外装工事の基本知識
まずは、外装工事の基礎知識と必要性を理解しましょう。
外装工事の知識を持って業者に依頼することでどのような工事か理解ができ、打ち合わせもスムーズに進みます。
外装工事とは？
外装工事は、外装を補修するための工事です。外装とは外壁や屋根など、建物の外側から見える設備や装飾を指します。 簡単な洗浄作業から、足場を組む屋根や外壁の張り替えなどの大掛かりな作業までを含みます。
外装工事が必要な理由
外装工事が必要な理由は以下の3つです。
- 外壁を保護して劣化を抑えるため
- 建物の美観を保つため
- 防水機能を高めるため
常に雨や紫外線にさらされている外装は、経年により劣化します。
また、一般的に外壁材や屋根材に防水性はありません。劣化を防ぎ、雨水から建物を守っているのは、塗装によってできる塗膜の保護機能と防水性です。経年劣化で塗膜の保護機能や防水性は弱まります。
劣化すると塗装の退色や剥がれ・ひび割れが生じて見た目が悪くなるだけでなく、雨水が外壁材の内部まで浸入するリスクが高まります。
雨水の浸入は、雨漏りや建物の腐食、カビ・シロアリの発生を引き起こしかねません。
劣化を抑え、建物の美観や防水機能を保つには、定期的に外装工事を実施し、家をメンテナンスすることが重要です。
外装工事の種類と費用相場【屋根工事】
屋根は風雨や日差しを受けることから劣化が進みやすい部位です。
ここでは外装工事のうち、屋根工事の種類や費用相場を紹介します。工事の目的や実施できる条件を理解し、納得して工事を選びましょう。
屋根塗装工事
屋根塗装工事は、セメント瓦・スレート・金属系の屋根を対象に、屋根専用の塗料を塗る工事です。 屋根塗装の寿命は約7〜15年です。紫外線や日差しの熱で劣化し、保護機能が弱まります。そのため屋根塗装工事を施し、屋根の美観を保ったり、屋根が劣化しないように保護したりします。 屋根塗装工事の費用相場は、30坪住宅の場合に20万円～80万円程度です。 使用する塗装により費用や耐久年数が異なります。一般的に耐久年数が長いほど価格が高い傾向です。 選べる塗料を安い順に並べると ● ウレタン ● シリコン ● フッ素 ● 無機 の順です。ウレタンの耐久年数は約3〜5年。一方、無機の耐久年数は約10〜15年と大きな差が出ます。 予算だけでなく、耐久年数もふまえた塗料選びがポイントです。
屋根葺き替え工事
屋根葺き替え工事は、既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材に張り替える工事です。屋根の美観を向上させたり、広範囲の破損箇所を修理したりする目的で実施します。 屋根葺き替え工事は下地の補修もできるため、性能が高まり建物の寿命が伸びます。既存の屋根材と異なるカラーや素材でイメージチェンジを楽しめることもメリットです。 ただし、屋根の傾斜や形状により取り付けられる屋根材が異なるため、業者に確認しましょう。 30坪住宅の場合の費用相場は、60万円〜200万円程度です。工事費用は、以下の要素で変化します。
- 新しく取り付ける屋根材
- 撤去する屋根材
- 屋根材を取り付ける面積
- 屋根の傾斜や形状
傾斜の度合いが大きい場合は屋根足場が必要になり、通常の足場代に加えて別途料金が発生します。
費用相場に幅があるため、業者に現地調査をしてもらって正確な見積を出してもらいましょう。
屋根重ね葺き工事（カバー工法）
屋根重ね葺き工事は、既存の屋根を残したまま上から防水シートと新しい屋根材を被せる工事です。
既存の屋根がスレートや軽量金属屋根などの平板である場合に限り実施できます。さらに、屋根の下地材が損傷するリスクを考慮し、取り付ける屋根材は軽量なものしか選べません。
既存の屋根を剥がす工程がない分、短い工事期間で済みます。屋根材の処分費や人件費が抑えられる点がメリットです。
30坪住宅の場合の費用相場は、80万円～150万円程度です。屋根の面が多く、複雑な形状であるほど費用は高くなります。
漆喰補修工事
