屋根の補修に使える主な補助金や助成金
屋根の補修には、国や地方自治体が運営する補助金や助成金制度があります。自分の希望する屋根の補修に適用される補助金や助成金があるかチェックしましょう。
国の補助金・助成金
屋根の補修の際に国から受けられる補助金・助成金は次のとおりです。
名称 | 内容 | 補助金額 |
---|---|---|
長期優良化リフォーム推進事業 |
省エネ性能向上、三世代同居への対応、住宅の長寿命化への支援 |
・評価基準型:上限80万円 ・認定長期優良住宅型:上限160万円 |
住宅・建築物安全ストック形成事業 |
屋根の軽量化による耐震リフォーム |
住宅の場合 【個別支援】 ・マンションの場合: 国と地方で1/3 ・その他の場合:国と地方で23% 【パッケージ支援】 ・密集市街地等(防火改修含む) の場合:150万円 ・多雪区域の場合:120万円 ・その他:100万円 |
長期優良化リフォーム推進事業は、既存住宅やストック住宅(売りに出されている中古物件)の「長寿命化」や「省エネ化」を目的とした工事を支援する制度です。
補助金対象となる住宅の規模や、リフォーム後の住宅が一定の基準に適合していなければならないなど、さまざまな要件があります。
屋根の補修で該当する工事は、屋根を軽量化して耐震性を高める工事や、断熱性を向上させる工事です。
長期優良化リフォーム推進事業の補助限度額は、評価基準型で上限80万円、認定長期優良住宅型で上限160万円です。ただし以下のいずれかに当てはまる場合、上限金額に50万円を加算できます。
- 三世代同居対応改修工事を実施する
- 若者・子育て世帯が改修工事を実施する
- 既存住宅を購入し改修工事を実施する
また、工事費が30万円以下の場合は補助対象外となるため注意しましょう。
住宅・建築物安全ストック形成事業は、既存の住宅や建築物の耐震に関する工事を支援する制度です。屋根を軽量化して耐震性を向上する工事が該当します。
屋根の軽量化による耐震リフォームを考えている方は、住宅・建築物安全ストック形成事業を直接利用する形ではありません。
住宅・建築物安全ストック形成事業は、地方自治体の耐震リフォームの支援制度を国の財源を元に助成します。
つまり、補修をする方は地方自治体が行っている補助金・助成金事業を利用して、住宅・建築物安全ストック形成事業から助成してもらう形です。
補助額は実施する工事内容や建物の種別により細かく設定されているため、公式サイトをチェックしてください。
各地方自治体により屋根の耐震リフォームの補助制度は異なるため、利用者ごとに確認が必要です。
また、補助金制度を利用して屋根の耐震化リフォームを実施する場合、施工だけでは交付の対象にはなりません。
耐震診断と耐震設計も同時に行わなければならないので注意してください。
それぞれの詳しい概要については公式サイトを確認してください。
長期優良化リフォーム推進事業:https://www.kenken.go.jp/chouki_r/
住宅・建築物安全ストック形成事業:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr5_000073.html
地方自治体の補助金・助成金
地方自治体から受けられる屋根の補修に使える補助金・助成金は、各自治体によって異なります。自分が住んでいる地域の自治体のホームページや、担当窓口に利用できる補助金・助成金があるか確認してみてください。
具体例として東京都・大阪府・愛知県の補助金・助成金を紹介します。
制度 | 内容 | 担当窓口・問い合わせ先 |
---|---|---|
東京都既存住宅省エネ改修促進事業(東京都) |
太陽光発電システムの設置 |
温暖化対策推進課 省エネ支援チーム 太陽光担当 TEL:03-6659-3420 |
大阪府震災対策推進事業(大阪府) |
屋根の耐震化 |
都市整備部事業調整室都市防災課 TEL:06-69446057 |
住宅等の脱炭素化促進補助(愛知県) ※各市区町村と協調補助 |
太陽光発電設備や蓄電システムなどの設置(名古屋市) |
株式会社アイランド・ブレイン「住宅等の脱炭素化促進補助金 受付窓口」 TEL:052-559-7839 |
各地方自治体により補助金・助成金の内容や金額、条件は異なります。また、国や都道府県の補助金・助成金との併用が可能な場合があるため、詳しくは地方自治体に問い合わせましょう。
