建物の外観に好ましい質感や適切な色合いを持たせることが可能です。
塗装する色によって、作業効率の向上やリラックス効果の増進など心理的にポジティブに作用する影響が期待できます。

建物にはコンクリートや木材・鉄など、耐久基準を満たした素材が用いられていますが、雨風によって建物が劣化して雨漏りを起こすことがあります。

状況に応じて防水塗装を施すなど、建物を長く美しく維持させるために定期的に修繕工事をしましょう。

防水塗装が必要な理由は?種類別の特徴・相場、DIYの手順

建築塗装工事に使う主な塗料の種類

建築塗装して家のリフォームをする前に、工事に使う主な塗料の種類を把握しておくと、自宅の状態に適した建築塗装を実施できます。

素材別の代表的な塗料

・アクリル塗料

アクリル塗料は、合成樹脂であるアクリル樹脂を主成分とした軽量塗料です。

他の塗料と比較して色の展開が豊富で発色が良く、調合が可能です。

平米単価は1,000円~1,300円と低単価で、ホームセンターなどで購入ができるためDIYをする人にも人気があります。

紫外線に弱くひび割れしやすいため、耐久年数は3~6年程度です。
頻繁に外壁を塗り替える必要が生じるため、長期的なコストがかさんでも1回でかかる費用を安く抑えたい方におすすめの塗料です。

・ウレタン塗料

主成分であるポリオール樹脂と硬化剤であるポリイソシアネートを組み合わせて作られたのが、ウレタン塗料です。

密着性や伸縮性が高く、建物内のさまざまな箇所や家具を作る際にも用いられます。 平米単価は1,200円~1,900円程度と比較的お手頃な価格です。単価に比例して耐用年数は、7~10年程度。アクリル塗料より長持ちしますが耐久性に乏しい特徴を持っています。

・シリコン塗料

シリコン塗料は、主成分の合成樹脂にシリコンが加えられた塗料です。外壁塗装の塗料の代表格として使われています。

紫外線に強く汚れがつきにくく落ちやすい点が特徴です。
平米単価は1,800円~2,000円程度と少し高めな分、耐用年数は長く8~12年程度です。アクリル塗料やウレタン塗料と比較して長持ちします。

シリコン塗料を使う場合は、塗料を塗ってできる層が固くなりやすい傾向があるため劣化するとひび割れしやすかったり、重ね塗りが難しかったりする点を念頭に入れておきましょう。

・ラジカル塗料

ラジカル塗料は、「ラジカル制御型酸化チタン」を使った塗料です。

ラジカル制御型酸化チタンを活用すると、紫外線や風雨によって塗膜が劣化して引き起こされる症状の一つであるチョーキング現象(外壁に触れた手や洋服に粉状になった顔料が付く現象)を予防できます。

チョーキング現象が起こったまま放置すると、雨水が侵入してカビが発生する可能性があるため、塗膜が劣化を予防できるラジカル塗料は高い人気を誇ります。 平米単価は2,300円~3,500円程度と高いものの、耐用年数は7~15年程度で、比較的高い耐久性が特徴です。

濃色が使えなかったり選べる塗料が少なかったりするため、塗装したい建物のデザインなどの条件に合っているか事前に確認をしてください。

・フッ素塗料

フッ素塗料は、フッ素樹脂が配合された塗料で一般住宅・大型建造物で使われています。

平米単価は3,000円~4,500円程度と比較的高いですが、その分耐用年数は長く15~20年程度です。 硬い塗膜を作れて紫外線に強いため、外壁だけでなく劣化しやすいシャッターなどにも使えます。

・無機塗料

無機塗料は、炭素を含まない無機物質を主成分とする塗料です。

耐用年数は20年以上と耐久性が高く美しい外観を保てるのがメリットです。
平米単価は4,000円~5,500円程度と高額ですが、無機成分と有機成分を融合するとバランスのとれた塗膜を作れるため、カビの発生を防げるメリットを持ちます。

有機塗料と比べると硬くてひび割れしやすく、施工には高い技術が必要です。
そのため、依頼を検討している業者のWebサイトの事例ページを確認するなど、事前の情報収集をしておきましょう。

代表的な機能性塗料

・遮熱塗料

遮熱塗料は、建物をあたためる太陽光の近赤外線を反射し室内の温度の上昇を軽減させられる塗料です。

屋根に使うと熱を遮断でき、屋根に近い階の部屋の気温上昇を防げます。 冬場は室内が温まりにくかったり、塗装する色によって遮熱効果が異なることによる色制限があったりするため、寒い地域の建物への塗装はおすすめしません。

