2024.07.08

屋根を補修するには?補修工事の種類と費用相場、劣化のサイン

屋根を補修するには?補修工事の種類と費用相場、劣化のサイン

「屋根から雨漏りがしているから補修しないと」
「屋根の色褪せが気になるけれども、このままでも大丈夫かな…」

屋根は紫外線や雨風の影響を常に受けており、補修せずに劣化を放置していると雨漏りの原因になります。

しかしどのような補修をすればいいのか、どのくらいの予算が必要なのか、屋根の補修に関して知識がなければ不安ですよね。

本記事では、屋根の補修の種類や費用相場について徹底解説します。適切なタイミングで屋根の補修を実施し、家を長持ちさせましょう。

目次

屋根の補修工事の種類

屋根の補修工事には主に4つの種類があります。それぞれの特徴を知り、自分の屋根の状態に適した補修工事はどれか判断しましょう。

葺き替え工事

葺き替え工事とは、既存の屋根材を取り外し、新しい屋根材を乗せて全面改修する補修方法です。

ルーフィング(屋根の下に敷く防水シート)や野地板のような、屋根の下地まで補修できる方法です。葺き替え工事であれば、屋根の外観を新しいものに一新するだけでなく、雨漏りの修理までを施せます。

使用する屋根材を軽いものに変更すれば建物の重心を低くできるため、耐震性の向上も期待することが可能です。地震に強い家にしたい場合は、葺き替え工事を選択しましょう。

一方、葺き替え工事は補修工事の中でも費用が高額です。屋根材を取り外すため工期が長くなり、人件費や外した屋根材の撤去費用がかかります。

屋根から雨漏りがしている、屋根材の割れや剥がれがひどいような場合には葺き替え工事がおすすめです。また、瓦屋根も瓦の波打った形や重量の問題で重ね葺き工事には向かないため、葺き替え工事を実施しましょう。

重ね葺き工事

重ね葺き工事とは、既存の屋根の上に新しく下地を作り、その上に新しい屋根材を乗せる補修方法です。「カバー工法」「屋根カバー工法」とも呼ばれます。

既存の屋根に新しい屋根を重ねるため、屋根は二重になります。二重になった分だけ、断熱性や遮音性が高くなるのがメリットです。

また、既存の屋根の撤去費用がかからない分、葺き替え工事と比べると補修費用を抑えられます。

特にアスベストを含んでいる可能性がある2004年以前のスレート(コロニアル)屋根は、撤去費用が高額になってしまいます。

重ね葺き工事であれば、アスベストの撤去費用が不要なうえ、解体時にアスベストが飛散する心配がありません。

重ね葺き工事は耐震性に注意してください。屋根が二重になるため建物の重心が上部になり、耐震性に影響が出る可能性があります。そのため、選択できる屋根材はガルバリウム鋼板のような軽量な屋根材に限られます。

さらに、既存の屋根のカビやサビが構造物の内部で腐食の影響を及ぼし、構造体がもろくなる可能性があります。自分の屋根に重ね葺き工事が適しているかどうか、施工業者とよく相談してください。

予算を抑えて工事がしたい、10年〜15年ほどで引っ越す予定があってその期間だけ屋根に問題がなければ良い、といった場合におすすめです。

塗装工事

塗装工事とは、既存の屋根材に新たに塗料を塗る補修方法です。美観を保つだけでなく、屋根の表面に塗膜を形成して防水性能を保ちます。

既存の屋根を撤去したり、新たに設置したりする作業が不要なため、工期は2週間程度です。

また、比較的安価で補修できるのも塗装工事のメリットで、費用は使用する塗料によって変動します。

耐久性が高い塗料ほど費用も高価です。一般的な塗料で耐久性が高いものから並べると以下の通りです。

  • 無機塗料
  • フッ素塗料
  • シリコン塗料
  • アクリル塗料

瓦屋根やスレート屋根など、屋根材によって定期的な塗装工事が必要です。屋根材や塗料の耐久年数にもよりますが、屋根の塗装工事のタイミングは、前回の塗装から約5年〜10年です 

また、屋根の色褪せやコケなど劣化の症状を見つけたら塗装工事を検討しましょう。

部分補修

部分補修とは、屋根材の一部分の補修工事です。代表的な補修工事には以下3つがあります。

  • 漆喰工事
  • 棟板金・棟瓦工事
  • 雨どい工事

漆喰工事は、屋根瓦と下地を接着するために使用する漆喰が、経年劣化で剥がれたり崩れたりした場合に実施します。漆喰は、水酸化カルシウムを主原料とした白い粘土状の素材です。

瓦自体は耐久年数が長くても、漆喰は15年ごとに補修工事が必要です。補修を行わないと、瓦や下地に隙間が生じて雨漏りの原因になります。

棟板金・棟瓦工事とは、屋根材同士をつなぐ役割をもち屋根の頂上部分にある「棟」を補修する工事です。棟板金と棟瓦の違いは、棟に使用されている素材です。棟の素材が金属のものは「棟板金」、瓦のものは「棟瓦」と呼びます。