耐震化の補助金・助成金を利用する場合は、1981年(昭和56年)6月よりも前に建てられているかを確認してください。
1981年5月までは旧耐震基準により建てられているため、耐震性能が低く震度6や7の地震に耐えられません。
そのため各地方自治体の耐震化の対象は、旧耐震基準により建てられた住宅が多い傾向です。
各地方自治体の補助金・助成金を調べる際は、「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」が便利です。
住んでいる場所、制度内容どちらからでも調べられ、詳細のページを一覧で表示してくれます。
気になる方はこちらのURLからアクセスしてください。
https://www.j-reform.com/reform-support/
屋根の補修に補助金や助成金を受けられるケース
屋根の補修で補助金・助成金を活用するには「居住用物件のリフォームであること」、「税金を滞納していないこと」などさまざまな条件があります。
また、国や自治体が実施している補助金は「省エネ」と「耐震」を目的とした工事を対象としています。
具体的にどのような屋根の補修が該当するのか、該当しないケースはどのような場合か理解しましょう。
補助金・助成金を受けられる屋根の補修の例
省エネ化を目的とするリフォームの例
省エネ化を目的とする屋根のリフォームには、以下のようなものがあります。
- 太陽光パネルの設置
- 屋根への断熱材の敷設
- 屋根への断熱・遮熱塗料の塗布
- 屋根の上に屋根材を重ねる屋根カバー工事
太陽光パネルは、自宅で使用する電気を発電するために屋根に設置します。太陽の光で発電し、発電時に二酸化炭素を排出しないため、省エネ化としての認知度も高い施策です。
設置に必要な費用は100万円程度で 、太陽光パネルの量により変動します。
屋根への断熱材の敷設は、屋根に発泡プラスチックや繊維系の断熱素材を屋根に取りつける工事です。
施工方法は以下の2種類あり、1㎡あたりの費用目安は以下のとおりです。
- 外張り断熱:8,000円〜
- 充填断熱:4,000円 ~
外張り断熱は屋根構造の外側に断熱材を敷き詰める工法で、パネル状の断熱材を使用します。足場を組んだり、屋根材を一度取り除いたりと作業工程が多いため費用がかかります。
充填断熱は、屋根の柱と柱の間に断熱材を設置、吹付ける工法です。外張り断熱に比べ断熱効果は下がりますが、費用が抑えられます。
屋根に断熱・遮熱効果のある塗料を塗布することも省エネ工事の一例です。断熱塗料は太陽光の熱が室内に伝わりにくくする効果があり、夏は涼しく、冬は暖かく室内の温度を保ちます。
一方、遮熱塗料は、太陽光を反射させ、屋根が受ける熱の影響を軽減する効果がある塗料です。夏に気温が上昇するのを防止します。
費用は1㎡あたり5,000円程度です。 自宅の坪数あたりの費用目安は下表を参考にしてください。
自宅の平米数 | 勾配が緩やかな屋根面積 | 勾配が急な屋根面積 |
---|---|---|
30坪 |
約60万円 |
約74万円 |
35坪 |
約70万円 |
約86万円 |
40坪 |
約79万円 |
約100万円 |
45坪 |
約89万円 |
約111万円 |
50坪 |
約100万円 |
約123万円 |
また、塗料の耐用年数は15~20年です。 定期的なメンテナンスが必要であることを知っておきましょう。
屋根の上に屋根材を重ねる屋根カバー工法は、既存の屋根と重ねる屋根の間に通気層を形成するため断熱性が向上します。
既存の屋根を撤去する必要がありません。そのため既存の屋根を撤去し、新たに屋根材を設置する葺き替え工事に比べリフォーム費用は安価で済みます。
屋根カバー工法と吹き替えの費用目安は以下の通りです。使用する屋根材により費用は変動します。
カバー工法 |
80万~110万円 |
葺き替え |
120万~170万円 |
耐震化を目的とするリフォームの例
耐震化を目的とした屋根リフォームには、屋根材の軽量化があります。
昔の住宅に使われていた屋根材の日本瓦は、粘土を使って形成されており1㎡あたりの重さは50kg程度です。
日本瓦をガルバリウム鋼板のような軽量な屋根材に変更すると、建物の重心が低くなり地震の揺れが少なくなって耐震化が期待できます。
ガルバリウム鋼板は、金属素材をメッキ加工した屋根材で1㎡あたり5kg程度です。屋根のリフォームで人気の屋根材です。さびにくく見た目は重厚感があるため、瓦と比較して遜色ありません。