・断熱塗料

断熱塗料は、太陽光の熱を塗膜に溜めて室内の温度上昇を抑制できる塗料です。

熱伝導率が低く室温を維持できるため、夏は涼しく冬は暖かい家づくりが可能です。
断熱塗料は白をベースにして作られているため、塗装できる色の種類には制限があります。

断熱塗料と遮熱塗料は似た機能性を持っていますが、冬の保温効果に差が生じます。

断熱塗料は、室内の熱を逃がさず冬の室内を温かく保つことが可能です。

遮熱塗料は室内の熱を逃がさない機能を備えていないため、冬の保温効果がありません。

寒い地域の建物には断熱塗料の活用がおすすめです。

・光触媒塗料

光触媒塗料は、太陽光によって発生する活性化酸素によって汚れを分解し除去できる「酸化チタン」が含まれた塗料です。

雨水が汚れと塗膜の表面の間に入り込み汚れを流し込むため、外壁掃除などの手間を削減できます。

カビが生じにくいため、湿気やすい外壁の塗装におすすめです。太陽光が当たらない場所では効果を発揮できないため留意しておきましょう。

・防カビ塗料

防カビ塗料は、カビの発生を抑えられる防カビ剤が含まれている塗料です。

市販の防カビ剤では効果が感じられないカビにも効果がある、強力な防カビ剤が使用されています。

湿度が高くなることが多い外壁でも、カビの抑制効果が期待できます。

建築塗装工事の主な工法

建築塗装工事にはいくつかの工法があります。主な工法は、以下の3種類です。

  1. ローラー工法
  2. 吹付工法
  3. 特殊工法

    それぞれの工法の特徴を確認して、自宅に最適な工事方法を検討していきましょう。

    ローラー工法

    ローラー工法は、毛やスポンジなどでできたローラーで塗料を塗っていく工法です。

    使用するローラーの素材や毛足の長さで塗りの質感をデザインできますが、吹付工法などと比較すると模様の種類が少ないため、新築時の模様をそのまま出すケースがほとんどです。

    メリットは、以下3つです。

    1. 広い面で塗るため塗料を均一に塗りやすい
    2. 塗料の飛散が少ない
    3. 塗装に厚みをもたせやすい

    塗料が飛散しにくいため飛び散る可能性が低く近隣住民への配慮につながり、高所での塗料にも向いています。

    一方、デメリットは以下2つです。

    1. 細かい箇所の塗装には不向き
    2. 吹付工法と比べて一度に塗装できる面積が少ない

    吹き付け塗装に比べると仕上げられる模様の種類はわずかです。加えて、一度に塗装できる面積が少ないため施工時間がかかります。

    周りに建物が隣接している、近隣との距離が近いなど周囲への迷惑をかけない施工をしたい方におすすめの工法です。

    吹付工法

    吹付工法は、下地を調整した後に吹付機を用いて塗料を噴射して塗装する方法です。

    複雑な模様を作れるためさまざまな建物の塗装工事に使われています。建物の塗り替えや補修工事では一般的に用いられません。

    メリットは、以下2つです。

    1. 短時間で広範囲を塗装できる
    2. 重厚感のある仕上がりにできる

    吹付機を使うためローラー工法と比べると短時間での塗装が可能です。
    細かい模様を描けるため重厚感のある仕上がりにできるなど、幅広いデザインに対応できます。

    デメリットは以下3つです。

    1. 塗料が無駄になる可能性がある
    2. 近隣の住民への配慮が必要
    3. 職人の技術によって仕上がりに差が生じる

    塗料の飛散量が多いため、飛び散った塗料は無駄になってしまいます。

    飛び散る塗料が隣の家にかかる可能性があるため、周囲に迷惑がかからないように配慮したり、工事の作業音が大きくなり過ぎないよう注意をしてくれる業者へ依頼をしてください。

    再現できる模様の種類が豊富な点が吹付工法の特徴です。
    ただし職人それぞれの仕事の技術によって仕上がりの品質に差が出るため、事前にWebサイトで事例を確認するなど職人の技術を把握しておきましょう。

    さまざまな情報を知っておくことで職人の技術を費用のバランスが取れた状態で依頼ができます。

    ローラー工法と比べて多くの模様を再現できることに加え作業スピードが早いため、大規模な建物におすすめの工法です。

    吹き付け塗装のメリット・デメリット|ローラー塗装との違いは?