漆喰補修工事とは、漆喰が剥がれ落ちた部分に漆喰を塗り直し、保護機能を保つ工事です。瓦屋根の美観を整える役割もあります。
漆喰とは、屋根の最も高い位置に使用されている保護材のことです。屋根の棟と瓦の隙間を埋めて瓦の下にある葺き土を雨風から守り、瓦を接着させる目的で塗られます。
漆喰に剥がれやひび割れが生じると雨水が浸入し、雨漏りや屋根材の腐食を引き起こしかねません。
漆喰の寿命は約15〜20年です。漆喰部分は見えにくく、気づかぬうちに被害が広がることが多いため、寿命を目安にメンテナンスを怠らないようにしましょう。
漆喰補修工事の費用相場は30坪住宅の場合、30万円～80万円程度です。 残っている漆喰を剥がして新しく塗る「塗り直し」と残っている漆喰の上から重ねて塗る「重ね塗り」の2種類の方法があります。重ね塗りの方が費用は安く済みますが、塗り直しと比べて劣化が早い傾向です。
棟板金交換工事
棟板金交換工事は、劣化したり不具合が起こった棟板金を交換する工事です。棟板金とは、屋根と屋根の面が合わさる角の接合部を覆っている屋根部材で、雨水の浸入を防ぐ役割があります。
建物の最も高い位置に取り付けるため、風雨の影響を受けやすく、不具合が起こりやすい部位です。長年使用していると、棟板金を固定している釘が浮いて雨水が入り込み、下地が腐ったり、棟板金の剥がれや変形を引き起こしたりする可能性があります。
また棟板金が風で飛び、通行人のケガや他の家の損傷につながるリスクもあるため注意が必要です。
棟板金の耐用年数は約15年で、30坪住宅の棟板金交換工事の費用相場は、10万円～80万円程度です。
耐用年数を目安に工事を実施し、雨水や他の人への被害を防止しましょう。
外装工事の種類と費用相場【外壁工事】
外壁は屋根と同様に風雨や紫外線によって劣化しやすい部位です。以下より、外壁工事の種類や費用相場を紹介します。
状態や時期に応じて適切な工事を選び、満足のいく外壁リフォームを行いましょう。
外壁塗装工事
外壁塗装工事は、外壁の塗膜を塗り直す工事です。塗膜の膨れや剥がれ、ひび割れを補修したり、防水機能を復活させたりする目的があります。
劣化が目立たない場合に行う工事のため、0.3mm以上のひび割れや雨漏りが生じている場合は実施できません。
外壁塗装工事の費用相場は、30坪住宅の場合に60万円～160万円程度です。使用する塗料によって費用や耐用年数が異なります。
一般的に使われるシリコン塗料は約10年、無機塗料は約20〜25年の耐用年数です。
また、耐熱性や耐寒性を高めた塗料や色あせを防ぐ塗料などさまざまな特徴の塗料があります。保護機能を長持ちさせたいならば、雨が多い、日差しが強いなどの地域の天候に合わせて塗料を選びましょう。
外壁塗装の基礎知識｜時期と費用相場、工事の流れ、色選びのポイント
張り替え工事
張り替え工事は、既存の外壁材を取りはずして新しいものに張り替える工事です。広範囲に雨漏りの被害を受けた場合や、既存の外壁材に重ね張り工事を行う強度がない場合に実施します。 外壁材の内側にある防水紙のメンテナンスも可能なため、外壁からの雨漏りを完全に止めたい方におすすめです。 張り替え工事を30坪住宅で行う場合の費用相場は、190万円～290万円程度です。取り付ける外壁材により費用は異なります。 選べる外壁素材に制限がなく、希望するデザインへのイメージチェンジが可能です。
重ね張り工事（外壁カバー工法）
重ね張り工事では、既存の外壁材の上から新しいものを貼り付けます。外壁に剥がれや割れが生じていたり、外壁から雨漏りしていたりする場合に実施します。ただし、既存の外壁材の強度に問題がない場合に限り実施できる工法です。 外壁が二重になり断熱性や遮音性は高まります。住宅への負担を考慮し、選べる外壁材は軽量な金属サイディングなどに限られることを知っておきましょう。 重ね張り工事を30坪住宅で実施する場合の費用相場は、130万円～220万円程度です。 既存の外壁材の撤去費用や廃材処理費がかからないため、張り替え工事と比べて安価に実施できます。