棟板金は釘で止められていますが、経年劣化や温度変化、台風などの自然災害の影響によりズレたり外れたりします。

ズレや外れの症状が見られた場合は、釘の打ち直しや棟板金の交換などが必要です。

棟板金工事をしないと雨漏りのリスクが高まったり、棟板金や屋根材の飛散の原因になったりします。

棟瓦でズレを発見した場合は、棟瓦と既存の土台を撤去して再度棟瓦を積みなおす補修工事が必要です。

雨どい工事は、経年劣化や自然災害などで傷んだ雨どいの補修工事です。雨どいには屋根から流れる雨水を集めて排水する役割があります。

劣化したままにしておくと水が排水されなくなり、雨漏りや外壁塗装の痛みの原因です。

雨どいの補修工事自体は比較的安価であるため、足場代の設置費用の方が高くなる可能性があります。

他の屋根修理と同時期に進められるよう計画を立てるのがおすすめです。

屋根の補修工事にかかる費用相場

屋根 補修

屋根の補修工事のかかる費用相場は以下表の通りです。

<屋根の補修工事の費用相場 >

補修内容 費用

葺き替え工事

100万円~400万円

カバー工法

80万円~250万円

塗装

30万円~70万円

葺き替え工事は約100~400万円の費用がかかります。既存の屋根の材質によって廃材処理費が変わります。特にアスベストを含むスレート屋根は廃材費用が高くなるため注意しましょう。

また新しい屋根の素材や、雨漏り補修の有無によっても補修工事費用は変動します。どこまで補修を行うか、予算はどのくらいなのかを考慮して補修工事を検討しましょう。

重ね葺き工事(カバー工法)にかかる費用は、約80万円~250万円です。

廃材処分費が少なく短期間で工事が完了するため、葺き替え工事よりも比較的安価で済みます。

重ね葺き工事の場合、予算や新たに設置する屋根材の耐久年数だけでなく、耐震性にも注意して検討しましょう。主に選ばれる屋根材の特長は以下の通りです。

  耐用年数 特長 メリット デメリット
ガルバリウム鋼板

20~30年

メッキされた鋼板

一般的な金属屋根剤

凹みに弱い

ジンカリウム鋼板

20~30年

ガルバリウム鋼板にガラス層の吹付

塗装メンテナンス不要

汚れやすい

エスジーエル鋼板

30年以上

マグネシウムが含まれる鋼板

サビにくい

やや高価

塗装工事は30万円~70万円程度の費用がかかります。塗装のみで完結するため費用は安く、工事期間も短期間で済みます。

塗料の種類によって工事費用が変わり、耐久性の高い塗料ほど費用も高くなる傾向です。

安価に済ませるために安い塗料を選ぶと、耐久性が低くメンテナンスの回数が増えるため、結果的に費用がかさんでしまうケースがあります。

塗料の耐久性と費用のバランスを考慮して検討しましょう。

部分補修では、雨漏りの補修工事や屋根棟の補修工事など、補修内容によって費用が異なります。

部分修理の内容によっては、他の屋根補修工事と同時期に行うことも検討して計画を立てましょう。

何度も足場を組む必要がなく、足場代を節約して補修できます。

また、台風や地震などの自然災害の被害で補修が必要になった場合は、火災保険が使える可能性があります。

自分の補修工事が該当するかどうか問い合わせてみてください。

屋根を補修したほうが良い劣化のサイン

屋根は屋根材によって耐用年数が異なり、定期的なメンテナンスが必要です。ただし、耐用年数をすぎていない屋根でも、劣化のサインが見られたら補修を検討するのがおすすめです。

以下より、補修を検討した方が良い劣化のサインを5つ紹介します。適切なタイミングで屋根の補修を実施し、長く安全に住める住居にしましょう。

色褪せている

屋根材の色褪せは、屋根材の塗料が日光や雨水が原因で劣化している状態です。「チョーキング」とも呼ばれ、触ると白い顔料がつきます。

塗料には断熱や防水の効果があり、屋根材の劣化を防ぐ効果があります。しかし、塗料が色褪せて薄くなると、本来の効果を発揮できません。直接屋根材に日光や雨水があたり、屋根の腐食が進みます。

色褪せの補修のみであれば、塗装工事で改善可能です。屋根の塗装に対応している業者に問い合わせましょう。

コケやカビが生えている

コケやカビが生えている屋根は、屋根材が劣化し必要以上に水分を含みやすい状態です。

金属屋根ではないのに錆びたような色に変色している場合は、コケやカビが生えた可能性があります。

コケやカビを発見したら業者に依頼し、高圧洗浄で洗い落としてもらいましょう。

ヒビが入っている

屋根材にヒビが入っている場合は、雨漏りの原因となるため早めの補修をおすすめします。

屋根は、湿度や気温変化の影響を受けやすい場所です。影響を受けて劣化が進んだ屋根材を放置すると、ヒビが入りやすくなります。

大きなヒビであれば2階の窓からなどででも見つけやすいですが、小さなヒビまで見つけるには屋根に登っての確認が必要です。

高所で危険を伴う作業なため、業者に依頼して定期的に点検をしましょう。

一部が欠けている

屋根材の老朽化や強風で飛んできた飛来物の衝撃などにより、屋根材の一部が欠けてしまう場合があります。破損箇所から雨漏りの原因となり、下地まで補修が必要になる危険性があります。

破損箇所が小さければ補修のみで対応可能です。見つけ次第、業者にすぐに相談しましょう。

隙間ができている

屋根材は、自然災害の外力や気温変化による屋根材の伸縮により隙間が生じる場合があります。屋根材にできた隙間は、雨漏りや断熱効果が低下する原因です。

屋根材の隙間は補修が難しいため、屋根材の交換をおすすめします。

屋根の補修は費用と特徴から自分に合った方法を選ぶのが重要

屋根の補修には以下4つの種類があります。

  • 葺き替え工事
  • 重ね葺き工事
  • 塗装工事
  • 部分補修

既存の屋根の状態や予算などによって、向いている工事方法は異なります。現在の屋根の状態や予算を照らし合わせて、自分に適した工事方法を選択しましょう。

業者によるプロの目で定期的に点検をすれば、適切なタイミングで補修工事を実施できるためおすすめです。

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