    特殊工法

    特殊工法は、ローラー工法と吹付工法以外の工法です。

    具体的な工法には熱エネルギーを他の形態に変換できる「熱交換型の塗料」を塗装する工法や、既存タイルの質感を保ちながら塗膜強度を高めて表面が剥がれるのを防ぐ工法などがあります。

    外壁タイルの仕上げで防水する工法や、特殊な機能を持った塗料を使う際に施工する工法なども特殊工法に含まれます。

    建物に合った工法があるため、わからない場合は専門業者への相談がおすすめです。

    建築塗装工事にかかる費用の相場

    塗装部分 費用相場
    屋根

    約40万円〜80万円

    外壁(30坪) 約60万円~100万円
    付帯部分(シャッター) 約1,500円~3,000円
    内壁 約4万円~15万円
    約4,000円〜20,000円

    建築塗装工事にかかる費用の相場は、塗装面積や工事単価をベースに計算をします。上記の表は、塗装部分ごとに必要な費用相場を記載したものです。

    塗装する箇所が同じでも、床の厚みや浴室・トイレの作り、外壁の高圧洗浄有無などによって難易度やかかる手間に差が生じ、金額が異なります。

    費用の一般的な支払い方法は、工事完了後に一括で払うか、契約のタイミングで一部支払って工事完了後に代金をすべて支払うかの2つがあります。

    工事前に全額支払う必要がある施工業者の場合、工事しないまま連絡がとれなくなる可能性もあるため、依頼業者を選ぶ際は十分に注意しましょう。

    塗装部分の面積が同じでも、施工費や材料費、足場の建設費などによって金額は変動します。

    外壁塗装屋根の塗装などの正確な費用を知りたい場合は、施工業者に見積りを依頼するのがおすすめです。

    外壁塗装の費用相場はどのくらい?坪数別・塗料別・工程別に紹介

    屋根の塗装が必要なタイミングは?費用相場と工事の流れ、工期の目安

    建築塗装工事が必要になるタイミング

    適切なタイミングで無駄なく建築塗装工事をするには、工事の目安を確認して自分にぴったりな時期に塗装工事を検討する必要があります。

    ここでは、新築で再塗装が必要になる目安と建築塗装工事が必要になる劣化状況のサインを説明します。

    新築で再塗装が必要になる目安

    再塗装が必要になる目安は一般的に新築から10年後程度ですが、使っている塗料によって耐久年数が変動します。

    建物の部分によって塗料を使い分けている場合は、部分によって塗装が必要になるタイミングに差が生じます。

    塗料の耐用年数は、アクリル塗料であれば3~6年程度・ウレタン塗料は7~10年・シリコン塗料は8~12年・ラジカル塗料は7~15年です。

    ただし、ウレタン塗料やシリコン塗料、ラジカル塗料など比較的耐久性が高い塗料でも、10年経つと環境などの要因で、劣化が進んでいる恐れがあります。

    再塗装をすべきか迷ったら、施工業者への相談がおすすめです。

    建築塗装工事が必要になる劣化状況のサイン

    建築塗装工事が必要になる劣化状況には、以下のサインがあります。

    1. 建物が色あせて塗装が剥げている部分が多い
    2. クラックやチョーキングが目立つ
    3. カビや苔が広い範囲に発生している

    建物の塗装が剥げていると、外観の劣化が進む可能性があります。

    とくにクラックが1mm以上ある場合は、表面の塗装だけでなく建物の構造部分にまでヒビが入っている恐れがあるため、施工業者に確認してもらいましょう。

    湿気が高いとカビや苔が生えて外壁に水が入りやすくなり、建物内の構造部分に影響を与えて腐食が起きるケースが考えられます。

    DIYで補修できる規模のものもありますが、症状を素人目で判断するのは困難なため、プロの業者に補修を依頼する方が安心です。

    外壁塗装で補助金・助成金を受けるには?主な条件と制度の探し方

    建築塗装して家をリフォームするなら専門業者に依頼しよう

    建築塗装の概要や費用を把握するだけでなく、工事に最適な塗料や工法・建築塗装工事が必要なタイミングを正しく理解しておくと、納得感の高い金額で工事を依頼できます。

    専門的な知識や資格と高いスキルを持つ、安心・信頼できるプロが工事をすると、満足感の高い工事内容と費用でリフォームが可能です。

    建築塗装は実施する工事内容や施工箇所によって金額が変動するため、工事が必要そうな部位の状態をあらかじめ確認しておきましょう。

    自宅のリフォームで建築塗装を迷われている場合は、建設のプロ集団が監修している弊社ミツマドをご利用ください。

    あらゆる建物・工事でも見積もり比較が相談できるうえに、厳正な基準をクリアした施工会社を紹介できます。

    スムーズに工事を勧められるよう、現場調査の日程調整などの細かいサポートも弊社で承っております。

    電話はもちろん、インターネットからでも無料で相談可能な弊社ミツマドに、ぜひ建築塗装のリフォーム工事をお任せください!

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