外壁工事の目的と流れ｜種類別の費用相場、工期・タイミングの目安
外壁塗装で補助金・助成金を受けるには？主な条件と制度の探し方
外装工事の種類と費用相場【部分補修工事】
外装の一部にのみ日差しが強く当たったり、日陰で水はけが悪かったりすると、部分補修が必要になるケースがあります。
ここでは、部分補修工事の種類や費用相場を解説します。
部分的なダメージでも、雨水が浸入して被害が広がるリスクがあるため、注意が必要です。補修を行う基準を知り適切に対処しましょう。
コーキング（シーリング）の打ち替え補修
コーキングの打ち替え補修は、外壁材の継ぎ目を埋めている既存のコーキング材を撤去し、新しく打ち替える工事です。
コーキング材の寿命は約5〜10年で、経年により防水性が弱まります。また、コーキングが風雨や紫外線の影響で劣化すると、ひび割れなどが生じかねません。
劣化したコーキングを放置すると雨水が浸入して外壁材が腐ったり、カビが発生したりするため、コーキングの劣化症状を見つけたら早めの補修が必要です。
コーキングの打ち替え補修の費用相場は、1平方メートルに対して700円〜2,500円程度です。
既存のコーキングの上からコーキング材を足す「打ち増し」工事もありますが、打ち替えに比べて寿命が短くなります。打ち替えも打ち増しも足場代は変わらないため、寿命が長い打ち替えがおすすめです。
ひび割れの補修
外壁にひび割れが生じた場合、ひび割れが0.3mmほどの細さであれば焦って補修する必要はありません。
次回の外壁塗装のメンテナンスで対処できます。 0.3mm以上のひび割れが生じている場合は、建物の内部に水分が浸透している可能性が高い傾向です。業者に状況を確認してもらってください。
ひび割れ補修の費用相場は、1平方メートルに対して1,700円〜5,000円程度です。
外壁材の種類や大きさによって補修方法や費用は異なります。コーキング材を擦り込んだり、新しい外壁材でカバーしたりと、既存の外壁材になじむ方法で行われます。
塗膜の剥がれ・浮き・膨らみの補修
塗膜は剥がれるだけでなく、浮いたり、水ぶくれのように膨らんだりすることがあります。考えられる原因は経年劣化や水分の浸入です。
症状が発生した塗膜を除去し、下地のクリーニングやひび割れ・高低差を埋める作業を施したのち、再度塗装します。
剥がれや浮き、膨らみを放置すると外壁内部が腐ったり、カビやシロアリが発生したりして被害が広がるリスクがあります。
費用相場は、1平方メートルに対して1,700円〜6,000円程度です。補修範囲や塗料のグレードで費用は変動します。
サビ取りや汚れの洗浄
外壁のサビ取りや汚れの洗浄を業者に依頼することが可能です。サビや汚れは劣化を早めます。特にサビは外壁に穴をあけるリスクもあるため、定期的な洗浄が必要です。
特に金属サイディングやトタンなどの金属製の外壁材は、劣化でサビが発生しやすい傾向です。
サビの処置は、研磨材や金属製の硬めのブラシを用いる「ケレン」と呼ばれる補修方法で実施します。外壁塗装をするほどではないが外壁の汚れやコケが気になる場合は、高圧洗浄を行いましょう。
建物の高い位置に問題がある場合は、紹介したすべての工事で足場の設置費用が加わります。足場の費用として、二階建ての戸建て住宅で15万円〜20万程度を予算に組み込んでおきましょう。
外装工事はプロに任せて！安心できる住まいを守ろう
外装工事とは、屋根や外壁などの外装部分の美観や防水機能を保つために実施する工事です。
外装部分は常に雨風や紫外線にさらされているため、定期的なメンテナンスが欠かせません。適した施工時期や必要な工事の判断が難しいときは、信頼できるプロに相談するのがおすすめです。
安心できる住まいを守れるだけでなく、気づかぬうちに被害が広がり、工期が長引いたり、高額な費用がかかったりする事態を防げます。
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