価格は瓦が1㎡あたり約1万円であるのに比べ、ガルバリウム鋼板は6,000~9,000円と低価格で屋根を変更できます。
耐震化を目的とする屋根軽量化リフォームにかかる費用相場は、以下の通りです。
耐震診断 |
5万~10万円 |
耐震設計 |
10万~15万円 |
屋根の軽量化 |
100万~150万円 |
合計 |
150万円前後 |
耐震審査無料や全額補助のケースもあるため、自分の住んでいる自治体の耐震化補助事業を確認してください。
補助金や助成金が受けられない屋根の補修の例
補助金や助成金を受けられない屋根の補修例は以下のとおりです。
- 雨漏り修理
- 経年劣化による補修
- 屋根の見栄えを良くするための塗装
国や地方自治体が行っている補助金や助成金の事業は、対象工事の条件が明確に決められています。たとえば、長期優良住宅化リフォーム推進事業では、住宅の性能向上リフォームが対象です。
雨漏りの修繕や経年劣化による補修は、住宅の性能向上として補助金の申請をしても認められない可能性が高い傾向です。
補助金や助成金の利用が目的で屋根の修繕を考えている方は、修繕内容が補助対象に含まれている確認してください。
屋根の補修に使える補助金・助成金を受け取る流れ
屋根の補修に使える補助金・助成金を受け取るには、正しい手順を知っておかなければなりません。
ポイントを押さえ、スムーズに手続きを進めましょう。
Step1.屋根の補修工事に利用できる補助金・助成金制度を調べる
まずは実施する屋根の補修に活用できる補助金・助成金制度があるか調べます。
各地方自治体の補助金・助成金は「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」を活用しましょう。
補助金・助成金には、対象となる工事や依頼できる業者など、適用要件が細かく設定されています。
たとえば、「該当の地方自治体に本社がある施工業社に依頼しまければならない」、「2024年6月末日までに申請しなければならない」などです。
補助金・助成金制度の公式サイトで、適用要件や必要な申請書類を事前に確認してください。
Step2.屋根の補修工事前に申請する
補助金や助成金制度は、補修工事着工前の申請手続きが必要です。工事後に申請手続きをしても、補助金・助成金が受けられないため注意してください。
補修工事を依頼する業者に補助金・助成金を利用する旨を伝えておき、万が一の事態が起きないよう対策をしておきましょう。
また、補助金・助成金には予算が決められているものがあります。予算に達すると受付が終了してしまうため、活用を検討しているのならば早めの申請がおすすめです。
Step3.屋根の補修工事を施工する
交付が決定したら屋根の補修工事を実施します。申請した内容と異なる工事が必要になった場合には、自治体に報告をしてください。
工事の際には、補助金・助成金制度の条件に則した補修工事であると証明するために、工事前後の写真撮影が必要でることを知っておきましょう。
Step4.屋根の補修工事の完了確認を受ける
工事完了後には、必要な書類を揃えて完了の報告をしなければなりません。提出する書類には以下のような書類があります。
- 工事完了報告書
- 施工業者に支払った金額の領収書
- 補助金・助成金の請求書
自治体により書類のフォーマットが準備されている場合もあるため、ホームページを確認してください。
加えて自治体の調査員により、補助金・助成金の条件を満たしている工事が施行されているか現場チェックが実施されます。
Step5.補助金・助成金を受け取る
自治体による確認で工事内容に問題がなければ、1~2カ月程度で口座に補助金・助成金が振り込まれます。
補助金で屋根の補修をする際は国と自治体の情報をチェックしよう
屋根を修理する際は、国と地方自治体の補助金・助成金を利用できます
国が実施している補助金・助成金は以下のとおりです。
- 長期優良化リフォーム事業
- 住宅・建築物安全ストック形成事業
地方自治体が実施している補助金・助成金は、自治体により異なるため、ホームページを確認してください。
国と地方自治体両方の情報をチェックし、費用を抑えつつ満足のいく屋根の補修を行いましょう。
補助金・助成金を活用して屋根の補修を実施する際には、補助金・助成金について詳しい業者に依頼するのがおすすめです。
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